地理学 I
総合人間科学部 - 教育学科
HED70000
コース情報
担当教員: 向後 武
単位数: 2
年度: 2024
学期: 春学期集中
曜限: その他
形式: 対面授業
レベル: 200
アクティブラーニング: なし
他学部履修: 可
評価方法
授業参加
リアクションペーパー
レポート
その他
レポートを考査の替わりとして扱う。 授業参加,リアクションペーパー,レポートのいずれか一つでも,極端に低評価の場合は全体の評価の対象としないこともある。
詳細情報
概要
地理学は扱う対象が多岐にわたり,方法論的にも総合的・学際的学問で,分野を分けることが難しい学問である。だが,最初に地理学を学ぶ際には,「自然地理学」「人文地理学」「地誌」の3方向からのアプローチが,取り組みやすいとされている。 本講義は,地理学に興味を持っている学生だけでなく,高校時代に地理を選択していない学生にも,地理学に興味・関心を持ってもらえるよう,「自然地理学」を入り口とした地理学へのガイダンスとなることを目指している。 地理とは何かから始め,地理学に必要不可欠な地図について学び,自然地理学の大きな柱となる地形学,気候学,陸水学を概観した後,総合的・学際的なアプローチとしての災害・環境問題などについて考えていく。
目標
①地図に親しみ,適切に利用できるようになること。 ②自然地理学に興味・関心を持ち,基本的な知識を獲得すること。 ③地理学の総合的・学際的な特徴について理解すること。
授業外の学習
地理に関する書籍等を用いて,積極的に基礎的な知識を補充していくことが望ましい。特に,高校時代に地理を履修していない学生には,高校地理の教科書・参考書を一読することを強く薦める。 常に地図帳を傍らに置き,位置関係について注意を払うことが望ましい。
所要時間: 190分
スケジュール
- 地理概論・地図概論(5/18) 「地理」とは何かについての解説から始め,ごく簡単な西洋地理学史を踏まえて,学習対象である「地理」の本質を明らかにしていく。 また,地理を学ぶ手段として不可欠な「地図」についての基本的な知識の習得を目指す。 ※以下は予定であり,授業の進捗状況により各テーマの回数は変更することがあり得る。
- 地図読図(5/18) 扇状地を例として,地形図読図の基礎的な知識の獲得を目指す。地形図読みとり実習を行い,読みとり方法の基礎を身につける。 統計図の種類と利用法についての基礎的な知識の習得を目指す。統計図読みとり実習を行い,読みとり方法の基礎を身につける。
- 地形学概論①(5/25) プレートテクトニクスについての基本的な知識をもとにして,地球・大陸規模の地形について,特徴と成因についての基礎的な知識の習得を目指す。
- 地形学概論②(5/25) 日本を例として,山脈を形成する地殻運動,火山,地震についての基礎的な知識の習得を目指す。また,自然災害についても言及する。
- 地形学概論③(6/1) 身近な地形である河川地形についての基礎的な知識の獲得を目指す。 自然堤防帯を例として,地形形成のメカニズム,形成された地形と人間生活の関連,人間による地形改変について,基礎的な知識の習得を目指す。
- 地形学概論④(6/1) 特定の条件下でのみ見られる特徴ある地形について,基礎的な知識の習得を目指す。 周氷河地形を例として,地形形成のメカニズム,古環境復元の方法論の基礎について,概論的知識の習得を目指す。
- 気候学概論①(6/8) 気候に関する基礎的な知識の習得を目指す。 大気の大循環に関する基礎的な知識を踏まえて,地表面の気候的特徴の成因について基礎的な知識の習得を目指す。
- 気候学概論②(6/8) 種々の気候因子についての知識を獲得するとともに,気候の特徴がいかにして形成されるかについての知見を得る。
- 気候学概論③(6/15) 各気候区の特徴と生活・文化を概観し,気候と人間生活が密接な関係にあることを理解する。 また,乾燥地域を例として,具体的な関わりについての知見を得る。
- 気候学概論④(6/15) 気候変動についての基礎的な知識を得る。 自然による変動としての氷河時代についての基礎的な知識を獲得する。 また,人為的な変動としての地球温暖化につての基礎的な知識を獲得する。
- 陸水学概論①(6/22) 陸水学について概論的な知識を獲得する。特に地球上の水の循環についての基礎的な知識を獲得を重視する。
- 陸水学概論②(6/22) 地下水についての基礎的な知識の獲得を目指すとともに,その利用についての知識を得ることを通して,人間との関わりを理解する。 また,水の利用の現状と問題点について考察する。
- 自然地理学と生活(6/29) 自然地理学の人間生活への応用の例として,防災に関わる知見を得る。より効果的な防災施策に地理学がどのように関われるかについて考察する。
- 自然地理学と世界の諸課題(6/29) 現代世界の諸課題の理解と解決のために自然地理学がどのように関われるかについて考察する。
教科書
特に指定しないが,講義の性格上,地図帳(高校生用のもので可)を持っていることが望ましい。
参考書
1は身近な事象と自然地理の関係を易しく説明した一般向けの入門書である。2,3は自然地理学の大学専門初級レベルの入門書として標準的なものである。
自然のしくみがわかる地理学入門
著者: 水野一晴
出版社: ベレ出版 2015年
自然地理学
著者: 松山洋,川瀬久美子,辻村真貴,高岡貞夫,三浦英樹
出版社: ミネルヴァ書房 2014年
自然地理学概論
著者: 高橋日出男,小泉武栄
出版社: 朝倉書店 2008年