国際移動と人権

総合人間科学部 - 社会学科

HSC52800

コース情報

担当教員: 細木 一十稔 ラルフ

単位数: 2

年度: 2024

学期: 秋学期

曜限: 火5

形式: オンデマンド授業+同時双方向型授業(Zoomなど)

レベル: 200

アクティブラーニング: あり

他学部履修:

評価方法

出席状況

15%

授業参加

15%

授業内期末試験

授業期間中

15%

中間試験

授業期間中

15%

小テスト等

30%

その他

グループプレゼンテーション

10%

詳細情報

概要

「国際(労働)移動」という現象はひとつの学問領域や理論枠組みでは十分に説明できないため,国際移動研究は学際的な研究分野である。本授業は,1)国際移動が開始・継続する理由やその方向性,タイミング,そして性質などといった,いわゆる「移動過程」(movement processes)について,そして2)その移動過程を経て,もしくはその過程の中で起きる「定住過程」(settlement processes)について,学際的に考えていく。これらの過程の中での移住者の経験や権利にも焦点を当てつつ,日本の事例も紹介する。 例えば,①移民の移住する最初の決断や継続する決断の背景にある個人・世帯・人間関係上の要因,②移住労働者を押し出す・引き入れる送り出しや受け入れ国の経済的・社会的な構造要因,③入国を管理・規制する政策の機能や性質に影響する政治経済的要因やそのような制度的「障害」の回避を可能とする移民・ブローカーネットワークの存在,④移動・移住のあり方や捉え方に影響を与える移民の越境(トランスナショナル)アイデンティティや「空間」の構築,⑤国際規範が受け入れ国の移民の受け入れのあり方や扱い方,そして権利の捉え方に及ぼす影響など,「誰によって」,「なぜ」,「いつ」,「どのように」,そして「どの程度」国際移動が起きているのかを多元的・学際的に学ぶ。 学期中に扱う理論枠組み,文献で読む実態,そしてドキュメンタリーを通して垣間見る現状の知識を応用しながら,各自が自分なりに,国際移動の動向・実態,移住者が移動過程や受け入れ国で直面・経験しているリアリティー,そして様々な国々の移民受け入れ・入国管理制度の特徴・仕組み・課題・限界などに少しでも関心を持ち,それらの社会現象が自分の生活や経験とどのような関係があるのかについてより深く,かつ批判的に考えられる学びの時空間・機会としたい。

目標

・国際移動の移動・定住過程に着目している文献を読み,国際移動の仕組みを多元的・学際的に理解する。 ・様々な理論枠組みを学び,関心のある国や地域における国際移動の実態を説明・理解するために,それらの理論枠組みをどの程度応用できるのか,応用の限界がある場合は,既存の理論枠組みの何を見直せば説明・理解ができるのかを批判的に考えられる力を育む。

授業外の学習

原則として,毎週の授業時間外(講義動画の視聴とZoomディスカッションの時間以外)の平均的学習内容や時間は以下の通りである: ・(原則毎週)文献:日本語の場合は1章程度,英語の場合 は10~15ページ程度(所要時間:各回150分程度) ・(ほぼ毎週)小テスト(所要時間:各回30分程度) ・(定期的に)プラスαの動画の視聴*(Moodleコースページにあるリンクからアクセス)(所要時間:各回10~50分程度) *講義動画の所要時間の目安は30~70分程度,ドキュメンタリー・映画の所要時間の目安は50~70分程度です。したがって週によっては,講義動画・ドキュメンタリー・映画を最後まで視聴するために必要な時間が授業前半の「オンデマンド」部分の50分を超えるため,17:20に視聴を開始してしまうと18:10から始まる同時双方型オンライン授業までに見終わりません。見終わってから小テストに回答する時間(30分程度)も必要となりますので,逆算して計画的に勉強を進めてください(ですから動画の視聴が実質的に「宿題」となる週があることを予め把握しておいてください)。 ・上述の通り,ほぼ毎週,同時双方型オンライン授業の開始時間までに終わらせる小テストがあります。 ・学期末にグループプレゼンテーションがあるので,クラスメイトと交流・協力しながらプレゼンテーションの準備をすることも求められます。

所要時間: 授業1 回あたり190 分以上

スケジュール

  1. イントロダクション:概要,シラバス,アクティビティ(初回授業は17:20からZoomで行います。Loyola掲示板やMoodleのコースページに掲出されているリンクを使ってください。) (以下のスケジュールは予定・目安であり,受講生の人数や関心,そして授業の進捗状況などにより,必要に応じて適宜に調整する。詳しい授業内容は初回授業で説明しますので,履修希望者はそれを理解した上で受講を決定してください。)
  2. 国際移動の個人・制度的要因:ディスカッション
  3. 理論(新古典派経済学,労働移民の新経済学,二重労働市場論)
  4. 理論(世界システム論)
  5. 理論(社会的・制度的ネットワーク,累積的因果関係)
  6. 理論(政治経済学や国際関係論からみる説明要因)
  7. 試験1
  8. 理論(定住)
  9. 日本のケース(背景)
  10. 日本のケース(問題と運動)
  11. 試験2
  12. グループ・プレゼンテーションの準備
  13. グループ・プレゼンテーション(1)
  14. グループ・プレゼンテーション(2)

教科書

テキストはありません。学期のはじめに文献リストを配布します。

    参考書

    S・カースルズ,M・J・ミラー著(関根政美,関根薫 訳),『国際移民の時代 第4版』名古屋大学出版会, 2011年.

      © 2025 上智非公式シラバス. All rights reserved.