ナショナリズムと芸術*

共通 - 全学共通

GSS20140

コース情報

担当教員: 浅見 昇吾

単位数: 2

年度: 2024

学期: 1クォーター

曜限: 火3, 金3

形式: 対面授業

レベル: 200

アクティブラーニング: あり

他学部履修:

評価方法

リアクションペーパー

40%

レポート

60%

詳細情報

概要

グローバル化/国際化が進展する中で,逆にナショナリズムや民族問題や宗教の問題が大きな課題として立ち現れてきている。ナショナリズムの問題は重要であり,あらためて検討する必要に迫られている。本講義は,映画やニュース映像,音楽,写真,雑誌などを使いながら,ナショナリズムと国際性の関係を主題化していく。 なぜナショナリズムが高揚したのか。それを社会と思想,国家と芸術の相互関係の中で考えたい。 参照軸とするのは1930年代である。戦間期は,一方で国際協調やコスモポリタニズムが前面に出てくるとともに,一方で人種の思想やナショナリズムの意識が高まった時期でもある。この時期のドイツと日本,満洲,アメリカのプロパガンダ,そして芸術を参照する。特に1930年代には日本,ドイツ,満洲,アメリカにおいて国策映画や,芸術に対する国家統制が起こる。当時の映画,映像,音楽史料,データ,写真,絵画,雑誌などを使いつつ,立体的に当時の状況を復元し,歴史的な展開を確認していく。このような分析は「芸術の社会学」として捉えることもできるだろう。また,「ナショナリズム展開でのメディア学」という意味も持つ。結果的として,現在を考える一契機になるようにしたい。 なお,原則として毎回リアクションペーパーを書いてもらうことになる。

目標

・政治と経済と文化の複雑な関係に対して自分なりの視点や考えを持てるようになること。 ・ナショナリズムと国際化の複雑な関係に対して自分なりの見解を持てるようになること。 ・現在の状況を過去との比較の中で捉えられるになること。

授業外の学習

毎回の授業後,以下の学習(合計190分)を行うことが求められる。 ・指示された書籍・論文を読む,もしくは指示された映画を見る(120分) ・授業で指示された課題に取り組む(60分) ・リアクションペーパーを提出する(10分)

所要時間: 毎回所要時間190分程度

スケジュール

  1. イントロダクション
  2. 経済の単位,政治の単位,文化の単位
  3. ナチズムと芸術(1) ナチスがなぜ生まれたか
  4. ナチズムと芸術(2) ナチスの芸術政策
  5. 「満州国」と芸術(1) 満洲がなぜ生まれたか
  6. 「満州国」と芸術(2) 李香蘭,そして満映
  7. コスモポリタニズム。国際連盟を再考する。
  8. ノモンハン事件とその芸術
  9. アジア太平洋戦争時の日米の芸術と国際性(1) 小津安二郎,黒澤明
  10. アジア太平洋戦争時の日米の芸術(2) ウォルト・ディズニー,フランク・キャプラ
  11. 日独の芸術の関係 ブルーノ・タウト,黒澤明,フリッツ・ラングを中心に
  12. ナショナリズムと芸術の倫理 リヒャルト・シュトラウス
  13. 現代のナショナリズムと芸術
  14. まとめ

教科書

テキストは指定しないが,参考文献を適宜指示する。

    参考書

    主要参考文献は以下の三冊。その他は授業中に適宜指示する。

    • 『キメラ 満州国の肖像』

      著者: 山室信一

      出版社: 中公新書,2004

    • 『ナチスの戦争 1918-1949 民族と人種の戦い』(大山晶訳)

      著者: リチャード・ベッセル

      出版社: 中公新書,2015

    • 『永遠平和のために』(宇都宮芳明訳)

      著者: イマヌエル・カント

      出版社: 岩波文庫,1984

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