労働法 II*
法学部
LAW51720
コース情報
担当教員: 富永 晃一
単位数: 2
年度: 2024
学期: 2クォーター
曜限: 火1, 金1
形式: 対面授業
レベル: 300
アクティブラーニング: なし
他学部履修: 可
評価方法
レポート
授業内期末試験
授業期間中
小テスト等
その他
・各回に小テスト(Moodleを想定)を実施し,評価対象とする。 ・授業内期末試験は,授業期間中にオンライン(Moodleを想定)で出題して回答してもらう形式とする予定である(詳細は授業ないしMoodleで伝える)。 ・レポートは,具体的な事例について,法的に分析し,設問に回答するという内容を予定している。一定の期日までに回答してもらう形式で実施予定である(詳細は追って授業中で補足する)。 ・【重要】「出席状況」について,小テストを期限内に回答していない場合,不受講(欠席)とカウントする(実際には受講したが,小テストが不回答の場合も欠席と推定するので,ご留意されたい)。不受講が5回以上の場合には,単位を付与しない。【重要】 「その他」について,授業中の質疑応答等により,受講者の理解促進等に大きく貢献したと認められる場合に,一定限度で加点することがある(上記100%の枠外)。
詳細情報
概要
本講義は,我が国の労働法をテーマとして,労働法を構成する法分野とその規制にあり方についての基礎的な知識と,新しい労働問題等の法的な背景について,主として講義形式で解説し,履修者に考える機会を提供することにより,雇用問題を総合的・多角的に検討する能力,雇用問題の法的な解決に資する提言をする能力,法的な思考枠組を現実の雇用問題に応用する能力等の獲得を目指す。 上記は,法学部の「教育研究上の目的」にいう「社会に生起するさまざまな問題について法的に考える力」並びに法学部の「人材養成の目的」にいう「現代社会に対応できるような法的思考能力や問題分析能力」等を備えた人材の養成という目的に沿ったものであり,またカリキュラム・ポリシー上の「法的な基本知識や思考枠組を修得し,広い視野と柔軟な思考をもって問題の分析や解決にあたる」力(法学部),「問題の法的解決に資する力」(法律学科),「問題を法的及び政治学的に設定し考察するための基礎的な方法論の修得」(国際関係法学科),「日本法に対する素養や思考枠組の養成」(地球環境法学科)に資するものである。 労働法Ⅱでは,個別的労働関係法の一部と,集団的労働関係法をカバーする(対象とするトピックについては,下記講義スケジュールを参照)。 労働法Ⅱの内容(特に,差別禁止や集団的労働関係法部分等)は,労働法Ⅱの履修範囲に限らず労働法上の諸問題が扱われることから,(労働法Ⅰで扱う内容を中心とはしないとしても)講義内容や試験の題材には労働法Ⅰで扱う知識を前提とするものが必然的に含まれ,労働法Ⅱの授業も労働法Ⅰの内容を修得していることを前提として進められる。両科目にこのような密接な関連性があることから,労働法Ⅰもあわせて同一年度に(同時に)あるいは先に履修することが強く推奨される。
目標
本講義のDPとの関係は上記に明示したとおりであり,具体的な目標は下記の①~③のとおりである。 ①雇用社会で働く上で必要となる労働法の基礎的な知識を習得する。 ②雇用社会の法的問題を認識・発見できるようになる。 ③雇用社会の種々の法的問題を検討・分析し,法的又は法政策的な対処策を提案できるようになる。
授業外の学習
【予習】(所要時間:各回60分程度)。 ・授業で使用するスライドの冒頭の「内容」及びシラバス記載の疑問や各回の予習目標について,参考テキスト等で調べて自分なりの予想をつけてみる。 ・授業の参考資料(判例等の資料)を読んでおく。 【復習】(所要時間:各回130分程度) ・上記の自筆ノート・メモ等と配布資料を利用し,講義内容を要約してみる。また,再度体系的なテキストを使用して確認する。 ・Moodleの小テストに取り組み,解説を読んで知識を確認する。 ・事前に抱いていた疑問点が解消されたか確認する。授業後に残った疑問点について は,再度体系的なテキストを使用したり,担当教員に質問したりして解消を図る。
所要時間: 190分
