SPECIAL TOPICS IN BRITISH STUDIES 1

概要

この授業では,後期ヴィクトリア時代の文学,絵画,彫刻等の諸芸術ジャンルに描かれた男性身体のイメージ,とりわけアスリートの表象を探究します。William Blake Richmondの 'The Bowlers' (1870)などの唯美主義的絵画,Frederic Leightonの ‘An Athlete Wrestling with a Python’ (1877)や 'The Sluggard' (1885; 原題は ‘An Athlete Awakening from Sleep’だった)に代表される「ニュー・スカルプチャー」運動の一連の彫刻群,Walter Paterの 'Apollo in Picardy' (1893; ただし70年代末には着手されていた)など古代の神話的世界に取材したフィクション——これらはいずれもホモエロティックな欲望の対象となりえた一方,Leightonの彫刻が象る理想の男性裸体像が小像(statuette)として複製され「リスペクタブル」なブルジョワ家庭で鑑賞されたり,医学誌で称賛されることもありました。じつのところこれらの裸体像は,デカダントな芸術潮流に人種的退化の兆候をみた優生学の支持者や「フィジカル・カルチャー」の提唱者にも訴えかけるものがあったのです。この授業では,唯美主義とアスレティシズムの展開において理想化された古代ギリシア世界がいかなる役割を果たしたかに注目しつつ,二つの文化現象を多面的に読み解きます。

目標

・イギリス唯美主義・デカダンスの基礎知識を習得する ・19世紀イギリスにおけるアスレティシズムの宗教的,政治的含意を理解する ・優生学や退化論など,進化論と結びつく諸言説と唯美主義・アスレティシズムの関係を理解する

授業外の学習

スライドの予習100分 授業の復習・レポート作成を念頭に置いた文献収集100分

所要時間: 200分