臨床心理学概論
総合人間科学部 - 心理学科
HPS64800
コース情報
担当教員: 横山 恭子
単位数: 2
年度: 2024
学期: 春学期
曜限: 月3
形式: 対面授業
レベル: 200
アクティブラーニング: あり
他学部履修: 可
評価方法
リアクションペーパー
定期試験
定期試験期間中
小テスト等
詳細情報
概要
これだけ科学技術が進歩しても,「なぜ自分がこのような辛い思いをしなければならないのか」という問に対する答えを見出すことはできない。臨床心理学は,このような問に苦しむ人の傍らにいて,その人が自分なりの答えを自分の内側に見出し,自分の足で歩いていかれるようになる一連のプロセスを見守り,心の成熟に資することに役立とうとする実践的学問である。そのための技法として数々の心理療法が存在しており,これらはいずれも専門的で職業的な人間関係を通じて行われる。この講義では,臨床心理学の成り立ちを辿りながら代表的な理論について学び,基本姿勢や心理査定に関する概要を学ぶ。 毎回,Moodle上にリアクションコメントの書き込みを求める。期限が設定されているのでくれぐれも遅れないように留意して書き込むこと。 対面授業の場合には,感染状況や部屋の広さにもよるが,ディスカッションや簡単なワークを行うことを検討している。
目標
⑴臨床心理学がどのように形成されてきたのか,そのプロセスを理解し,説明することができる ⑵臨床心理学の形成に大きな役割を果たした理論について,その特徴を理解し,概要(創始者,文化的背景,理論,心理療法の概要)を説明することができる ⑶さまざまな理論の関係について,考えることができる ⑷心理療法における基本的な姿勢,構造,開始時から終了までのプロセスを学び,説明することができる ⑸多様な心理検査とその特色について理解し,説明することができる
授業外の学習
Moodle上にQuizzesが準備されている。毎週各自必ず確認すること。 リアクションコメントとQuizzesについて考え,整理し,答えていくことで,授業の理解がすすむであろう。 期限はどちらも授業予定日の予定時間から1週間である。 授業内で参考文献を紹介する。目を通すこと。
所要時間: 授業時間外学習に必要な時間は,約190分と見込まれる。
スケジュール
- 臨床心理学とは何か 心理療法の根本原理とその目的 臨床心理学の歴史⑴ 原始心理療法
- 臨床心理学の歴史⑵ 催眠療法の時代
- 臨床心理学の歴史⑶ 精神分析の誕生 フロイトとその理論
- 臨床心理学の歴史⑷ 精神分析から個人心理学へ アードラーとその理論
- 臨床心理学の歴史⑸ 精神分析から分析心理学へ ユングとその理論
- 臨床心理学の歴史⑹ もう一つの大きな流れ 行動理論と行動療法 論理療法から認知療法へ 第三世代の認知行動療法の隆盛
- 臨床心理学の歴史⑺ 人間性心理学の発展:Person Centered Approach ロジャーズとカウンセリング
- 臨床心理学の歴史⑻ 家族療法 対人関係療法
- 臨床心理学の歴史⑼ 日本の心理療法 森田療法 内観療法 動作法
- 臨床心理学の歴史⑽ 集団心理療法
- 心理療法のすすめ方⑴ 聴くこと,「わかる」ということ 心理療法の基本である「聴く」ことの意味 心理療法家の基本的態度 面接をどう始めるか 面接の容れ物,見立て 面接の枠組み
- 心理療法のすすめ方⑵ therapistとclientの関係 症状によって表されているもの 転移・逆転移とアクティングアウト 終結 面接の終結にまつわる諸問題 配慮しておかなければならないこと
- アセスメントと心理テスト⑴ 見立ての必要性 心理アセスメントとは何か,何を見ているのか 知能とは何か 知能検査の歴史と種類,その特徴
- アセスメントと心理テスト⑵ パーソバリティとは何か パーソナリティ検査の歴史と種類,その特徴
教科書
授業の中で,その回ごとに指示する
参考書
以下に記述したもの以外にも,初回の授業で配布する資料に記載
The Discovery of the Unconscious: The History and Evolution of Dynamic Psychiatry.
著者: Ellenberger, H. F.
出版社: Basic Books 1970
無意識の発見:力動精神医学発達史 上・下
著者: アンリ・エレンベルガー(木村敏・中井久夫監訳)
出版社: 弘文堂 1980
新訂 方法としての面接:臨床家のために
著者: 土居健郎
出版社: 医学書院 1992