プロジェクト・ゼミC(芸術文化論コース)
文学部
HUM60890
コース情報
担当教員: 川口 茂雄
単位数: 2
年度: 2024
学期: 春学期
曜限: 木5
形式: 対面授業
レベル: 400
アクティブラーニング: あり
他学部履修: 可
評価方法
出席状況
授業参加
その他
意欲ある受講を歓迎します。エンジョイしていただければと思います。
詳細情報
概要
優れた深夜アニメ作品を研究する。 2006年頃からの地上デジタル放送開始とテレビの大画面化などによって,劇場作とテレビ放送作品との区別を無条件に前提することはあまり意味をなさなくなっている。むしろ,劇場作のほうが総尺が短く,あわただしいアクションばかりの,知的でない作品が多いのが実情という面もあるだろう。このプロジェクト・ゼミでは,深夜テレビアニメ作品を高度な芸術的表現として研究することを試みる。 今学期取り上げる作品としては,比較的最近の『86 エイティシックス』と『アイドルマスターシンデレラガールズ U149』の二つを中心にする。(受講者からの希望によって,他の作品も時間の許す範囲で取り上げる可能性はある。) 『86』は政治・軍事・テクノロジー・職場の人間関係といったテーマを扱いつつ,金属や自然の表現などでそれらに説得力を付与しており,画面づくりも興味深い。声優陣の演技も充実している。海外にも熱心なファンが多いようだ。 『U149』は,高水準の作画・音声・演出で,同じ監督の『無職転生』と同様に緻密な仕上がりを見せている。この作品も職場,働くこと,といった社会的テーマに,非写実主義的な手法を駆使しながら,繊細な仕方で取り組んでいる。 どちらの作品も,特に最終話が非常に感動的であると高い評価を得ている。大事なのは,まずは感動することであるが,次いで,その感動がどのように惹き起こされたのかを分析することもまた,意義ある作業になるだろう。 これら二作品について,さまざまな一つひとつの感銘深い場面はどのように感銘深いのか,そのしかけを解明するべく,皆で説明と言語化を試みていきたい。 (ただし通俗的な語彙やあらすじ的な語彙ではなく,実際に絵画表現の説明として通用する語彙の習得と使用をこの授業では目指したい。) 形式は受講者の人数によるが,学期中に一回の発表をおこなっていただき,皆でディスカッションすることで,理解と語彙の共有を促進してゆく。
目標
優れたアニメ作品について,それがどのように優れているのか,一定程度以上に,言語化して説明できるようになること。
授業外の学習
発表の準備には相応の時間が要されるだろう。 また,二作品について各自で詳しく視聴することは求められる。
所要時間: 190分
スケジュール
- イントロダクション
- 準備的な概論 発表担当回の調整
- 『86』 通信
- 『86』 戦闘機
- 『86』 夜と空と政治
- 『86』 声と金属
- ここまでの振り返り
- 『U149』 構図,コンテ
- 『U149』 セリフとして語られること,語られないこと
- 『U149』 クライマックスはどうつくられている
- 『U149』 編集の1秒
- 『U149』 なぜ視聴者はそれが気になるのか
- 『U149』 人物を見る視聴者,人物が何を見ているのかを意識する視聴者
- 今学期のまとめ
教科書
dアニメストアは必要になるだろう。
〈戦い〉と〈トラウマ〉のアニメ表象史
著者: 森茂起・川口茂雄(編)
出版社: 日本評論社・2023年
参考書
書籍情報はありません。