認識論I

文学部 - 哲学科

HPH54300

コース情報

担当教員: 川口 茂雄

単位数: 2

年度: 2024

学期: 春学期

曜限: 木4

形式: 対面授業

レベル: 300

アクティブラーニング: あり

他学部履修:

評価方法

出席状況

20%

授業参加

60%

レポート

20%

その他

積極的な授業参加を必要とします。(4回以上の欠席は成績Fになります。)

0%

詳細情報

概要

デリダ『フッサール「幾何学の起源」序説』日本語訳を読むことをとおして,カント・フッサールなどの認識論哲学の基本用語や,構造主義以後の現代哲学の基本的な問題設定に親しむ。 書名はまるで狭い意味での数学書かのようだが,実際は哲学の基本的なトピックがほとんど網羅的に詰め込まれているような,内容豊かな論稿である。言語の問題をはじめ,歴史の問題等々,20世紀後半以降の現代哲学の基本を丁寧に教えてくれる最良の書のひとつと言える。 のちのデリダ哲学の基本要素もほとんどこの書に含まれており,デリダ入門としても栄養価は高い。(また,哲学史研究の修士論文や博士論文のお手本として見ておくのも有益である。) ただ,丁寧な論稿であるぶん,読む側にも丁寧さが求められるだろう。 各授業回に割り当てられた担当者(受講者が多い場合は,担当グループ)に要約・理解を報告してもらい,アクティブ・ラーニング的な形式をとりいれつつ,哲学的認識論について日本語で専門的に読み・語ることができるようになることを目指す。 (日本語訳書を使用するため,フランス語既習は前提としないが,フランス語初級未修者であっても,文中で原語が気になる箇所ではフランス語原著(コピーを配布する)の該当箇所をを軽く調べてみる,というひと手間をかけることが理解促進に有益であり,近道であるのは変わらない。) 当授業「認識論」は,哲学科の3・4年生向けの専門科目であり,近現代哲学についての予備知識を,2年生配当「近世哲学史」授業等を履修して受講者がすでに有していることを前提としている。 学部生向けでは最も難易度の高い授業の一つであり,1・2年生向けの哲学の基礎的な授業を履修していない人がいきなり受講する種類のものではない点に注意すること。 (「幾何学の起源」読解では,カント『純粋理性批判』での「概念」と「理念」との区別がひとつポイントになる。たとえば「近世哲学史」授業を履修していれば,その予備知識はクリアできるだろう。)

目標

・近現代哲学における認識論の問題設定について基本的な知識を取得する。 ・認識論にかんする,基本的な哲学史的知識を取得する。 ・人間の認識について考えることができる思考力と表現力を養う。 ・現代フランス哲学および現代ドイツ哲学について,専門的な研究水準に触れる。 ・大学院進学希望者などには,研究の準備的基礎的な訓練にもなる。

授業外の学習

発表担当の週には特に入念な準備が必要である。 また,Moodleで随時,日本語訳書のわかりにくい箇所などについて補足をアップしてゆくので,適宜チェックしてください。

所要時間: 190分

スケジュール

  1. イントロダクション 担当日程の調整 ※以下は予定であり,授業の進捗状況により各テーマの回数は変更することがあ りうる
  2. 予備的な概説
  3. 読解と議論 数学的対象の理念性
  4. 読解と議論 歴史とはなにか
  5. ここまでの振り返り
  6. 読解と議論 「ジグザグ運動」
  7. 読解と議論 ガリレオ
  8. 読解と議論 伝統としての幾何学
  9. 読解と議論 事実と還元
  10. 読解と議論 幾何学についてのカントの考え
  11. 読解と議論 想像,非実在
  12. 読解と議論 「一回目」であること
  13. ここまでの振り返り
  14. 今学期のまとめ

教科書

(テキストはコピーを配布する。)

  • フッサール「幾何学の起源」序説 新装版

    著者: ジャック・デリダ

    出版社: 青土社,2014

  • L'origine de la géométrie

    著者: Edmund Husserl (Jacques Derrida)

    出版社: PUF, 1962

参考書

  • 現代フランス哲学入門

    著者: 川口茂雄・越門勝彦・三宅岳史(編)

    出版社: ミネルヴァ書房・2020年

  • ドイツ哲学入門

    著者: 鹿島徹・川口茂雄・佐藤慶太・渡辺和典(編)

    出版社: ミネルヴァ書房・2024年刊行予定

  • 純粋理性批判

    著者: カント

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