哲学演習II(芸文)B
文学部 - 哲学科
HPH22000
コース情報
担当教員: 荻野 弘之
単位数: 2
年度: 2024
学期: 秋学期
曜限: 水2
形式: 対面授業
レベル: 200
アクティブラーニング: なし
他学部履修: 可
評価方法
出席状況
授業参加
リアクションペーパー
レポート
その他
美について,愛について,知的な関心をもつ哲学科2年次生向け。予備知識としては「古代哲学史」(4単位)履修を前提する。抽象的な理論や概念を学ぶだけでなく,受講者同士の率直な討議が重要で,積極的な授業参加が受講の条件。
詳細情報
概要
・美と魂の関わり,また芸術の理念をめぐって西洋哲学史の主流を形成してきたプラトン主義の思想を考察する。 ・プラトン『饗宴』とプロティノス『美について』を日本語訳で読み,究極の美が自己の発見と相即する秘鑰を堪能する。 ・典拠となるテクストを精読すると共に,その思想的背景や受容の歴史,美術作品への影響などを併せて考えてみる。日本語訳はやや生硬な箇所もあるが,折にふれて基本概念のニュアンスに関する解説を加える。
目標
・美学・芸術学とは何をどのように問題にする学問なのか,その輪郭を知る。 ・プラトン対話篇を読解する方法を身につける。 ・思想史上の基本概念のいくつかを正確に理解する。 ・美に対する感受性を養う(できれば,受講者各自が「美しい人」になることを目指す)。
授業外の学習
・毎週,文庫本で10-20頁程度の本文の精読(予習なしに教室に来ても意味がない)。 ・発表者同士の打合せ。
所要時間: 190分
スケジュール
- 授業の進め方,説明と打ち合わせ
- プラトンの対話篇の解釈と方法(講義1)
- プラトン『饗宴』講読(1)舞台設定,饗宴文学の形式
- プラトン『饗宴』講読(2)パイドロスとパウサニアスの演説
- プラトン『饗宴』講読(3)エリュクシマコスとアリストパネスの演説
- プラトン『饗宴』講読(4)アガトンの演説とソクラテスの論駁
- プラトン『饗宴』講読(5)ディオティマの秘義--美のイデア
- プラトン『饗宴』講読(6)アルキビアデスの闖入--ソクラテスの秘密
- プラトン主義の系譜(講義2)
- プロティノス『美について』講読(1)均衡と全体の美,視覚の優位
- プロティノス『美について』講読(2)不可視の美の世界へ
- プロティノス『美について』講読(3)自己の美の発見
- 新プラトン主義の影響史--アウグスティヌス,フィチーノ,ゲーテ,ワイルド
- まとめの会(最終回)
- (随時,美術館見学などの企画)
教科書
以下のうち,(1)(2)は必携。
饗宴
著者: プラトン (久保勉訳)
出版社: 岩波文庫
エネアデス (抄)Ⅰ,Ⅱ
著者: プロティノス
出版社: (中公クラシックス)中央公論新社,2007
参考書
授業内容に関する参考書は授業中に指示する。
プラトン『饗宴』への招待――
著者: 田中美知太郎
出版社: 中央公論社
Plato, Symposium Greek text with introduction and commentary
著者: K.Dover
出版社: Cambridge Greek and Latin Classics,1980
Plotinus, Enneades I. 1-9 Porphyry On the life of Plotinus and the order of his books with an English translation
著者: A.H. Armstrong ed.
出版社: Loeb Classical Library, Harvard U.P.