プロジェクト・ゼミB(芸術文化論コース)
文学部
HUM60880
コース情報
担当教員: 佐藤 朋之
単位数: 2
年度: 2024
学期: 秋学期
曜限: 木2
形式: 対面授業
レベル: 400
アクティブラーニング: あり
他学部履修: 可
評価方法
出席状況
授業参加
レポート
詳細情報
概要
1800年前後のドイツでは,一群の若者たちが,同時代の啓蒙思想,古典主義の芸術,フランス革命に係る社会思想・制度の変革,発展著しい自然科学等々に,時に強く反発し,あるいは逆に強く惹きつけられながら,〈近代〉における新しい芸術と独自の世界観を生み出そうと,各人各様の行動を起こしました。彼らの懸命な試みは,現代につながる「ロマンティック」と呼ばれる芸術の一大潮流を形作ることになります。本ゼミナールでは,音楽,文学,絵画,あるいはバレエといった様々な芸術ジャンルを関係付けながら「ロマンティック」とは何かを理解し,また同時代の芸術作品をより高いレベルで楽しむための視点を,受講者それぞれが発見していけるよう授業を進めていきます。そのうえで「ロマンティック」な世界観のアクチュアリティー,現在における有効性について考えます。 たとえば,現実と理想のはざまで,態度決定しない/できない不安定な感覚,個人的な思いを他者に伝えようとして上手くいかずに苦悩する感覚,これらは(おそらく今日でもなお有意味な)ロマン派(的)芸術の中心的な主題です。 授業は,随時受講者の発表を組み合わせながら進める予定です。その方法(発表の形式など)については,受講者と話し合って決めます。 なお,講義は1800年前後のドイツ語圏の「ロマンティック」を中心に展開されますが,もちろん受講者の興味関心,専門領域に応じて,ほかの地域・時代における同様の文化現象も並行して扱いたいと思います。
目標
ロマン派の諸芸術を縦横しながら,同時代の音楽がもつ精神史的背景を理解する。そして「ロマンティック」なものが現代の私たちにとって,なおアクチュアルな〈切実さ〉を孕んでいること,あるいは,すでに完全に異質なもの,オワコンになってしまっていることを,個々の芸術作品を通じて考察・実感してもらいたい。
授業外の学習
授業で提示された芸術作品を各自(予習・復習を兼ねて)鑑賞すること。また,自分の関心領域にしたがって,また教員やほかの受講生と連絡をとりながら,「ロマンティック」な音楽(ないしその他の芸術)について,理解を深め,発表の準備を進める。
所要時間: 190分以上
スケジュール
- 導入(初回に,授業の進め方,発表,成績評価の方法などについて説明します。必ず出席のこと。) 以下は,予定されるテーマであり,受講者の関心,授業の進捗状況によって,変更の可能性があります。
- C. D.フリードリヒの「ロマンティック」な風景(絵画)
- シューベルトのピアノ・ソナタと《冬の旅》(音楽)
- ノヴァーリス『夜の賛歌』(文学)
- ルンゲ《ヒュルゼンベック家の子供たち》(絵画)
- 子供とピアノ(ロマン派の「子供」観)
- シューマン《子供の情景》(音楽)
- シューベルト《死と乙女》(音楽)
- E.T.A.ホフマンの音楽論(文学と音楽)
- ベートーヴェンの「英雄」像(音楽)
- 「芸術家」像の成立
- バレエ《ジゼル》(バレエ) 「ロマンティック」における生と死の狭間
- 参加者の発表と質疑応答(12月〜1月には,ご自分で決めたテーマで発表をしていただく予定です。)
- 参加者の発表と質疑応答(同上) 最終的に受講者は発表内容をレポートにまとめる。
教科書
必要に応じて,プリントを配布する。(あるいはPDFファイルのかたちで提供する。)
参考書
必要に応じて指示します。