法律学特殊講義 II(信託法)

法学部

LAW65100

コース情報

担当教員: 細川 昭子

単位数: 2

年度: 2024

学期: 秋学期

曜限: 水5

形式: 対面授業

レベル: 300

アクティブラーニング: なし

他学部履修:

評価方法

出席状況

20%

授業参加

10%

レポート

70%

詳細情報

概要

信託は,その有する機能から,金融ビジネスに加え,財産承継,高齢者の財産管理など,社会において多様な場面で活用されている。他方,信託法理は英米法起源であることから,大陸法系に属する日本の法体系の中ではやや特殊な位置にある。本講義では,前半においては,信託の基本的な仕組み・特徴や,信託法及び関連法(信託業法,信託兼営法等)に基づく信託法理の基礎を説明し,後半からは,前半で得た知識を応用し,社会における「信託」というツールの多様な活用方法について具体例を含めて解説し信託の活用可能性を受講者に示したい。この点,担当教員の金融庁における信託業法改正時の担当者としての経験や企業法務弁護士としての実務経験をふまえ,特に金融ビジネスにおける活用を中心に紹介する予定であり,「金融」に関心がある学生に役立つ内容としたい。なお,信託は民法の特別法であるためその理解のために民法の知識が基盤として必要である。また,実務における信託の利用の場面では,倒産法,会社法,金融商品取引法といった,信託関連法以外の法律にも言及する予定である。

目標

日本の法体系では特殊な位置にある信託という法制度の仕組み及び特徴,並びに信託法・信託関連法の基礎知識を習得したうえで,実社会における信託の活用方法について理解する。

授業外の学習

毎回,レジュメに目を通してから受講してください。また,参考書も折に触れて紹介しますので,適宜参照してください。

所要時間: 190分

スケジュール

  1. *以下は予定であり,授業の進行具合に応じて変更の可能性がある。 信託の概要と信託をめぐる現状 -信託の基本構造,分類,法体系,歴史,社会的ニーズについて解説する。
  2. 信託の成立 -信託法の定義,設定,目的,成立に関するに関する規律を解説する。
  3. 信託財産 -信託財産の範囲,信託財産であることの対抗要件,信託財産の独立など,信託財産をめぐる規律について解説する。
  4. 受託者① -信託における最重要キーパーソンである受託者の義務と責任について解説する。
  5. 受託者② -信託報酬,費用の償還,受託者の変更など,受託者をめぐる様々な規律について解説する。
  6. 受益者・委託者・信託管理者 -受託者以外の信託当事者にかかわる規律について解説する。
  7. 信託の変更,併合及び分割,終了・清算 -信託の変更,併合及び分割,並びに信託の終了・清算にかかわる規律について解説する。
  8. 特殊な信託 -信託法が定める特殊な信託である,自己信託・担保権設定信託・限定責任信託・受益証券発行信託・受益者の定めのない信託について解説する。
  9. 信託関連法規の概要 -信託業法,信託兼営法,金融商品取引法等,信託に関する法について解説する。
  10. 商事目的の信託① -流動化・証券化取引における信託の活用について,解説・検討する。
  11. 商事目的の信託② -セキュリティトラストなどの金融取引における様々な信託の活用について,解説・検討する。
  12. 商事目的の信託③ -事業信託の実務における活用可能性について,解説・検討する。
  13. 財産管理・財産承継のための信託 -事業の高齢化社会を迎えた我が国における高齢者の財産管理のための活用例や財産承継のための活用例を紹介する。
  14. クロスボーダー信託取引 -商事目的及び民事目的の国境を越えた信託取引をめぐる法的イシューについて解説・検討する。
  15. 授業で提示された課題について,参考文献を読んでレポートを提出する。

教科書

毎回,レジュメをLOYOLAを通じて事前公開しますので,各自印刷・持参して講義に臨んでください。また,適宜参考文献を紹介する予定です。

    参考書

    • 信託法講義第2版

      著者: 神田秀樹・折原誠

      出版社: 弘文堂 2019

    • 基礎からわかる信託のしくみと信託ビジネス

      著者: 天野佳洋他

      出版社: 経済法令研究会2019

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