環境法各論
法学部
LAW12000
コース情報
担当教員: 北村 喜宣
単位数: 2
年度: 2024
学期: 春学期
曜限: 金2
形式: 対面授業
レベル: 200
アクティブラーニング: あり
他学部履修: 不可
評価方法
詳細情報
概要
「環境法各論」においては,「環境法総論」の受講がされていることを前提として,そこで習得した知識をもとに,主要な国内環境法をさらに深掘りして学習する。「環境法総論」では,個別環境法の条文や判決をじっくりと読んで,そこに潜む法的論点を検討することはされなかった。この講義においては,対応すべき環境負荷に環境法がどのような発想にもとづく法的仕組みでアプローチしているのかを,条文や判決に則しつつ解説する。主に取りあげるのは,水質汚濁防止法,大気汚染防止法,土壌汚染対策法,悪臭防止法,騒音規制法,環境影響評価法である。都市法分野の都市計画法,建築基準法,景観法についても解説する。
目標
環境法の基本的考え方を踏まえつつ,個別環境分野の法規制が,個別法においてどのように規定されているのかについての理解が得られることを目的とする。
授業外の学習
1. カバーされる範囲のQについて,提示される論点を踏まえつつテキスト該当部分,法律,ロヨラにアップされる資料などを読んで,自分なりの答えを用意(5~10行のメモをつくる。)して授業に臨むことがベストである。 2. Qについては,具体的にどの頁に関係する記述があるかは,あえて示していない。章との対応関係はあるので,全体をじっくりと読み,場合によっては自分でリサーチをすることが推奨される。 3. 毎回授業に関する予習及び復習には,3時間程度を要する。
所要時間: 190分
スケジュール
- 〇イントロダクション 〔概要〕オリエンテーションのあとは,「環境法物語」を通じて,この授業で学ぶ内容を概説する。
- 〇環境法の目標と基本的考え方 〔概要〕個別環境法は,究極目的の実現を目指して基本的考え方に立脚して制度設計されている。環境法の基礎的部分ともいえる内容を学習する。
- 〇環境法の基本的メカニズム 〔概要〕環境法には,共通する仕組みがある。基本的考え方のうえに組み立てられる規制法の構造を学ぶ。
- 〇都市環境管理で考える 〔概要〕私たちの住む地域には,どのような法的規制があるのか。都市計画法や建築基準法を中心に,良好なまちづくりのための法制度を解説する。
- 〇自然環境管理で考える 〔概要〕国立公園や国定公園の根拠法である自然公園法を中心に,自然環境管理の法システムを学習する。あわせて,野生生物保護への法的対応も解説する。
- 〇水環境管理で考える 〔概要〕水質管理法制の展開は,日本の環境法の発展の歴史でもある。水質二法から水質汚濁防止法,さらには改正内容の学習を通じて,その全体像を把握する。
- 〇大気環境管理で考える 〔概要〕大気汚染防止法は,ばい煙規制,粉じん規制,リスク物質規制など多様な内容を持っている。その代表的仕組みを学ぶ。
- 〇騒音環境管理と悪臭環境管理で考える 〔概要〕私たちの身近な環境問題である騒音と悪臭。その原因者に対する法的仕組みの特徴を学ぶともに課題も確認する。
- 〇廃棄物管理で考える 〔概要〕廃棄物処理法は,環境法のなかでも難解な構造を持っている。排出事業者処理責任を基本とするその法的仕組みを解説する。
- 〇土壌汚染で考える 〔概要〕土壌汚染は,すでに存在しているストック汚染である。その特徴を前提とした対応の法的仕組みである土壌汚染対策法を解説する。
- 〇環境アセスメントで考える 〔概要〕事業の環境影響をあらかじめ予測して負荷低減の方策を考えさせるのが環境アセスメントである。環境影響評価法の必要性,その仕組み,課題について解説する。
- 〇環境紛争を考える 〔概要〕環境法に関する法的紛争としては,民事訴訟,行政訴訟,刑事訴訟がある。それぞれの特徴について,具体例を踏まえて解説する。
- 〇執行は現場でされている 〔概要〕環境法の多くは,その実施権限を自治体に与えている。自治体行政現場において,環境法はどのように実施されているのだろうか。執行過程の実態を学ぶ。
- 〇ゲストスピーカー(西尾哲茂氏(元環境事務次官)) 〔概要〕環境省において環境法の立案を多く担当された元実務家より,どのような調整や配慮を経て法律が制定されるのかをうかがう。
教科書
いずれも授業に必携を求める必要図書である。
環境法〔第2版〕
著者: 北村喜宣
出版社: 有斐閣,2019年
十一訂ベーシック環境六法
著者: 大塚直+北村喜宣+高村ゆかり+島村健(編)
出版社: 第一法規,2024年
参考書
書籍情報はありません。