会社法 I*
法学部
LAW51100
コース情報
担当教員: 田中 綾
単位数: 4
年度: 2024
学期: 春学期
曜限: 火4, 金4
形式: オンデマンド授業+同時双方向型授業(Zoomなど)
レベル: 300
アクティブラーニング: なし
他学部履修: 可
評価方法
リアクションペーパー
定期試験
定期試験期間中
その他
リアクションペーパーはGoogleフォームやMoodle等を用いて電子的に提出してもらうことを検討しています。 リアクションペーパーの提出は,動画の視聴確認(出欠確認)も兼ねているため,動画をためずに視聴して下さい。
詳細情報
概要
会社法は,①コーポレート・ガバナンス(企業統治),②コーポレート・ファイナンス(企業金融),③リオーガニゼーション(組織再編)の3分野に分けて整理することができます。会社法Ⅰでは,主に①の分野を扱います(機関について中心的に説明しますが,総則と株式の基礎的な部分についても扱います)。それ以外の②③の分野(株式会社の計算,資金調達(募集株式の発行・新株予約権の発行等),設立,組織再編に関する部分等)は,会社法Ⅱで扱います。 本講義の内容を理解するためには,前提として,民法(意思表示の瑕疵,債務不履行責任,不法行為責任,共有,相続等)や民事訴訟法(訴えの利益等)の知識が必要です。そのため左記の科目を履修済みであることが望ましいですが,履修していない方も,当該分野の独学(教科書・判例集の確認)をすれば,会社法Ⅰの履修が可能です。 本授業では,初めて会社法を学習する方が,近い将来,会社法上よくある紛争を法的に解決・予防するための方法を考えることができるようになることを目標に,まずはそのために必要な基礎知識を理解(インプット)してもらうための講義をします。併せて,具体的な事例において法的問題を解決するための思考手順や事例問題等の解き方(アウトプットの方法)についても,可能な範囲で伝えます。
目標
①会社法の制度と主要判例の法律構成・趣旨・要件・手続・効果・帰結等を体系的に理解し,説明できることと,②よくある紛争類型について,基礎的な法的問題を予防・解決するための法律構成等を指摘して,趣旨・要件・効果等について解釈論を展開でき,事実の分析等を論理的にできることを目標とします。
授業外の学習
(予習) ・機関と株式の双方の知識があった方が理解しやすい論点が多いため,なるべく早い段階で,高橋美加ほか「会社法」(弘文堂)の会社法Ⅰの全範囲(第1章総則,第3章機関,第2章株式,第11章種類株式等)を通読し,全体の概要を把握することが望ましいです。 ・オンデマンド配信をする際も,ある程度必要な説明をした後,動画の途中で問を出すことがありますので,5分/回程度で良いので,答えを自分なりに考えてから,解説動画を視聴して下さい。 (復習) ・毎回の授業の直後に,配布資料・教科書・判例集等を復習し,理解を深めた上で,毎回の授業で習ったことを何も見ずに説明できるようにしておいて下さい(1時間/回)。 ・授業で扱った分野に関する短めの事例問題等を解いて(1時間/回),分からなかった点を中心に再度復習すること(1時間/回)が望ましいです(問題を解けなかった原因を分析して,その対策を洗い出し,その中から自分に合った対策を選択・実行した後,その効果を確認して勉強方法を再考することを続けると,とても力が付きます)。 ・回によっては復習用の演習問題を出す可能性があります(5分〜2時間/回)。 ・毎日5分〜15分程度で良いので,配布資料等を反復復習して下さい。 (優先順位等について) ・原則,予習より復習を優先して下さい。 ・後ろの方で習うことが前の方で習うことを理解するために必要になることが多いので,前の回の復習が完全に終わっていなくても,次の回の動画をためずに視聴することを優先して下さい。一周目で完璧に理解できなくても良く,繰り返し反復学習することで理解を徐々に深めてくれれば結構です。
所要時間: 200分以上
スケジュール
- イントロダクション(授業の運営方法・評価・予習復習方法等,会社法とは)
- 会社法総則(会社の種類・特徴(営利性・法人性・社団性))
- 株式会社総則(株式会社の特徴・株式会社の規模等に応じた規律(株式会社の区分規制)・典型的な紛争類型と解決策等)
- 機関(取締役の種類・資格等)
- 機関(取締役の選解任)
- 機関(取締役の報酬等)
- 機関(取締役会の招集(招集通知)・決議(特別利害関係人))
- 機関(会社の代表権・代表取締役の権限濫用・表見代表取締役・決議なき行為の効力)
- 機関(事業譲渡・重要な財産の処分(決議なき行為の効力等)))
- 機関(取締役の義務(善管注意義務・忠実義務・法令遵守義務))
- 機関(取締役の義務(監視監督義務))
- 機関(取締役の義務(競業避止義務・利益相反取引))
- 機関(役員等の損害賠償責任)
- 機関(株主代表訴訟)
- 機関(株主による取締役の行為の差止請求・検査役の調査・役員の責任軽減・会社補償・責任保険等)
- 機関(監査役・監査役会・会計監査人・会計参与・指名委員会等設置会社・監査等委員会設置会社)
- 機関(株主総会の概要・権限・招集)
- 機関(株主総会の招集等)
- 機関(株主総会の議事・決議・手続等)
- 機関(株主総会の議事・決議・手続等)
- 機関(株主総会決議の瑕疵)
- 機関(株主総会決議の瑕疵)
- 株式(株主の権利義務)
- 株式(株券・株主名簿等)
- 株式(株券・株主名簿等)
- 株式(株式譲渡(株式譲渡自由の原則と譲渡制限)・株式譲渡担保)
- 株式(株式の相続と準共有)
- 株式(株式の意義と種類(種類株式)・株式の単位調整)等 以上は予定です。多少前後することがあります。 上記の各回の予定によらず,発展的な内容等は最後の方の回に回すことがあります。
教科書
下記の判例集・基本書は,開講時の最新版を購入することを推奨します。 授業は会社法改正を前提として行うので,最新の会社法改正を反映した版の基本書を使用して下さい。
会社法(第3版)
著者: 髙橋美加,笠原武朗,久保大作,久保田安彦
出版社: 弘文堂,2021年
会社法(第4版)
著者: 田中亘
出版社: 東京大学出版会,2023年
会社法判例百選(第4版)
著者: 神作裕之・藤田友敬・加藤貴仁編
出版社: 有斐閣,2021年
参考書
判例百選をメインの判例集として用い,商法判例集を補充的に用います。
商法判例集(第9版)
著者: 神作裕之・藤田友敬編
出版社: 有斐閣,2023年