SPECIAL TOPICS IN BRITISH STUDIES 2
文学部 - 英文学科
HEL61104
コース情報
担当教員: 永富 友海
単位数: 2
年度: 2024
学期: 秋学期
曜限: 金5
形式: 対面授業
レベル: 300
アクティブラーニング: あり
他学部履修: 可
評価方法
授業参加
リアクションペーパー
授業内期末試験
授業期間中
その他
毎回リアクション・ペーパーの提出を課し,,翌週の授業の頭で意見交換をおこなう。授業評価には入れていないが,出席は必須である。
詳細情報
概要
韻文から散文への流れを経由して,イギリスでは18世紀に「小説」という新しいジャンルが生み出される。そこにあったのは,「人間とは何か」という問いを探りたい,その問いに答えたいという根源的な欲望ではないだろうか。19世紀イギリス小説の発展はまさしく,その模索を跡付けるものである。Darwinの『種の起源』出版以前にもフロイトの登場以前にも,類似の発想はすでに存在しており,虚偽や推論や俗識や刷り込みなどの偏りも含め,様々な種類の見解や情報が,取捨選択や加工のプロセスを経て小説のなかに流れ込んでいる。本講義では,つねに論議の的であったbody/soul, mind/brainをめぐる宗教,科学の言説を背景とし,19世紀小説に散見されるautomata(自動人情)を切り口として,小説が自らの存在理由である問いにいかなる回答を提出しようと試みているかを探ってみたい。 受講者は可能な限り授業で取り上げる小説テクストに目を通し,本講義をHistory of English Literature & Culture 3の補足として活用してほしい。授業では,毎回与えられるテーマについて短いリアクション・ペーパーを書くことによって思考を深め,批評的な視座を獲得することが求められる。
目標
1. 19世紀イギリスにおける(疑似)科学の言説の隆盛—mesmerismと骨相学—について学ぶ 2. 19世紀イギリスにおけるDarwin以前/以後の知の見取り図を考察する 3. 19世紀イギリス小説の構造的変遷を理解する 4. 19世紀イギリスの主として正典小説を,フロイト以前の作品という観点から分析する 5. 講義で得られた知識を整理し,分析のための論点・論理を導き出す
授業外の学習
授業の数日前にはMoodleにハンドアウトをアップするので,目を通したうえで授業に臨むこと。授業中に指示された文献は,予習復習の段階で内容を把握し,整理しておくこと。授業でとりあげる文学テクストは極力読むようにする(翻訳でもかまわない)。
所要時間: 190分はかけること
スケジュール
- イントロダクション 以下は予定であり,授業の進捗状況に応じて変更の可能性あり
- Jane Eyre:夢と無意識
- Jane Eyre:doubleとautomaton
- Bronteと骨相学:疑似科学からロマンスへ
- (疑似)科学とmesmerism
- 大衆小説と無意識
- Dickensのpre-Freudian novels
- Darwin以降—George Eliotにおける科学とthe Religion of Humanity
- Human Automatism: T. H. Huxley, William James, William Carpenter
- Thomas Hardy:automataとdeterminism
- Thomas Hardy:human / animal
- automataと世紀末の大衆小説
- H. G. Wells: 世紀末におけるscience指向とscience fiction
- まとめ 試験
教科書
テクストはプリントを配布するので購入の必要はない
参考書
授業中に適宜紹介し,Moodleに関連資料をアップする