哲学演習II(哲思)A
文学部 - 哲学科
HPH21100
コース情報
担当教員: 荻野 弘之
単位数: 2
年度: 2024
学期: 春学期
曜限: 水2
形式: 対面授業
レベル: 200
アクティブラーニング: あり
他学部履修: 可
評価方法
出席状況
授業参加
リアクションペーパー
レポート
その他
哲学科2年次生向け選択必修。予備知識として「古代哲学史」(4単位)の履修を前提する。抽象的な理論や概念を学ぶだけでなく,受講者同士の率直な討議が重要なので,積極的な授業参加が受講の条件。
詳細情報
概要
人間の心(魂)は物質世界とどう関係しているのか。生命とは何か。感覚と理性はどう関わるか。これらは人類の最古にして最大の問いである。哲学史上初めてこうした問題の枠を定めたアリストテレスの心の哲学は,今日なお心身問題や人工知能を考える場合の座標軸を提供している。 春学期は,その主著『デ・アニマ』(魂について)を精読することで,こうした問題群の基本を学ぶ。 日本語訳はやや生硬だが,折にふれて基本概念のニュアンスに関する解説を加えることで,一見難解な表現の奥に息づく精緻な観察眼と,柔軟でバランスの取れた思考の筋道を発見したい。
目標
・心身問題とは何か,その所在と構図を理解する。 ・生命とは何か,を考えてみる。 ・感覚や思考について,日常的な経験を反省する。 ・人工知能や脳科学などの特徴と限界を考える。 ・自分の思考を他人と議論しながら深めていく討論術を学ぶ。 ・的確な表現を身につける。
授業外の学習
・毎回テキストをあらかじめ熟読して,問題点を洗い出しておくこと(予習しないで出席するのは意味がない)。 ・レポーターは共同で問題の所在を確かめ,自分たちで考えたことを発表する。
所要時間: 190分程度
スケジュール
- 授業の進め方,説明と打ち合わせ
- アリストテレス哲学,その方法論と学問体系(講義1)
- 心身問題について(講義2)
- アリストテレス『デ・アニマ』講読(順番に担当者を決める)(以下毎回同じ) 魂の定義(第2巻第1-2章)
- 探求の方法論(第2巻第3章)
- 栄養機能について(第2巻第4章)
- 感覚とは何か,その対象と質料形相論(第2巻第5-6章)
- 視覚(第2巻第7章)
- 聴覚(第2巻第8章)
- 味覚・嗅覚(第2巻第9,10章)
- 触覚(第2巻第11章)
- 共通感覚(第3巻第1-2章)
- 表象(第3巻第3章)
- 二重の理性(第3巻第4-5章)
教科書
以下のうち,(1)は必携。原典(英訳対照)は(2)を勧める。(3)は翻訳の底本。
魂について(西洋古典叢書)
著者: アリストテレス (中畑正志訳)
出版社: 京都大学学術出版会
Aristotle On the Soul, with an English Translation
著者: W.S. Hett ed.,
出版社: Loeb Classical Library, 1936
Aristotelis De Anima
著者: W.D.Ross ed.,
出版社: Oxford Classical Texts, 1956
参考書
アリストテレスに関する参考書は授業中に指示する。
哲学の饗宴--ソクラテス・プラトン・アリストテレス--
著者: 荻野弘之
出版社: NHK出版
Aristotle De Anima, Text, Translation and Commentary
著者: R.D. Hicks ed.,
出版社: Cambridge, 1907
こころともの
著者: H. ファイグル(伊藤笏康・荻野弘之訳)
出版社: 勁草書房