映画論I
文学部 - 新聞学科
HJN52800
コース情報
担当教員: 佐伯 知紀
単位数: 2
年度: 2024
学期: 春学期
曜限: 金3
形式: 対面授業
レベル: 200
アクティブラーニング: なし
他学部履修: 可
評価方法
出席状況
レポート
詳細情報
概要
①本講義では,今日の文化芸術の領域で比重を高めているわが国の「映画・映像」分野を概観する。まず,日本映画。「活動写真」と呼ばれたその成立期から,唯一の映像メディアとして大衆娯楽の王座につき,産業的な厚みと文化的な広がりを加えつつ,1939年の「映画法」の施行に示されるように,有力なメディアとして時の政府の戦時態勢へと組み込まれていくまでのプロセスを史的に把握する。また,終戦後の混乱期を経て,1950年代半ばに迎える再びの黄金期,60年代後半からの衰退・低迷期を経て,映像時代の今日に至る同分野の展開を素描することで「現在」に繋げたい。2024年の「映画・映像」分野の現状を踏まえつつ,映画史を論じる往還的な講義となる。 また「漫画映画」とし始まったアニメーション映画の進展についても言及する。 ②映画史上に名高い作品=フィルムが収集,発掘,復元される過程を追うことでフィルム・アーカイブの果たす役割を提示する。まず,ロシア連邦に残されていた戦前の日本映画の調査,確定,返還事業を通して,映画フィルムの「運命」について考察する。それらの日本映画の殆どは,旧満州国(1931-45)の満州映画協会に保管されていたもので,1945年に満州国に侵攻したソビエト軍の手で戦利品として持ち去られたものだった。事例として黒澤明監督のデビュー作「姿三四郎」(1943)をとりあげる。またデジタルによる映画復元の例としていくつかの事例=作品を取り上げ解説する
目標
今日の映画映像文化がどのような歴史,背景をもって成立しているかを理解する。
授業外の学習
できるかぎり,授業で話題にするクラッシク映画,新作映画,アニメーション映画等を見ておくこと。 とくに新作実写映画,アニメーション映画,映画界の動向については授業内で言及するので,できる範囲で鑑賞しておくこと。授業時間以外の学習時間として。
所要時間: 190分
スケジュール
- イントロダクション 私の視点 映画史研究者/フィルムアーキビスト/文化政策(映画映像分野担当者)として
- <日本映画史遡行>戦前編(before1945) 現在から始まりの時へ 「日活」の成立とその周辺
- 「松竹」の誕生とその周辺 ① (1920年代)
- 同上 ②
- 「P.C.L」「東宝」の展開 ① (1930年代) 始まりは「宝塚少女歌劇」
- 同上 ②
- 映画の都 東京と京都
- 戦時態勢の確立 ①国策会社「大映」の創立 (1940年代)
- 同上 ②「満州映画協会」(満州)と中国
- 同上 ③「中華電影」(上海)と中国
- 戦争(日中戦争・太平洋戦争)と映画
- <発見と保存継承の映画史> ロシアに残されていた日本映画 ① 黒澤明監督「姿三四郎」(1943年)を事例として
- 同上 ②
- 同上 ③
- まとめ
教科書
映画史の参考図書はそのつど教室で提示する。
参考書
書籍情報はありません。