哲学演習II(芸文)A

文学部 - 哲学科

HPH21900

コース情報

担当教員: 長町 裕司

単位数: 2

年度: 2024

学期: 春学期

曜限: 水2

形式: 対面授業

レベル: 200

アクティブラーニング: あり

他学部履修:

評価方法

出席状況

20%

授業参加

20%

レポート

60%

その他

学期末のレポート等の提出物は,担当教員の Moodle上の当演習コースのアナウンス欄に設定する〈レポート提出欄〉に締め切り期限までに送信して提出すること(Word か PDFファイルに限る)。レポート提出の行い方などわかりにくい学生は,担当教員のメールに宛てて([email protected])早い目に問い合わせること。毎回のゼミナールでは,受講学生の2名ほどがテクスト範囲のレポータを担当し,この担当も含め授業参加の状況も評価に加える。

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詳細情報

概要

哲学演習Ⅱの〈芸術文化コー-ス〉の2023年度春学期ゼミナールでは,20世紀後半から21世紀へと新たに展開した芸術哲学の動向をテーマ(主題)とする上で,スイスのバーゼル大学で長らく芸術哲学と美術史の教授職を務め,21世紀に入ってからも精力的に思索活動を繰り広げる G. ベーム(Gottfried Boehm, 1942 - )の比較的近年の著書『図像の哲学 ― いかにイメージは意味をつくるか ー』(原著 : Wie Bilder Sinn erzeugen. Die Macht des Zeigens, Berlin University Press, 2007)より,第6章 イコン的知 ― モデルとしての知 ,第8章 図像の連続的活動 ― 近代におけるジャンルと図像 ―,第10章 未規定性 ― 図像の論理のために ―,第11章 概念と図像 ― ソクラテス的問いの限界 ―,第12章 絵画の力 ― 「精神病患者」の芸術と絵画の言説 ―,第13章 存在の増加 ― 解釈学的反省と図像芸術 ― の 6つの章に亘って,テクストを厳密に読んで理解を発展させ,今日的な芸術哲学の根本問題を大いに議論したい。 G. ベームは,ハンス=ゲオルク・ガダマー(1900 - 2002)を哲学の師として研鑽を積んだだけに,ドイツ解釈学哲学の潮流に身を置くが,同時に極めて前衛的な思考を展開している。

目標

このゼミナールを通して,本哲学科2年次生の〈芸術文化コース〉選択者各自が芸術と美を巡っての総合的な哲学的思考の在り方を自らに問う態度を深めると共に,哲学的論議のディスカッションの仕方を更に発展させることが目標となる。今回取り上げるテキストは,今日の歴史的状況において芸術作品を哲学的に問題化する上での本質的で根本的な考察を必要とする追究が要求されてくるので,学期末レポートでは各自が自立的な考えを表明できるよう,この到達目標向けて毎週の演習内での論議に積極的に加わることが何よりも大切である。

授業外の学習

哲学演習Ⅱでは,演習参加者各自がより一層テキストの哲学的内実とを徹底的に理解すると共に,自らの根本関心に即したテーマへと向けて自分の思考を練磨してゆくことが求められる。レポートを提出する際には,更によくテキストを読解した上で,自らの思考を表現できるよう十分な省察の時間と努力が求められる。芸術哲学について入門的な案内書を呈示するのは困難であるが,強いて挙げるとすれば,渡辺 二郎 著 『芸術の哲学』(ちくま学芸文庫,1998年6月)は今回の演習授業の内容理解にとっても有益であるので,意欲のある学生諸君に推挙したい。

所要時間: 復習に90分程度,予習に100分程度を目安とする。

スケジュール

  1. 導入部:美学の伝統に対峙する「20世紀における芸術哲学の思惟」 ~ 授業の進め方,毎回の担当者について,学期末レポートについて,等。テキスト講読及びディスカッション ― (1) G. ベーム『図像の哲学』第6章 イコン的知 ― モデルとしての知 ― : 119 - 124頁
  2. テキスト講読及びディスカッション ― (2) G. ベーム『図像の哲学』第6章 イコン的知 ― モデルとしての知 ― : 124 - 135頁
  3. テキスト講読及びディスカッション ― (3) G. ベーム『図像の哲学』第6章 イコン的知 ― モデルとしての知 ― : 135 - 147 頁
  4. テキスト講読及びディスカッション ― (4) G. ベーム『図像の哲学』第8章 図像の連続的活動 ― 近代におけるジャンルと図像 ― : 169 - 178頁
  5. テキスト講読及びディスカッション ― (5) G. ベーム『図像の哲学』第8章 図像の連続的活動 ― 近代におけるジャンルと図像 ― : 178 - 190 頁
  6. テキスト講読及びディスカッション ― (6) : G. ベーム『図像の哲学』第10章 未規定性 ― 図像の論理のために ― : 213 - 223 頁
  7. テキスト講読及びディスカッション ― (7) : G. ベーム 『図像の哲学』第10章 未規定性 ― 図像の論理のために ― : 223- 227 頁
  8. テキスト講読及びディスカッション ― (8) : G. ベーム 『図像の哲学』 第11章 概念と図像 ― ソクラテス的問いの限界 ― : 229 - 237頁
  9. テキスト講読及びディスカッション ― (9) : G. ベーム 『図像の哲学』 第11章 概念と図像 ― ソクラテス的問いの限界 ― : 237 - 247 頁
  10. テキスト講読及びディスカッション ― (10) : G. ベーム 『図像の哲学』第12章 絵画の力 ― 「精神病患者」の芸術と絵画の言説 ― : 249 - 256 頁
  11. テキスト講読及びディスカッション ― (11) : G. ベーム 『図像の哲学』第12章 絵画の力 ― 「精神病患者」の芸術と絵画の言説 ― : 256 - 264 頁
  12. テキスト講読及びディスカッション ― (12) : G. ベーム 『図像の哲学』第13章 存在の増加 ― 解釈学的反省と図像芸術 ― : 265 - 275 頁
  13. テキスト講読及びディスカッション ― (12) : G. ベーム 『図像の哲学』第13章 存在の増加 ― 解釈学的反省と図像芸術 ― : 275 - 291 頁
  14. 総括討論 : 芸術作品への哲学的眼差しを巡って

教科書

20世紀のヨーロッパ哲学における〈言語論的転回〉に続いて,さらに西洋哲学のロゴス支配に対する〈イコン的転回〉を主唱する G. ベームの卓越した芸術哲学論。邦訳は,本上智大学哲学科出身の村井則夫氏と塩川千夏氏による。テクストは,授業の回毎に担当教員がコピーして配布する。

  • 『図像の哲学 ― いかにイメージは意味をつくるか ー』

    著者: G. ベーム(著)/ 村井 則夫・塩川 千夏(訳)

    出版社: 法政大学出版会(叢書 ウニベルシタス 1066) 2017年9月/2018年11月

参考書

特定するのは困難であるが,以下に挙示するのは,日本語で読める本ゼミナールのテーマとテクストに幾分か関係する参考文献である。ベームとは異なったアプローチであるが,これも今日において精力的に哲学の問題領域を斬新的に開拓する マルクス・ガブリエルの芸術哲学を参照してみるのも意義深い。欧文による参考文献は多数存するが,ここでは呈示しない。

  • 『アートの力』

    著者: マルクス・ガブリエル(著)/大池惣太郎 , 柿並良佑 (訳)

    出版社: 堀之内出版,2023年4月

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