スケジュール
- 【注意】※以下は予定であり,授業の進捗状況により各テーマの回数を変更することがありうる。 「日本型雇用」「人事権(1)人事権,昇格・降格,配転・出向・転籍」 ・予習:参考書等で人事権の概念,「昇進」「昇格」「降格」「配転」「出向」(労契法14条)「転籍」(民法625条1項)のそれぞれについて,それぞれどのようなものか,またそれぞれの権利行使についてどのように司法審査がかかるか調べる。また配布資料を読み,法律上の問題を調べる。 ・復習:授業時の資料・メモ等を再読し,上記各概念について確認する。また不明点につき参考書等で確認する。 ・目標:人事権について説明できるようになる。
- 「人事権(2)配転・出向・転籍(続き),休職」「懲戒権」 ・予習:参考書等で「配転」「出向」(労契法14条)「転籍」(民法625条1項),「休職」,懲戒権(労契法15条)について,どのようなものか,またどのように司法により審査されるかを調べる。また配布資料を読み,法律上の問題を調べる。 ・復習:授業時の資料・メモ等を再読し,上記各概念について確認する。また不明点につき参考書等で確認する。 ・目標:人事権及び懲戒権への法規制について説明できるようになる。
- 「雇用の終了(1)解雇」 ・予習:参考書等で,解雇に関する労働基準法・労働契約法上の規制をについて調べる。また配布資料を読み,法律上の問題を調べる。 ・復習:授業時の資料・メモ等を再読し,上記の事項について確認する。また不明点につき参考書等で確認する。 ・目標:解雇権への法規制について説明できるようになる。
- 「雇用の終了(2)解雇(続き),辞職と合意解約,定年退職等,雇用終了へのその他の規制」「労働条件の変更(1)労働条件の変更の概観」 ・予習:参考書等で解雇無効の効果,辞職と合意解約の区別,雇用終了へのその他の規制(労基法22条,23条)について調べる。また労働条件の変更について,どのような方法があるか参考書等で確認する。配布資料を読み,法律上の問題を調べる。 ・復習:授業時の資料・メモ等を再読し,上記の事項について確認する。また不明点につき参考書等で確認する。 ・目標:解雇以外の労働契約終了への法規制,労働条件変更(就業規則)について説明できるようになる。
- 「労働条件の変更(2)就業規則・合意・労働協約による不利益変更」 ・予習:参考書等で就業規則に関する労基法上の規制(労基法89-93条),就業規則の効力(労契法7-13条),労働協約に関する労組法上の規制(労組法14-18条)を調べる。また配布資料を読み,法律上の問題を調べる。 ・復習:授業時の資料・メモ等を再読し,上記の事項について確認する。また不明点につき参考書等で確認する。 ・目標:労働条件変更(就業規則,個別合意)への法規制について説明できるようになる。
- 「労働条件の変更(3)労働協約による不利益変更(続き)」「企業組織変動」 ・予習:参考書等で労働協約(労組法14-18条)について読み,労働協約の効力,限界,拡張適用について調べる。また参考書等で,企業に合併や事業譲渡,会社分割等が起きたときには,企業と労働者との間の労働契約はどうなるのかを確認する。また配布資料を読み,法律上の問題を調べる。 ・復習:授業時の資料・メモ等を再読し,上記の事項について確認する。また不明点につき参考書等で確認する。 ・目標:労働条件変更(労働協約),及び企業組織変動への法規制について説明できるようになる。
- 「雇用差別の禁止」 ・予習:参考書等で国籍・信条・社会的身分,性別,障害(者)を理由とする差別の禁止に関する主な規制(労基法3条・4条,均等法5-8条等)について調べる。また配布資料を読み,法律上の問題を調べる。 ・復習:授業時の資料・メモ等を再読し,上記各概念について確認する。また不明点につき参考書等で確認する。 ・目標:雇用差別禁止に関する法規制について説明できるようになる。
- 「非正規労働(1)有期労働」 ・予習:参考書等で非正規労働者の意義,有期労働契約に関する法規制(有期:労基法14条,労契法18・19条,労基法39条等)について調べる。また配布資料を読み,法律上の問題を調べる。 ・復習:授業時の資料・メモ等を再読し,上記の事項について確認する。また不明点につき参考書等で確認する。 ・目標:非正規労働(有期労働契約)への法規制について説明できるようになる。
