規制と政治

法学部

LAW64600

コース情報

担当教員: 古屋 将太

単位数: 2

年度: 2024

学期: 春学期

曜限: 月4

形式: 対面授業

レベル: 300

アクティブラーニング: あり

他学部履修:

評価方法

レポート

100%

詳細情報

概要

この講義では,エネルギー問題をはじめとする環境問題において,異なる利害をもったステークホルダーがどのように合意形成をおこない,政策を形成し,環境・経済・社会の統合的イノベーションを促進していくのか,ガバナンスの観点から俯瞰します。 環境政策の基本的なあり方は従来のトップダウン型の規制から,さまざまな利害関係者の合意のもとで市場メカニズムを活用する政策へと変化してきました。その背景には,気候変動問題に代表されるように,問題の因果関係および時間軸の複雑化があり,必然的に予防的なアプローチが必要とされるようになります。そこでは,誰にいつどのようなリスク/便益が分配されるのかを対話を通じて定義した上で,政策をつくり,取り組みを実施し,また,どのように成果を評価するのか,まさにガバナンスが問われることとなります。 この講義では,こうしたマルチステークホルダーガバナンスの典型であるエネルギー問題を題材として,国際的な自然エネルギー政治,国レベルの政策・市場形成,地域レベルでの自然エネルギー事業開発の動向などについて,具体的な事例をもとに理解を深めていきます。 講義スケジュールは,時事の変化に応じて修正が加えられる可能性がある点に留意して下さい。

目標

この講義の学習目標は,異なる利害をもったステークホルダーがどのような合意形成プロセスを経て特定の政策や事業を実現させていくのか,エネルギー分野を題材として,現代の環境ガバナンスのあり方を理解することです。 化石燃料・原子力から自然エネルギーへの転換は,既存のエネルギー社会秩序からの変化をともないます。既存の規制構造から利益を得ているステークホルダーは,新規参入を可能にする政策に対して強力な阻止行動に出る一方,新たなステークホルダーは戦略的な行動で新たなエネルギー社会秩序の創出を目指します。この講義では,そのようなエネルギーをめぐる「政治」について,主に国レベルに焦点をあてつつ,地域レベル・国際レベルでの展開とあわせて複眼的に理解し,分析する方法を学びます。 結果として,履修者は複雑化する現代の環境エネルギー問題のガバナンス構造を読み解く視点を獲得し,今後の環境政策・市場・社会の進展についての展望をもつことができるようになることが期待されます。

授業外の学習

毎回の講義に出席し,講義資料や紹介する参考文献等を通じて関心・知見を深めて下さい。期末のレポート作成にあたっては,授業中に紹介する参考文献の中から少なくとも2件以上を読んで書いて下さい。

所要時間: 190分

スケジュール

  1. イントロダクション: 本講義の目的,運営方法,評価基準など
  2. 環境ガバナンス:誰が政策・規制を考え,決め,影響を受けるのか?
  3. 自然エネルギー政策と市場(1):デンマークの風力発電
  4. 自然エネルギー政策と市場(2):ドイツの固定価格買取制度
  5. 自然エネルギー政策と市場(3):日本のエネルギー政策
  6. 自然エネルギー政策と市場(4):日本の地域エネルギー事業
  7. 自然エネルギー国際政治:エネルギー転換の地政学
  8. レポート作成に向けたワークショップ
  9. 自治体の環境政策:先駆的取り組みと水平展開
  10. 建築物の省エネルギーとまちづくり
  11. 輸送・交通とまちづくり
  12. 環境問題を理解・分析するための社会理論
  13. 職業としての環境エネルギー
  14. 振り返りとまとめ

教科書

テキストはMoodle上で各回の参考文献を提示します。

    参考書

    書籍情報はありません。

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