日本思想テキスト演習

文学部

HUM60690

コース情報

担当教員: 美濃部 仁

単位数: 2

年度: 2024

学期: 春学期

曜限: 木5

形式: 対面授業

レベル: 300

アクティブラーニング: あり

他学部履修:

評価方法

授業参加

30%

リアクションペーパー

30%

レポート

40%

詳細情報

概要

西田幾多郎(1870-1945)のテキストを読みながら,彼の思想の特徴を理解するとともに,その意義について考えることを目的とする。西田は「私」を,「私」を出発点とするものとは考えず,「世界」から考える。しかも,「世界」から考えることによって「私」の自由は否定されるのではなく,むしろ真に説明されるというのが西田の見方である。そのような見方は,すでに最初の著作『善の研究』(1911)の中に認められるが,後の論文「私と汝」(1932)においてより詳細に体系性を備えた形で示される。授業では,西田に大きな影響を与えた思想家も顧みながら,『善の研究』と「私と汝」の重要部分を抜粋して読む。

目標

哲学のテキストを正確に読む努力をする中で,次のような力を養うことを目標とします。 (1)根本概念(「私」や「世界」など)を理解するために必要になる,テキストで問題にされている事柄を自分の問題として考える力。 (2)批判的に考える力。 (3)論理的に考える力。 (4)人の話を正確に聞き,自分の考えを述べる力,あるいは議論する力。

授業外の学習

授業で取り上げられた問題を,授業後にもう一度自分の経験に即して考え,次の授業で例をあげて自分の言葉で説明できるところまで理解を進めてください。その際は,授業で用いた資料のほか,必要に応じて,授業で言及した他の哲学者の著作や,シラバスに記した参考書なども参照することをお勧めします。

所要時間: 復習/予習の時間としては,3~4時間が期待されます。

スケジュール

  1. 西田の生涯
  2. 『善の研究』について(『善の研究』1)
  3. 「純粋経験」(『善の研究』2)
  4. 物と心の存在について(『善の研究』3)
  5. ジェームズの「意識の流れ」との対比(『善の研究』4)
  6. ヘーゲルの「具体的一般者」との対比(『善の研究』5)
  7. 西田における「自然」と「精神」(『善の研究』6)
  8. これまでのまとめと議論
  9. 『善の研究』から「場所」,「私と汝」へ
  10. 時間と空間について(アウグスティヌス『告白』を参照して)
  11. 「私」の存在の時間性(「私と汝」1)
  12. 「私」の存在の社会性,あるいは愛(「私と汝」2)
  13. 「私」の存在の創造性(「私と汝」3)
  14. まとめ

教科書

テキストは,どの版のものでもかまいません。岩波書店の旧版,新版の全集のほかに,岩波文庫(『善の研究』,『西田幾多郎哲学論集 I』)にも入っています。

  • 『善の研究』

    著者: 西田幾多郎

  • 「私と汝」

    著者: 西田幾多郎

参考書

  • 『西田幾多郎を読む』

    著者: 上田閑照

    出版社: 岩波セミナーブックス 1991

  • 『心理学』

    著者: W. ジェームズ

    出版社: 岩波文庫 1992-1993

  • 『告白』

    著者: 聖アウグスティヌス

    出版社: 岩波文庫 1976

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