形而上学I

文学部 - 哲学科

HPH31300

コース情報

担当教員: 長町 裕司

単位数: 2

年度: 2024

学期: 春学期

曜限: 金2

形式: 対面授業

レベル: 300

アクティブラーニング: あり

他学部履修:

評価方法

出席状況

20%

授業参加

10%

リアクションペーパー

15%

レポート

55%

その他

授業は講義形式をとらざるを得ないが,形而上学の思惟に改めて熟練するよう様々に〈試み〉を行う。トピックとなるテーマについては,授業の終わりの15分ほどをグループディスカションに充てる(各グループにおいて話し合われた中心諸ポイントをリアクションペーパーとして提出してもらい,出席と併せて評価に加える)。学期末総合レポートにて授業内容の全体的理解を問う。

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詳細情報

概要

2023年度春学期の『形而上学Ⅰ』 では,紀元前5世紀の古代ギリシャから20世紀初頭に至るまでの西洋ヨーロッパの哲学の思惟の営みを省察するために,以下の三つの支柱となる問題構制を定めて授業を展開する : 1) 〈形而上学〉を歴史的運動として捉える展望的視点 2) 形而上学をしてその固有な思惟の体制に在らしめるところのものの究明的問い 3) 20世紀以降の《非形而上学的思惟》の境涯下での〈形而上学〉の命運 1) では,先ず古代ギリシャにおける形而上学(ta meta ta physica)の生起とその根本問題を厳密充全に把握してから,古代末期以降の〈存在形而上学〉〈一性形而上学〉〈精神形而上学〉といった構想上の分化,ラテン中世を経て17~19世紀のヨーロッパ近代へと展開する思考境位の変遷及びその基本構造を明らかにしてゆく。その上で,2) 〈形而上学〉という思惟の根本体制そのものの成り立ちについての批判的究明を敷衍し,そして最後に 3) 20世紀以降の言語哲学及び現象学の進展と〈形而上学〉を問題化したい。尚,この科目は哲学思想系列必修科目であると共に,哲学科基幹科目の一つでもあるので,できるだけ今日において哲学する者にとっての広い見地が開けるよう配慮する。

目標

2500年もの歴史を持つ西洋形而上学の根本的な思考体制と共にその問いと探求はどのようなものであったかを受講者が自分のものとすること ― これが第一の目標である。そして更に形而上学の歴史の内部で幾つかの変転とエポックが存することを捉える視点と,今日の現象学及び言語哲学からの形而上学との〈対-決〉も視野に納めることが必要であろう。

授業外の学習

各単元における主要な哲学者たちの形而上学構想がどのようなものか,配布資料と指示された参考文献によって,授業の前後に各自が研究・吟味することが勉学の深化に大いに役立つと云える。各授業時間内の中心的な諸点を配布資料/テキストのコピーを振り返って自分の思考を通して消化する復習とともに,授業時に呈示する参考文献等を前もって読むなどして,次回の授業を準備する心がけも大切である。

所要時間: 復習に90分程度,予習に100分程度を目安とする。

スケジュール

  1. .導入部:形而上学という特異な思惟の発端 ~ 授業の進め方,及び学期末定期試験について
  2. 古代ギリシャにおける形而上学の起こりとその根本問題(1):〈困惑の学としての形而上学〉
  3. 古代ギリシャにおける形而上学の起こりとその根本問題(2):アリストテレスの下での形而上学構想の根本動向
  4. 古代ギリシャにおける形而上学の起こりとその根本問題(3):アリストテレス形而上学の影響作用史
  5. 古代末期からの形而上学の組織的構想の分化
  6. ラテン中世における形而上学の組織的構想の変容とその根本問題(1)
  7. ラテン中世における形而上学の組織的構想の変容とその根本問題(2)
  8. 近代形而上学の思惟構築 ― (1):デカルト及びカントと形而上学
  9. 近代形而上学の思惟構築 ― (2):スピノザとライプニッツの下での形而上学的構想
  10. 近代形而上学の思惟構築 ― (3):ドイツ観念論と形而上学の問題
  11. 形而上学的思惟の本質体制と〈ニーチェの形而上学〉
  12. 世紀の言語分析的哲学と〈形而上学〉
  13. 世紀以降の現象学の展開と〈形而上学〉(1)
  14. 世紀以降の現象学の展開と〈形而上学〉(2)+春学期の この授業全体に亘っての総括

教科書

特定の教科書テキストは指定しない。毎回のテーマについて,各授業の初めにレジュメプリントを配布する。

    参考書

    以下に挙げる幾つかの文献は,本講義にとっての導入として参考になる。

    • 『近代哲学の精神 : 西洋形而上学の六つの大テーマと中世の終わり』

      著者: ハインツ・ハイムゼート

      出版社: 法政大学出版局 1995年7月

    • 『試練に立つ神 : 無神論の歴史』

      著者: ゲオルク・ズィークムント

      出版社: エンデルレ書店 1972年

    • Transzendenz. Zu einem Grundwort der klassischen Metaphysik

      著者: Ludger Honnefelder / Werner Schuessler ( Hrsg.)

      出版社: Ferdinand Schoeningh Verlag, Muenchen/Wien/Zuerich 1992

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