社会心理学

総合人間科学部 - 社会学科

HSC50100

コース情報

担当教員: 大庭 絵里

単位数: 2

年度: 2024

学期: 春学期

曜限: 月4

形式: 対面授業

レベル: 300

アクティブラーニング: なし

他学部履修:

評価方法

リアクションペーパー

30%

授業内期末試験

授業期間中

40%

中間試験

授業期間中

30%

詳細情報

概要

本講義は,「心理学」についての講義ではないことに,あらかじめ注意を促したい。 本講義は「社会学」の分野であり,相互行為,自己,日常生活,秩序等にアプローチする社会学の学術研究の分野について講義する。 具体的には,個人が他者とどのように相互に関わり,自らの行為をくみたてるのかに関心がある。他者との相互行為はどのようにして成り立っているのだろうか。人は自己をいかにしてとらえるのだろうか。人は他者との相互行為からいかにして現実を構築し,行為をくみたてるのだろうか。講義ではこのような問いに答えていくために,様々な理論的枠組と議論を紹介していく。 理論的には,まずシンボリック相互行為論の視点を中心に解説する。相互行為に関する諸理論を取り上げ,さらに社会的構築主義の視点から現実や自己がどのように構築されているのか考察する。 本講義では,様々な理論を比較検討しながら理解することが必要となる。難解な概念や術語があり,学生自らが積極的に勉強にとりくまなくてはならないことに留意されたい。2回の試験においては,社会事象のみならず,理論への理解を示すように学生に求める。 試験では,理論的思考をもとめ,学生自身が具体例についての説明ができるように求めるので,学生は復習において準備す必要がある。 授業へのコメントとして学生が何らかの問題について見解を述べることはある。しかし,本講義では,学生たちが見解を述べ合って問題を解決するというグループディスカッションはしない。

目標

人の行為を相互行為からみつめ,私たちが「現実」をどのように構築しているのかについて考え,理解することが,本講義の目標である。受講生が社会学の知識と理論をもとにしながら,自らのの日常生活や自己について考察できるようになることも,本講義の目標である。

授業外の学習

・前の週の授業をノート等をみて復習してから,次の授業に臨むことを求める。 ・参考文献については,下記の文献以外に,講義においていくつか紹介するので,前もって,その文献のなかで授業にかかわる部分(章やトピックなど)を読んでから授業に参加することが望ましい。授業後も復習として読むことを求める。 ・文献(英文)はリザーブ図書に指定する予定である。各自が事前に準備する必要がある。

所要時間: 毎回の講義につき,約4時間の予習・復習が必要となる。

スケジュール

  1. イントロダクション--人の行為について,他者との関係から考える。社会学の視点からの授業であるため,社会学の基礎的な考え方を紹介する。 学期中にどのようなことを学ぶのかを解説する。 授業の運営について解説する。 以下の講義スケジュールは,実際の授業の進行によっては順番の変更,統合があり得るので,授業中の説明を聞く必要がある。
  2. シンボリック相互作用論の基本的な考え方と概念(社会的客体,シンボル,言語など)
  3. 自己(Self) (1)……自己相互行為(内的対話),他者の役割取得
  4. 自己(self) (2)……客体としての自己とプロセスとしての自己
  5. アイデンティティ 「自分」をつかむためには他者が必要
  6. 行為の組み立て 状況を定義し,自らの行為を組み立てていくプロセスはどのようなものか
  7. 授業内中間試験 シンボリック相互作用論の特徴とその影響や応用について総括する
  8. E. ゴフマンによる自己の捉え方 ドラマトゥルギーという視点を学ぶ。日常生活は「舞台」上のパフォーマンスのようなもの。
  9. エスノメソドロジー 日常生活においていかにして秩序を生み出し,再生産しているか。
  10. 現実の社会的構築 他者との相互行為から,現実をどのように定義し,行為するのか。
  11. 感情の構築と管理 感情とはどのようなものか 感情の文化的側面
  12. 自己と「語り」 自己についての「物語」
  13. 記憶とメディア 過去はどのように記録され,記憶され,語られるのか。個人の経験と集合的記憶について考える。
  14. 授業内最終テスト 授業をふりかえり,諸理論や視点の理解を深める。日常生活と秩序について考える。

教科書

・毎回の授業で用いる教科書はない。ただし,授業をすすめる上で読むことが授業理解にとって必要な図書は,参考書として以下の掲載している。

    参考書

    ・以下の文献以外の図書などは授業時に紹介する。 ・リザーブ図書については授業時に指示する。以下の図書のうち英語による文献はリザーブ図書に指定する予定。

    • Self and Society: A Symbolic Interactionist Social Psychology

      著者: John P.Hewitt

      出版社: Allyn and Bacon, 2011

    • 自己と他者の社会学

      著者: 井上俊,船津衛(編)

      出版社: 岩波書店,2005年

    • Symbols, Selves and Social Reality: A Symbolic Interactionist Approach to Social Psychology and Sociology

      著者: Kent L.Sandstrom et al.,

      出版社: Oxford University Press, 2014

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