国際法各論
法学部
LAW61600
コース情報
担当教員: 根本 和幸
単位数: 2
年度: 2024
学期: 秋学期
曜限: 火3
形式: 対面授業
レベル: 200
アクティブラーニング: なし
他学部履修: 可
評価方法
定期試験
定期試験期間中
小テスト等
詳細情報
概要
本講義では,前期「国際法総論」を踏まえて,現代の国際社会が抱える具体的な国際問題や国際紛争に対して国家がどのように行動し,いかに国際法が動員されているのかという点を視野に入れて,国際法の各論的側面の習熟を目指す。 「私たちが生活している国内社会」では,日々,様々な事件事故が発生している。これらに対して国内法は,合法や違法,無罪や有罪という法的評価を与え,その社会秩序を回復することを期待されている。他方で,「国際社会」に目を向けてみると,ウクライナをめぐるロシアの軍事行動,パレスチナ問題,北朝鮮の核開発問題やミサイル発射など様々な紛争が起こっている。では,これらの問題に対して,なぜ直ちに合法・違法の決着がつかないのであろうか。 日々流動的な国際社会における様々な局面で,国際法がいかに機能しているのか(あるいは,機能していないのか)を具体的国際紛争を通して履修者全員で考察していきたい。
目標
この講義では現在起こっている具体的な国際紛争や事例を通して, (1) 国際社会が抱える各論的課題を国際法的視点から解決する枠組みを理解すること (2) 自ら国際社会の諸問題に対する「法的な」見方・考え方を養うこと これら2つに基づいて,紛争と法律条文,裁判とを結びつけて学生と教員とが一緒に考えることで,ニュースを公正に見る眼を養い,物事の正・不正について自分の意見を持つことを目標とする。日々生じる国際紛争や事件に対する私たちの印象はメディアでの報道のされ方に大きく依存しているがゆえに,いっそう重要なポイントである。
授業外の学習
(1)講義レジュメと資料はMoodleを通じて配布する。毎回の講義時に示した教科書や配布レジュメおよび講義資料に目を通しておくこと。 (2)レジュメにおいて,事前に考えてきてほしいポイントや事例を提示するので,それを予習して「自分の考え」をまとめてきてほしい(それが正しいのか誤っているのかは問わない)。 (3)講義を受けるだけではなく,講義で触れた事例や判例について,教科書や参考文献を用いて図書館等で積極的に深くリサーチすることも大いに奨める。また,予習の段階で分からない用語は『国際関係法辞典(第2版)』(三省堂)等を用いて調べておくこと。 (4)毎日,新聞に目を通して,今現在の国際社会で起こっている事件や事例,紛争が講義内容(=国際法)と「関連があるのか」,あるとすれば「どのように関連するのか」を考えてみよう。
所要時間: 予習・復習を併せて190分を目安とする
スケジュール
- イントロダクション:国際法各論の学び方と進め方とよい成績の取り方と
- 条約の成立:だれが条約を締結できるのか?
- 条約の効力:相手国が条約の重大な違反をしたとき・・・
- 外交関係・領事関係(1):大使館に駆け込みさえすれば・・・
- 外交関係・領事関係(2):外交使節と領事とは何がちがうのか?
- 国家責任法(1):国家の責任が発生するとき
- 国家責任法(2):謝罪か,原状回復か,金銭賠償か?
- 武力行使法(1):武力不行使は「原則」なのか,さもなくば「幻想」なのか?
- 武力行使法(2):自衛権で「他者」を守ることはできるのか?
- 武力行使法(3):国際法はテロリズムにどう対処しうるのか?
- 武力行使法(4):国際法上の武力行使正当化におけるバック・トゥ・ザ・フューチャー
- 武力紛争法(1):武力紛争法の歴史と基本構造
- 武力紛争法(2):軍事的必要性と人道の実現というバランスは成り立つか?
- 武力行使法・武力紛争法の事例検討:ウクライナ・ロシア紛争
教科書
『国際条約集(2024年版)』は,毎回の授業で参照するので,常時持参すること。『プラクティス国際法講義(第4版)』は予習・復習用なので,必ずしも教室に持参しなくてもよい。
『国際条約集(2024年版)』
著者: 植木俊哉・中谷和弘(編)
出版社: 有斐閣・2024年
『プラクティス国際法講義』(第4版)
著者: 柳原正治・森川幸一・兼原敦子(編)
出版社: 信山社・2023年
参考書
参考書および参考文献については,各講義回において適宜紹介する。とりわけ全般的な参考書としては,以下3点である。
別冊ジュリスト『国際法判例百選』(第3版)
著者: 森川幸一・兼原敦子・酒井啓亘・西村弓(編)
出版社: 有斐閣・2021年
『国際法』(第2版)
著者: 岩沢雄司
出版社: 東京大学出版会・2023年
『国際法』(有斐閣アルマ・第4版)
著者: 中谷和弘・植木俊哉・河野真理子・森田章夫・山本良
出版社: 有斐閣・2021年