アジア・日本史系演習AI

概要

説話というナラティヴは,古代社会/民俗社会のあり方,それらに生きる人びとの心性を考えるうえで,極めて貴重な史資料となる。しかし,その読解は難しく,説話集という書物の編集,口承を成文化する際に作用する種々のコード,語りの場の具体相に至るまで,復元のためのさまざまなテクニック,想像力が必要となる。 本講義では,古代の説話集および近現代の昔話・伝承のなかから幾つかの題材を選び,時代・社会背景を示す史資料と組み合わせて,それらを読み解いてゆく。学期の終盤には,説話の史資料としての特徴や読解の注意点について,グループ報告としてまとめてもらう。かかる作業を通じて,多様な史資料に正対する知識・技術と,過去の世界を具体的に復元する浩瀚な想像力,論理的思考力,具体的な事象を抽象化する能力などを涵養する。 なお,テクストには可能な限り原文書や写本の影印を用い,簡単な翻刻や校訂の作業も体験してもらうほか,想像力を広げるためのエクスカーションも実施する予定である。

目標

1)古代史/民俗学のさまざまな史資料,研究文献を,問題意識に沿って適切に調査し,活用するスキルを身に着ける。 2)プレゼミで学習した能力の向上・定着を目指し,注釈等のない多様な文書や記録を,自在に読解できるようにする。 3)個別事象を抽象化し,より大きな問題を論じられるような想像力,論理的思考力を身に着ける。

授業外の学習

1)自分に割り当てられた課題について調査し,レジュメにまとめ,適切に発表するための準備を行う。 2)予習(90分程度):次回報告のテーマ(他の受講生による報告分)について自分なりに調査し,疑問点を整理しておく。 3)復習(100分程度):他の受講者の報告,討論の成果を踏まえ,その際に疑問に思ったこと等について自分なりに調査し,リアクション・ペーパーにまとめて Moodle に提出する。

所要時間: 190分以上