地理的境界と人々の暮らし
共通 - 全学共通
GSS30261
コース情報
担当教員: 水谷 裕佳
単位数: 2
年度: 2024
学期: 春学期
曜限: 火3
形式: オンデマンド授業+同時双方向型授業(Zoomなど)
レベル: 300
アクティブラーニング: あり
他学部履修: 可
評価方法
授業参加
レポート
その他
「授業参加」は,参加型のアクティビティや,テキストを見ながら回答できる確認クイズ,動画に対する短いコメント,短いリアクションペーパー等の総合点とする。他の受講生の学習を妨げる行為,および剽窃などの不正行為に対しては厳正に対処する。
詳細情報
概要
この講義では,米国メキシコ国境地域を主な事例として取り上げながら,地理的境界(国境など)を超えた文化や社会,自然環境の広がり,そして人の交流について学ぶ。なお,米国メキシコ国境地域は,米国とメキシコの両側に広がっているが,この授業では米国側の事情が中心的に取り上げられる。 世界の地理的境界地域に関しては,国家間の対立や,戦争,難民といったトピックに関心が向けられがちである。しかしながら,どの境界地域においても,境界が設定される前からそこに居住していた人々がいる。彼らは地理的境界の両側に広がる生活圏の中で日常生活を送り,文化を育みながら暮らしてきた。また,自然環境も,人間が境界線を引く前からそこに存在してきた。 国家や地域の中心部から見れば「周縁」とされる場において,人々はいかなる工夫をこらしながら境界を超えたコミュニティを守ってきたのだろうか。その中で,市民や非営利団体,地方自治体等はどのような役割を果たしてきたのだろうか。本講義では,境界にまつわる分断,対立,抗争ではなく,交流,協働,連帯といった側面に着目して世界を理解する視点を身に着ける。 なお,受講生の興味や関心の傾向,および境界地域に関する学術的な議論の動向を踏まえて,授業内容に多少の変更が生じたり,スケジュールが前後する可能性がある。変更が生ずる際には,Moodleであらかじめ通知する。授業に関する連絡や提出物の受付はMoodleを通じて行う。
目標
① 地理的境界に関する事象を理解する観点を身につける。 ② 地理的境界の両側に広がる地域の事象に対する関心を高める。 ③ 世界の境界地域の文化や生活に対して理解を深める。 ④ 米国メキシコ国境地域に関する理解を深める。
授業外の学習
授業前に行うこと ・ 指定された文献の購読(60分)。 授業後に行うこと(詳細は毎週の授業中に指示する。) ・ リアクションペーパーを提出,授業内容の復習問題への解答(60分)。 ・ 授業内容に関連する動画の視聴や文献の購読(60分)。 ・ Moodleを通じて授業内容に関する質問の送信(10分)。
所要時間: 毎週190分。詳細は授業中に説明し,Moodleにも記載する。
スケジュール
- コースの説明,米国メキシコ国境地域のイメージと実像:国境地域は「怖い場所」なのか
- 境界研究の視点
- 米国メキシコ国境地域の地理と自然環境
- 世界に発信される国境地域の魅力的な文化と社会
- ディスカッション1(授業の進度によって日程が変更される場合があるため,Moodleで詳細を確認すること)
- 米国メキシコ国境地域の歴史1:国境線の位置が確定するまで
- 米国メキシコ国境地域の歴史2:国境線の位置が確定した後
- 米国メキシコ国境地域に暮らす先住民族
- ディスカッション2(授業の進度によって日程が変更される場合があるため,Moodleで詳細を確認すること)
- 日常生活の中で合法的に国境を渡る人々
- 移民・難民の全てがメキシコ人ではないという事実
- 米国メキシコ国境地域で活躍する非営利団体
- ラティーノ社会の多様性
- ディスカッション3(授業の進度によって日程が変更される場合があるため,Moodleで詳細を確認すること),コースのまとめ
教科書
図書館の電子ブックやリザーブブックが利用できる。テキストのどの部分を利用するかは授業で説明するため,履修登録の時点でテキストを購入する必要はない。
アメリカのヒスパニック=ラティーノ社会を知るための55章
著者: 大泉光一,牛島万
出版社: 明石書店,2005
現代メキシコを知るための70章[第2版]
著者: 国本伊代
出版社: 明石書店,2019
境界を越えた出会いの空間としての米国メキシコ国境地域
著者: 水谷裕佳編著
出版社: 上智大学イベロアメリカ研究所,2019
参考書
図書館のリザーブブックも利用できる。
入門 国境学
著者: 岩下明裕
出版社: 中央公論新社,2016
境界から世界を見る―ボーダースタディーズ入門
著者: アレクサンダー・C・ディーナー
出版社: 岩波書店,2015
不法越境を試みる人々
著者: ケン・エリングウッド
出版社: パーソナルケア出版,2006