- 「非正規労働(2)有期労働,パートタイム労働,派遣労働」 ・予習:(前回に続き)参考書等で,有期労働とパートタイム労働に係る法規制(パートタイム・有期法8条以下等)について確認する。また参考書等で労働市場・派遣労働に関する法規制(職安法,労働者派遣法)について調べる。さらに配布資料を読み,法律上の問題を調べる。 ・復習:授業時の資料・メモ等を再読し,上記の事項について確認する。また不明点につき参考書等で確認する。 ・目標:非正規労働(有期雇用,パートタイム雇用,派遣労働)への法規制について説明できるようになる。
- 「労災」 ・予習:参考書等で労働災害への救済制度(労災保険,労基法上の労災補償責任,労災民訴)について調べる。また配布資料を読み,法律上の問題を調べる。 ・復習:授業時の資料・メモ等を再読し,上記各概念について確認する。また不明点につき参考書等で確認する。 ・目標:労働災害への事後救済に関する法規制について説明できるようになる。
- 「労働組合・団体交渉(1)労働組合」 ・予習:参考書等で労働組合の設立・運営・統制権に関する法規制について調べる。また配布資料を読み,法律上の問題を調べる。 ・復習:授業時の資料・メモ等を再読し,上記の事項について確認する。また不明点につき参考書等で確認する。 ・目標:労働組合に関する法規制等について説明できるようになる。
- 「労働組合・団体交渉(2)団体交渉」 ・予習:参考書等で団体交渉及び団交拒否の不当労働行為(労組法7条2号)について調べる。また配布資料を読み,法律上の問題を調べる。 ・復習:授業時の資料・メモ等を再読し,上記の事項について確認する。また不明点につき参考書等で確認する。 ・目標:団体交渉に関する法規制等について説明できるようになる。
- 「団体行動・不当労働行為(1)団体行動」 ・予習:参考書等で団体行動(争議行為,組合活動)に関する制定法上・判例法上の規制について調べる。また配布資料を読み,法律上の問題を調べる。 ・復習:授業時の資料・メモ等を再読し,上記の事項について確認する。また不明点につき参考書等で確認する。 ・目標:団体行動に関する法理等について説明できるようになる。
- 「団体行動・不当労働行為(2)不当労働行為」「労働紛争処理」 ・予習:参考書等で不当労働行為(労組法7条1号,3号,4号)について調べる。また配布資料を読み,法律上の問題を調べる。 ・復習:授業時の資料・メモ等を再読し,上記の事項について確認する。また不明点につき参考書等で確認する。 ・目標:不当労働行為に関する法規制等について説明できるようになる。 ※学期末試験として,授業内試験(短答式試験)を実施する。またレポート課題を出題する(短答式試験,レポート課題とも,授業期間中にオンラインで実施予定であり,授業時間外の時間帯に受験・回答可能とする)。
教科書
・教材はオンラインで配布予定であるため,特定の教科書は指定しない。授業外の予習・復習のため有用な文献については,参考書の欄に挙げている(詳細について開講時に述べる)。
参考書
参考書欄に紹介したもののほか,初めて労働法を学ぶ場合には労働法の概要を把握するのに適したテキストが有用である(受講上,必須ではない。詳細について開講時に述べる)。また資格試験等を想定する場合には,下記に紹介する判例集も有用である(必須ではない)。なお,多数の法改正がなされているため,下記参考書や判例集等については,開講までに改訂版が出版された場合,当該最新の改訂版を使用することが望ましい(参考書についても同様)。 ・原昌登『コンパクト労働法(第2版)』新世社,2020 ・森戸英幸『プレップ労働法(第7版)』(弘文堂,2023) ・大内伸哉『最新重要判例200〔労働法〕第7版』(弘文堂,2020)
労働法(第12版)
著者: 菅野和夫
出版社: 弘文堂,2019
労働法(第5版)
著者: 荒木尚志
出版社: 有斐閣,2022
労働法(第10版)
著者: 水町勇一郎
出版社: 有斐閣,2024