新聞論I
文学部 - 新聞学科
HJN50100
コース情報
担当教員: 奥山 俊宏
単位数: 2
年度: 2024
学期: 春学期
曜限: 金3
形式: 対面授業
レベル: 200
アクティブラーニング: なし
他学部履修: 可
評価方法
出席状況
10%
授業参加
10%
リアクションペーパー
50%
レポート
30%
詳細情報
概要
ある一人のベテラン新聞記者の知識・経験の全体を素材にして,それを検証し,そこから教訓を抽出し,それを普遍化し,体系化し,言語化しようと試みる。 素材とするのは,2022年3月まで33年にわたって新聞記者だった教員本人。素材である教員と学生の間で問答を繰り返すこと,すなわち,教員がいわば学生の取材を受けることで,その内容を客体化し,昇華させ,深化させたい。 新聞学や新聞論の授業や教科書でこれまで語られてきたこと,紙の新聞に関する基礎知識や批判・議論を適宜・随所に紹介しつつ,政治・経済・社会における新聞の役割を考察し,理解できるようにする。
目標
新聞がどのようにして作られているのか,特に新聞記者たちがどのようにして取材し,記事を書いているのかを学び,政治・経済・社会における新聞の役割を理解する。ひいては,新聞をどのように活用し,どのように自分自身の意思決定に生かすべきか,自分なりの考えを他者に説明できるようにする。
授業外の学習
新聞をよく読む。
所要時間: 60分
スケジュール
- 新聞記者と組織の内部告発者の関係――調査報道のある事例「郵便局の組織的な不正」
- 様々な主体の作用を触発する報道――調査報道のある事例「郵便局の組織的な不正」
- 企業情報開示の欠陥とバブル崩壊の長期化――調査報道のある事例「不良債権の飛ばし」
- 法人格の濫用で真の所有者を隠蔽――調査報道のある事例「租税回避地の秘密ファイルで暴く」
- 社会における調査報道の役割と情報開示法制,内部告発者保護法制の不備
- 事件・事故についての取材・報道の実務
- 事件・事故についての取材・報道への批判とその歴史
- 事件・事故に登場する人物の実名や人となりをどう扱うか
- 新聞とは何か?――新しい出来事,新しい知識・経験に関するコミュニケーション
- 中立であることはたいてい誤り――公正・公平な報道とは? 客観的な事実の把握とは?
- 取材・報道の担い手,その多様化とその効果
- 報道メディアの生態系のこれまでとこれから
- SNSで健康を害さず,エコーチェンバーの陥穽を避けるために
- まとめ
教科書
朝日,毎日,読売などの新聞
参考書
パラダイス文書 連鎖する内部告発,パナマ文書を経て「調査報道」がいま暴く
著者: 奥山俊宏
出版社: 朝日新聞出版,2017年11月
バブル経済事件の深層
著者: 奥山俊宏,村山治
出版社: 岩波書店,2019年4月
内部告発の力 公益通報者保護法は何を守るのか
著者: 奥山俊宏
出版社: 現代人文社,2004年4月