逸脱の社会学

総合人間科学部 - 社会学科

HSC50200

コース情報

担当教員: 大庭 絵里

単位数: 2

年度: 2024

学期: 秋学期

曜限: 月4

形式: 対面授業

レベル: 300

アクティブラーニング: なし

他学部履修:

評価方法

リアクションペーパー

30%

授業内期末試験

授業期間中

40%

中間試験

授業期間中

30%

詳細情報

概要

本講義は,「逸脱」「社会問題」とされる事象や行為についての社会学的研究を概観し,「逸脱」と「社会問題」を研究する視点についての理解を深めることを目的としている。 授業では,主に逸脱,犯罪・非行などについて,社会学はどのように捉えてきたのかを学ぶ。特に後半は,社会的構築主義の視点から逸脱をとらえる。すなわち,逸脱,犯罪・非行,社会問題がいかにして「構築」されるのか,その過程を捉える際の視点や研究方法などを学ぶ。 「逸脱」を学ぶということは,「秩序」,「規範」及び「社会統制」について学ぶことでもある。「当たり前」とされていることは,「当たり前」なのだろうか。 わたしたちが社会の中で起きている犯罪等の事象を知る時,ニュース・メディアから情報を得ていることがほとんどである。ニュース・メディアは,犯罪や逸脱についてどのように伝えているだろうか。日本の司法制度や犯罪・非行について学ぶと同時に,ニュース・メディアにおける犯罪や逸脱事象とされる事柄や出来事がどのような現実として構築されているのかについて学ぶ。 授業では様々な理論を学ぶので,この分野への関心があること,及び,様々な事象についてじっくり考えられる根気を必要とする。さらに,難解な概念や術語があり,かなりハードな内容であるため,積極的に勉強にとりくまなくてはならないことに留意されたい。2回の試験においては,社会事象のみならず,理論への理解を示すことを学生に求める。

目標

本講義では,受講生が「逸脱と統制」とはどのようなことか,それに関する理論や視点を学び,理解すること,私たちの日常生活や社会において「望ましくない」とされる行為や事象がどのようにして構築されるのか,考察する力を養うことを目標としている。 さらに,本講義は,日本社会における逸脱事象,犯罪,非行,社会統制及びそれに関わる諸制度についても受講生が学ぶことを目標としている。

授業外の学習

授業ではスライドは用いず,ホワイトボード/黒板を使用する。授業の内容は必ずノートにとり,そのノート等や関連する文献を読んで復習し,参考文献は読んでから次の授業にのぞむことが求められる。

所要時間: 毎回の授業につき,約4時間程度の予習・復習が必要となる。

スケジュール

  1. イントロダクション 授業のスケジュールと授業内容の概観 以下の講義スケジュールは,講義の進行によっては順番の変更,統合,内容の差し替えがあり得る。こらについては,授業において,教員が情報を伝える。
  2. ヨーロッパにおける社会病理学の誕生とアメリカでの理論の発展。デュルケムの時代から20C初頭のシカゴ学派までの歴史と諸理論の流れを追う。
  3. 逸脱に関する実証主義的研究の発展(1) 社会解体と文化学習理論
  4. 逸脱に関する実証主義的研究の発展(2) 緊張理論
  5. レイベリング論(Labeling Theory) 逸脱というラベルの付与,カテゴリー化過程。
  6. レイベリングとアイデンティティ ラベルの付与は自己にどのような影響を与えるか。
  7. 前半授業のふりかえり 授業内中間試験
  8. 社会問題の社会的構築--「社会問題」とはどのように捉えられるのか。 クレイム申し立て活動と「問題」というカテゴリーの付与過程はどのようなものか。
  9. 「望ましくない社会問題」はどのように構築され,どのようにして「問題」として「発展」するのか。その過程の特徴とクレイムの言説的資源について学ぶ。 人々の「常識」や「感情」の構築と再生産について考える。
  10. 日本における刑事司法。日本の司法制度を知る。犯罪と非行についての統計からわかることは何かを考察する。
  11. メディアと犯罪・刑事司法について考察する。メディアは犯罪/逸脱をどのように表彰し,どのように構築しているのか考察する。
  12. 人々の犯罪不安がどのように社会的に構築されてきているのかを考察する。犯罪に関する現実の構築について再考する。人々の「安心」と「監視」「統制」について考える。
  13. 逸脱と社会統制についての総括をする。
  14. 授業内最終試験と授業全体のふりかえり。

教科書

教科書は使用しない。毎回,絶対に使用すると断言できる本がないためである。しかし,以下の参考図書は頻繁に授業において使用する。

    参考書

    以下の図書は授業の単元によって読むべき文献のページ等が異なるため授業において指示する。 リザーブ図書については授業初回に説明する。以下の文献以外に,授業内容を理解する上で必要な文献・資料(和文,英文)を追加する場合には,Moodle及び授業において紹介する。 ・どの授業にどの文献を参照しておくべきかについては,Moodle及び授業において1週間前までには告知する。 (英文文献を読む英語力も求められる)

    • よくわかる犯罪社会学入門

      著者: 矢島正見,丸秀康,山本功

      出版社: 学陽書房,2009

    • 犯罪学リテラシー

      著者: 岡本英生,松原英世,岡邊健

      出版社: 法律文化社,2017

    • Perspectives on Deviance and Social Control, 2nd ed.

      著者: M.Inderbitzin, K.A.Bates, R.R.Gainy

      出版社: Sage, 2019

    © 2025 上智非公式シラバス. All rights reserved.