形而上学研究演習

文学部 - 哲学科

HPH72300

コース情報

担当教員: 長町 裕司

単位数: 2

年度: 2024

学期: 秋学期

曜限: 火2

形式: 対面授業

レベル: 200

アクティブラーニング: あり

他学部履修:

評価方法

出席状況

20%

授業参加

20%

レポート

60%

その他

毎回テキストを読んで準備して授業に臨む演習形式をとる。そのため,各回を1名ないし2名のレポーターが担当し,そのプレゼンテーションの内容やその後のディスカッションでの積極参加も評価に加える。

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詳細情報

概要

「形而上学研究演習」と改名されたこの科目は,ゼミ形式で西洋の形而上学的思惟の様式にとっての根本問題を再検討することにする。特に学部 3・4年生のための,もう一歩哲学の専門的思考を深め,自分の哲学上のテーマを開拓してゆく上で役立つよう配慮するが,大学院とは一線を画して学部の枠内で発展的な思考を養うことを目ざす演習(ゼミ)である。形而上学の歴史と現代の哲学的思惟からの形而上学的な問題構制にとってトピックとなるテーマを設定し,精選されたテキストを取り扱う。 2024年度秋学期は,先ずハイデガー(Martin Heidegger, 1889 - 1976)の中期/後期の思索の歩みの中で〈形而上学の超克(die Überwindung der Metaphysik)〉とモットーを掲げられる思惟の課題が意味するところを開陳する「『形而上学とは何であるか』への序論」(1949年)をテクストとして,西洋形而上学の根本体制を振り返っての省察についてディスカッションする。その上でハイデガーの〈現前性の形而上学批判〉を現象学内部での問題構制刷新へと向けて発展的に継承する J. デリダ(Jacques Derrida, 1930 - 2004)の『声と現象』(La voix et le phénomène, 1967/1998/2003)に挑戦し,現前性の形而上学への囚われから解放される通路を検討したい。実際デリダのこの著書は,フッサールの『論理学研究』第Ⅱ巻の綿密な読解を踏まえた上でのフッサール批判として位置づけられる。この演習に参加する学生諸君の真剣な議論を大いに期待する。

目標

当文学部哲学科の3・4年次生を対象とした演習(ゼミナール)ではあるが,関心が高くやる気のある学生は他学部/他学科からも参加を歓迎する。2年次生でも担当教員との話し合いの上で参加を認める。授業を通しての到達目標は,以下の三点に集約できる。 ・ 西洋哲学の歴史における根本諸問題について,十分な射程を持つ理解と批判的考 察を身につけること。 ・今日(20世紀以降21世紀の精神状況)からの哲学的伝統の再摂取の可能性の開拓 とともに,思惟が置かれている根源的な課題に覚醒し自覚的になること。 ・形而上学の根本的問いと諸問題を議論する力を培ってゆく土壌を獲得すること。

授業外の学習

次回の授業で取り扱われる10頁以内の箇所をゼミナール参加者各自が時間をかけて熟読し,自らの問題点と解釈視点を準備することが求められる。 毎回,1・2名のレポーター担当者が簡単なレジュメを用意してその回のテキスト内容をプレゼンテーションする。 学期末のレポート準備のため,各学生参加者は重点的に問題化するテーマを選定してゆくことが大切である。意欲のある学生には,さらなる参考文献も紹介する。

所要時間: 復習には70分程度,予習には120分程度を目安とする。内容については授業時に伝達する

スケジュール

  1. 導入部:西洋形而上学の歴史における目的論の展開と〈なぜ/何のために〉という問いについて / 今学期扱うテキストについて/ ゼミナール毎回の発表形式,学期末レポート,等。テキスト読解(1) : マルティン・ハイデガー 「『形而上学とは何であるか』への序論」①
  2. テキスト読解(2) : マルティン・ハイデガー 「『形而上学とは何であるか』への序論」②
  3. テキスト読解(3) : マルティン・ハイデガー 「『形而上学とは何であるか』への序論」③
  4. テキスト読解(4) : マルティン・ハイデガー 「『形而上学とは何であるか』への序論」④
  5. テキスト読解(5) : ジャック・デリダ『声と現象』①
  6. テキスト読解(6) : ジャック・デリダ『声と現象』②
  7. テキスト読解(7) : ジャック・デリダ『声と現象』③
  8. テキスト読解(8) : ジャック・デリダ『声と現象』④
  9. テキスト読解(9) : ジャック・デリダ『声と現象』⑤
  10. テキスト読解(10) : ジャック・デリダ『声と現象』⑥
  11. テキスト読解(11) : ジャック・デリダ『声と現象』⑦
  12. テキスト読解(12) : ジャック・デリダ『声と現象』⑧
  13. テキスト読解(13) : ジャック・デリダ『声と現象』⑨
  14. テキスト読解(14) : ジャック・デリダ『声と現象』⑩
  15. ゼミナール各参加学生は自らの関心を絞り込んでレポート課題を準備する。

教科書

テキストは現在も市販されているが,3090円となかなかの値段なので,演習参加学生が各自プリントコピーできるようにマスターコピーを作成する。

  • 「『形而上学とは何であるか』への序論」(1949年) (原題 : Einleitung zu 》Was ist Metaphysik《, in : GA 9 Wegmarken, 1976)

    著者: マルティン・ハイデガー(著)

  • 『声と現象』(ちくま学芸文庫 1300)(原題 : La voix et le phénomène ― Introduction au problème du signe dans la phénoménologie de Husserl, Presses Universitaires de France, 1967/ 1998 / 2003)

    著者: ジャック・デリダ(著)/林 好雄(訳)

    出版社: 筑摩書房,2005年6月/2020年7月

参考書

参考文献に関しては,授業での各項目に則ってその都度授業中に示唆することにする。

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