地誌学

総合人間科学部 - 教育学科

HED70200

コース情報

担当教員: 日原 高志

単位数: 2

年度: 2024

学期: 春学期

曜限: 月6

形式: 対面授業

レベル: 200

アクティブラーニング: あり

他学部履修:

評価方法

出席状況

5%

リアクションペーパー

25%

レポート

70%

その他

毎回のリアクションペーパーのうち3回はミニレポート作成となる(PC持参授業)。 毎回のリアクションペーパーはLoyolaのレポート提出機能で集約する。

0%

詳細情報

概要

地誌学と系統地理学の二元論で語られる地理学において,アカデミズムの世界では地誌学が流行しているとはいいがたく,重視されなくなって久しい。ところが学校教育の場では,地理とは,イコール地誌といっても過言ではなく,その重要性はいまだ健在である。しかし,ややもすれば,偏差値を振り分ける装置としての意味しか持たない暗記型地名物産地理に陥る危険性もある。また,情報羅列的な地誌で,現代世界に重要な課題解決能力が身につくのかという批判もある。この授業では,地誌学の種類や見方・考え方を概観するとともに,従来の地誌のもつ課題を克服する新しい地誌のあり方を,学校現場での実践的な試みを踏まえて提示し,リアクションペーパーのフィードバックによって深めていきたい。毎回のリアクションペーパー(3回はミニレポート)作成を経て,最終的な課題レポートで評価を行う。

目標

受講生が以下を理解,習得することをこの授業の目標とする。 ①最近の地理学・地理教育の動向における地誌の位置づけを理解する。 ②地誌を構成するための系統地理的準備の重要性を理解し,知識を獲得する。 ③地誌の種類別の構成方法を理解する。 ④自らの興味をもつ地域の地誌をこの授業で得た知見を用いて編む(課題レポート)。

授業外の学習

①授業で配布する資料プリントの復習や予習。 ②授業で紹介する参考文献の講読。 ③課題レポートに関する資料収集と分析・執筆。毎回の授業で概説する単元に関して,自分の最終レポートで使用可能な資料を収集し,レポート執筆の準備を行っておくこと。毎週の資料探しの蓄積を怠ると,最終講義からレポート提出期限までに時間が足りなくなり合格に達するレポートが仕上げられない危険性がある。

所要時間: 190分

スケジュール

  1. 地理とは何か?―「geography」から「地理」へ ①自己紹介 ②地理とは何か? ③科学的地理とは? ④地下鉄の駅の法則 ⑤電話ボックスの法則
  2. 地誌学とは何か?―地理行列と地理学的二元論 ①地誌学と系統地理学 ②地理行列 ③地理学的二元論 ④地誌の種類 ⑤地誌を理解するための系統地理の重要性
  3. 地誌を理解するための系統地理的準備Ⅰ世界の地形 ①地形のスケール ②世界の大地形 ③大陸は移動する? ④プレートテクトニクス
  4. 地誌を理解するための系統地理的準備Ⅱ世界の気候 ①ケッペンの気候区分の意義と問題点 ②アリソフの気候区分 ③大気大循環と海流
  5. 地誌を理解するための系統地理的準備Ⅲ世界の農業 ①チューネンの農業立地論 ②世界の農業地域 ③農業地域の変化
  6. 地誌を理解するための系統地理的準備Ⅳ工業立地と交通・通信の発達 ①ウェーバーの工業立地論 ②交通・通信の発達に伴う立地の変化
  7. 二つの地域 等質地域と機能地域 ①クリスタラーの中心地理論 ②コンビニエンスストアの立地 ③等質地域と機能地域
  8. 静態地誌を編む(PC持参授業) ①静態地誌とは ②ミニレポート「静態地誌を編む」作成 ③グループワーク(相互発表)
  9. 動態地誌を編む(PC持参授業) ①動態地誌とは ②ミニレポート「動態地誌を編む」作成 ③グループワーク(相互発表)
  10. 比較地誌を編む(PC持参授業) ①比較地誌とは ②ミニレポート「比較地誌を編む」作成 ③グループワーク(相互発表)
  11. 新しい地誌教育を考えるⅠ ①地誌教育の問題点 ②新しい地誌としてのMulti-scale geography ③Multi-scaleに考える学校の評判 ④Multi-scaleにとらえた自分 ⑤Multi-scaleから見た地震防災
  12. 新しい地誌教育を考えるⅡ―Multi-scaleからみたアフリカの飢餓 ①1984-1985年のアフリカ飢餓ブームとは ②local scaleからみたアフリカの飢餓 ③regional scaleからみたアフリカの飢餓
  13. 新しい地誌教育を考えるⅢ―新しい地誌教育としてのMulti-scale geography ①global scaleからみたアフリカの飢餓 ②multi-scaleからみたアフリカの飢餓 ③新しい地誌教育としてのMulti-scale geography
  14. 新しい地理歴史教育を考える ①Global issuesとMulti-scale geography ②Multi-scale historyからみた田中正造の直訴の真相 ③Multi-scale geographyとMulti-scale historyの融合による地歴教育の構成

教科書

特定の教科書は用いないが,授業時間において適宜参考図書を紹介する。

    参考書

    • 地理学入門 改訂版 マルティ・スケール・ジオグラフィ

      著者: 浮田典良

      出版社: 原書房,2010年

    • 地理学基礎シリーズ3 地誌学概論

      著者: 矢ヶ崎典隆・加賀美雅弘・古田悦造編

      出版社: 朝倉書店,2013年

    • 図説 世界の地誌

      著者: 辰己勝・辰己眞知子

      出版社: 古今書院,2014年

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