教育・学校心理学

総合人間科学部 - 心理学科

HPS67300

コース情報

担当教員: 稲垣 智則

単位数: 2

年度: 2024

学期: 秋学期

曜限: 金1

形式: 対面授業

レベル: 200

アクティブラーニング: あり

他学部履修:

評価方法

授業参加

20%

リアクションペーパー

20%

レポート

60%

その他

(1)2/3以上の出席,期末レポート提出の2点が評価を受ける最低要件となります。 (2)毎回リアクションペーパーを回収いたします。書かれた内容は次の授業にて取り上げ,さらに授業内容の理解を深めていきます。 (3)欠席,及びリアクションペーパーの内容が際立って不十分な場合には,総合点よりマイナスの評価を行います。 (4)3000字〜5000字の期末レポートを課します。提出は「14回目の講義から1週間後まで」となります。

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詳細情報

概要

教育心理学は,様々な心理学から得られた知見をもとに,子どもをどのように教育すれば,幸せで,成熟した存在となるのかを探る応用心理学である。 教育現場に入る心理師は「治療者ではない」。学校は治療機関ではなく,あくまで教育機関である。そのため,心理学がどのように子どもたちの教育を促進するのかに注目して考える必要がある。子どもと心理師との関係だけではなく,教師と子どもの関係にどのように関わるか,教師といかに関わるかが,教育現場に入った心理師にとって極めて重要なものになる。そこでは組織に関する感覚が問われるし,直接介入だけではなく,間接的に影響力を与えられるような方略も必要になる。その際に心理師が,今まで「何を体験したか」という意識レベルでとどまっていると,言葉は,子どもにも保護者にも教師にも届かないことが多い。言葉はあくまで,その人の「在り方」から導き出されるものである。そして「在り方」とは,体験を十分に咀嚼し,経験にまで高められた段階でようやく養分となり,それを土台として形成される。 授業では,学生自らが日常生活の中で他者を観察し,記録し,そのときに感じたこと・考えたことを「他者に伝わる」文章に変換する訓練を行う。その元となるものは,喫茶店で遭遇したものであっても,電車の中で遭遇したものであっても,友人同士の会話,家族の様子であっても構わない。それらを元に記した文章を共有し,授業内にて学生同士で対話を行うことを想定している。その際,授業・文献から得られた知識を「そのままの形ではなく」活用し,自らの血肉として欲しい。それが,体験を経験にまで高めていくための第一段階である。 授業計画に関しては,受講生の背景,理解度に応じて毎回のトピックや重点の置き方,講義順序などを変更することがある。

目標

(1)「人が集まるとどのようなことが起こるのか」に注目し,人と人との相互作用について理解できる。 (2)自らが感じ,考えていることを,言語によって適切に表現できる。 (3)いじめ・不登校・非行など,今まで知らなかった考え方やあり方を柔軟に捉え,どのような心理状態であるかを想像し,教育現場において生じる問題及びその背景を理解できる。 (4)直接関連がないと思われる書籍や資料からも,教育心理学に関する知見を汲み取り,教育に生かす姿勢が身に付く。 (5)誰か・何かの「せい」にするのではなく,教育現場における心理社会的課題を自ら考え,解決策を実行する責任能力を身につけ,必要な支援を提供できるようになる。

授業外の学習

授業で得られた知識に関して,日常生活でも当てはまる事象がないかを探し,自らの体験と経験を深めるためのサーチライトとして用いて欲しい。授業中に提示する例などは,あくまで担当教員の意見と,その経験から導き出された喩えでしかない。知識は,自らの体験・経験と密接に繋がって初めて機能する。その中で,授業中の観点には不満が出ることもあるだろう。あるいは,発展・拡充させたくなることもあるだろう。それが心理師になった際,子どもたちに対して唯一説得力を持つものであることを知っていて欲しい。そして14回の授業を通して得られたものを,リアクションペーパーや最終レポートにて反映させて欲しい。

所要時間: 予習100分,復習100分。日常生活における授業内容を用いた自己分析を含む。

スケジュール

  1. 「ガイダンス」 評価基準とレポートの詳細,受講に関する心構え,教育現場での諸問題とその背景について
  2. 2:「集団と教育」 服従の心理などと教育との関連について
  3. 3:「いじめの構造1」 社会的な効果と教育との関連について
  4. 4:「いじめの構造2」 排除の構造について
  5. 5:「学習と教育1」 レスポンデント条件づけの原理と不登校について
  6. 6:「学習と教育2」 オペラント条件づけの原理と学級に起こる問題について
  7. 7:「動機づけと教育1」 モチベーションとやる気について
  8. 8:「動機づけと教育2」 動機に関する諸理論と教育について
  9. 9:「対人知覚」 対人知覚の理論と教師が生徒に持つ先入観について
  10. 10:「説得的コミュニケーション」 説得的コミュニケーションの方略とその効果について
  11. 11:「発達と教育1」 それぞれの発達段階における子どもの課題について
  12. 12:「発達と教育2」 権威の型と子どもの自尊心について
  13. 13:「記憶と教育」 記憶に関する実験心理学研究とその応用
  14. 14:「特別なニーズへの支援」 特別なニーズへの対応について

教科書

必要に応じて提示する。

    参考書

    • よくわかる教育心理学[第2版] (やわらかアカデミズム・〈わかる〉シリーズ)

      著者: 中澤 潤

      出版社: ミネルヴァ書房・2022年

    • 狂気へのグラデーション

      著者: 稲垣 智則

      出版社: 東海大学出版部・2016年

    • 「ニセの自分」で生きています

      著者: 稲垣 智則

      出版社: 明石書店・2023年

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