結婚の哲学

共通 - 全学共通

GSS20010

コース情報

担当教員: 長町 裕司

単位数: 2

年度: 2024

学期: 秋学期

曜限: 月4

形式: 対面授業

レベル: 200

アクティブラーニング: あり

他学部履修:

評価方法

出席状況

30%

授業参加

15%

レポート

55%

その他

授業の内数回はグループディスカションを終了前の15分間をとって行い,そのテーマディスカッションの主なポイントをリアクションペーパーにまとめてTA経由で提出してもらうようにする。学期末レポートの提出は,Moodle上の本コースの最終部に〈レポート提出〉の欄を設けるようにするが,詳しくは授業の中で説明します。

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詳細情報

概要

今日(20世紀末からわたしたちが生きている21世紀)の,とりわけいわゆる先進国と言われる欧米や日本の社会において,〈結婚〉の意味の受け止めと〈結婚生活〉への理解が希薄化する傾向が見てとれる。一組の男女相互の共同生活のあり方にしても,今日の若い世代が ― 同性婚の法的正当性などの問題は別にしても ― 従来とは異なった新しい様々な形態を志向し模索することは,一方では積極的な可能性を大いに孕んでいると言える。他方,男女双方の成人としての人生を形成する心的生活を成熟させてゆく〈結婚〉は,その苦悩や困難の側面も含め,相互に成長・発展する愛の精神性‐倫理性の意味が刷新的に自覚されて然るべき時代に突入していると考えられよう。〈結婚式〉も,単に儀式として習俗上の慣習と捉えられるべきではない。 2022年度では春学期開講で月曜の5時限目に行うこの「結婚の哲学」の授業は,質疑応答を含めて教員との対話的考察の発展を組み合わせる方向で,受講生が280名ほどであるが,授業中終わりの ディスカションの時間をうまく活用して理解を深めるように計らいたい。このディスカッションはほぼ毎回の授業内で行われるが,時にはその同じ授業内で2, 3のグループから発表を行ってもらうこともあり,また他の場合には次の回に各グループディスカッションの内容を総括して呈示することもある。リアクションペーパーは,グループディスカッション(授業内のトピックとなるテーマについて,15 ~ 20分)での話し合いのまとめを出席確認と共に提出するが, TAの業務とも関連するので,授業中に明確に指示します。 本授業では,今日の日本社会の動向に立脚しつつも,相互にかけがえのない人格的「個」である男女が出会い,二人の間に固有に通い合う愛の契りと将来の実りを誓い合う〈結婚〉を,大学の授業内であるが総合的に(心理学的かつ社会学的な脈絡を織り交ぜながらも)哲学的視点を中心に取り扱う。【授業計画】に呈示しているように,21世紀の日本社会の結婚生活の現状を明らかにするだけでなく,〈結婚〉が有する根本意味と人生にとってのメッセージ性を共に考えてゆきたい。今年度も少なくとも2, 3 回は,若手および中堅の御夫婦のゲストスピーカーをお招きして,〈夫婦の絆〉や〈家庭と仕事〉〈親と子ども〉といったテーマについて実地の経験からのお話をうかがうことにする。 本授業の講師は,毎日曜日に上智大学のお隣りにある聖イグナチオ教会で結婚式を挙行する諸カップルのために25年以上に亘って「結婚講座」を行ってきた実践経験,及び上智大学内のクルトゥルハイム聖堂での卒業生たちの結婚式を司式してきた経験に基づいて,学生諸君とこのテーマを巡って対話的に向き合ってゆきたい。

目標

全学共通科目の中で,受講学生の特定の関心領域という枠での教養科目も重要であるが,今日の若い世代の大学卒業後の将来へ向けての人生の歩みも含め,人間にとっての〈古くて絶えず新しい〉根本問題を刷新的に考え直すことは極めて重要で必要であると言える。〈結婚〉もその一つに他ならないが,このような人間に固有な生から開かれ大きな決断へと直面するような基本的な事柄を,大学生として学ぶ時期にこそ真剣に向き合って考えてみることができるよう,この授業ではできるだけ対話的な方法で「思索の基盤」として役立つようにしたい。 日本の法制度で,男女共に18歳以上を結婚適齢期に法改正されたことに鑑み,受講学生たちが「結婚の奥義」と「結婚生活を通しての実りと共に試練」を人生の奥行きから理解し,今後の将来に備えることができるよう配慮する。

授業外の学習

予習では次回の授業へ向けて先立つ前回の授業の重要諸ポイントに関する問いかけを準備し,各自で省察してみることを大いに勧めたい。復習は授業の中心的な内容を吟味するだけで十分である。

所要時間: 復習に120分程度,予習に70分程度を目安とする。内容は授業時に指示する。

スケジュール

  1. 導入篇(1)― 結婚へ向けての〈出会い〉とは
  2. 導入篇(2)― 人生行路における結婚期
  3. 全人間的営みである結婚の意味(1)
  4. 全人間的営みである結婚の意味(2)
  5. 結婚式の意味(その精神的脈絡と社会的意義)
  6. 結婚生活における〈愛〉(1):夫婦の絆
  7. 結婚生活における〈愛〉(2)::夫婦の性生活
  8. 結婚生活における〈愛〉(3):結婚の愛の実り
  9. 家庭における子ども(1):その誕生
  10. 家庭における子ども(2):子どもの成長と両親
  11. 仕事と家庭(1): その均衡の秘法
  12. 仕事と家庭(2): 夫婦生活の進展に伴う両者の位相の変化
  13. 結婚生活を破綻させる諸問題の総括
  14. 結婚生活の〈祝福〉の源 ― 最終的メッセージ

教科書

以下のテキストを教科書とするので,受講学生は授業開講までに上智大学購買部(紀伊国屋書店)にて購入して下さい(定価 1800円)。その上で授業の各回にはレジュメプリントを配布するが,参考資料のコピーも大いに活用する。更なる参考文献についても,適宜授業中に指示する。

  • 『結婚の哲学 ― 21世紀にふさわしい結婚のかたちを求めて ―』 (Ⅰ): ふたりの絆 篇

    著者: 長町 裕司

    出版社: 春秋社 2020年3月1日

参考書

上記のように,参考書についても授業時に適宜示唆するが,この授業は決して文献研究を目的とするものではなく,各学生の将来へ向けての生き方と実践に関わる問題であることに留意したい。

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