債権法総論 I(債務不履行,弁済,責任財産の保全)
法学部
LAW50710
コース情報
担当教員: 小山 泰史
単位数: 2
年度: 2024
学期: 春学期
曜限: 水1
形式: 対面授業
レベル: 200
アクティブラーニング: なし
他学部履修: 可
評価方法
リアクションペーパー
定期試験
定期試験期間中
その他
リアクションペーパーの評価の割合は,申請しているTAが採用されるかどうかによって変更することがある。
詳細情報
概要
この講義では,債権法総論に属するルールを取り上げる。授業の前半では,主に,債務の履行の方法などに関するルールや,債務を履行せずまたは履行できなかった場合の損害賠償についてのルールなどを扱い,授業の後半では,主に,債権者代位権,詐害行為取消権などの債務者の責任財産を保全するための法制度を取り上げる。 民法等の条文を確認しつつ,ひとつひとつの法制度が,どのような場合にどのような結果をもたらすのかについて理解を深めていく。その際,判例や学説を踏まえつつ,各法制度が何のために存在しているのか,どのようなはたらきをするのかについて検討していく。 なお,例年であれば「弁済による代位」はこの授業で取り扱う範囲であるが,秋学期開講の担保物権法で取り上げる予定である。この項目は抵当権の共同抵当(民法392条)とセットで理解する必要があり,同じ担当者が授業を担当する担保物権法の中で取り上げるのが適切であるからである。 また,この授業の後半で取り上げる「責任財産の保全」(債権者代位権,詐害行為取消権)も担保物権と密接に関係する項目である。この授業と担保物権法は併せて受講されたい。テキストも共通のものを使用する予定。
目標
(1) 債権法総論のうち,債務不履行,弁済,責任財産の保全などにかかわる法的ルールについて,その内容やその制度趣旨を理解できる。 (2) 上記領域に属する法制度について,判例や学説の立場を説明できる。 (3) 上記領域に属する法制度にかかわる具体的事例を具体的に分析できる。
授業外の学習
予習として,教科書または参考書として掲げた書籍のうち,授業各回の内容に関連する箇所を,列挙されている条文を読みながら,予習しておくこと。その際,教科書・参考書に掲載されている最高裁判例については,判例百選でその事案と判旨を確認しておくこと。 復習にあたっては,授業で取り扱われた法制度等について,その要件・効果,制度趣旨,判例の示した解釈論などを説明できるか確認したうえ,十分に説明できない場合,該当箇所について教科書等に立ち返り,知識の定着と整理を図るように努めること。
所要時間: 190分
スケジュール
- 債権法総論Ⅰの内容の概説--債権法各論1や民法総則との関係等 債権の概念――債権の定義・発生・目的など(債権入門)/債権の種類
- 債権の概念――債権の定義・発生・目的など(債権入門)/債権の種類(続)/債権の効力 *特定物債権と種類債権,金銭債権と利息債権,高金利規制,選択債権,安全配慮義務
- 債務不履行総論--債務不履行その1 債務不履行の種類=履行遅滞,履行不能,その他の債務不履行 債務不履行による損害陪葬(総論)
- 債権の効力--履行の強制 直接強制,代替執行,間接強制
- 債務不履行に基づく損害賠償・要件(1) 義務違反の態様(安全配慮義務ほか),免責事由,履行補助者
- 債務不履行に基づく損害賠償(2)・損害賠償の効果(1) 債務の履行に代わる損害賠償(塡補賠償)
- 債務不履行に基づく損害賠償(3)・損害賠償の効果 (2) 損害賠償と「損害」損害賠償の範囲,損害の金銭的評価
- 債務不履行に基づく損害賠償(4)・損害賠償の効果(3) 違約金,損害賠償による代位
- 第三者による債権侵害債権の効力/弁済の提供・受領遅滞以外の債務消滅原因
- 責任財産の保全(1)・債権者平等の原則,債権回収/債権者代位権(1)
- 債権者代位権(2)
- 詐害行為取消権 (1) 詐害行為取消権の要件,行使の方法
- 詐害行為取消権(2) 行使の方法(続),期間制限等
- 詐害行為取消権(3)/全体のまとめ
教科書
最新版の六法を手元に用意してください。また,下記テキストはテキスト内の事例を授業中に参照するので,用意してください。
民法Ⅲ 債権総論・担保物権(第4版)
著者: 内田貴
出版社: 東京大学出版会・2020年
民法判例百選Ⅱ 債権 第9版
著者: 窪田充見=森田宏樹編
出版社: 有斐閣・2023年
参考書
書籍情報はありません。