国際機構論(歴史,実践,理論)

共通 - 全学共通

GSP30270

コース情報

担当教員: 中内 政貴

単位数: 2

年度: 2024

学期: 秋学期

曜限: 水2

形式: 対面授業

レベル: 300

アクティブラーニング: あり

他学部履修:

評価方法

リアクションペーパー

15%

レポート

70%

小テスト等

15%

詳細情報

概要

グローバリゼーションが加速度的に進展するにつれ,国家が有効に管理できる事項や領域は縮小しつつあり,改めて国際的な機構やレジームが注目を集めている。欧州地域のように,国家が一定の権限を地域機構に委譲することによって,限られた分野ではあるものの地域的な統治の確立を目指してきた例も存在する。その一方で,現代の国際社会においても,主権国家が中心的なアクターであり続けており,上記の欧州の事例では,難民・移民の爆発的な増加を一つの契機として,地域機構の手から国家の側に権限を取り戻そうとする動き,そして逆に国家間の統合をより深化させることで様々な問題に対応しようとする動きが同時に起こっている。 では,現代の国際社会における国際機構の存在意義は何であり,国家と国際機構との関係はいかなるものであるのだろうか。そして,今日,ロシアによるウクライナ侵攻やパレスチナ問題の激化を受け,国連の無力さが指摘されている中で,国家と国際機構との関係をどのように再構築すべきなのだろうか。 本講義では,まず,19世紀以降の国際機構の発展の過程について,特に国家主権との関係に注目しながら振り返る。通商をはじめ国境を超える活動が増大し,あるいは戦争の総力戦化にともなって非戦闘員への被害が増大したことで,国家はお互いの関係を規定するルールやそれを管理する制度や機構を設定する必要に迫られてきた。だが,生み出されたルールや制度は国家自身の行動を縛り,また国際機構は加盟国の意思から独立した動きをとる側面が存在する。それゆえに国家による違反や反発を招き,これらのルールや制度や機構は時として後退を余儀なくされてきた。歴史的な経緯に続いて,安全保障,人権,開発援助,金融,難民・移民などの政策分野における国際機構の機能や役割,問題点などについて検討を加える。 本講義ではアクティブラーニングの手法を取り入れ,毎回,グループディスカッションを実施する。

目標

本講義は,国際機構の歴史や現代における機能や役割について学ぶことにより,国際社会のガバナンスの一端を担う国際機構の位置づけについて理解することを目的とする。特に,主権国家体系において,国際機構と国家主権とがいかなる関係にあるのかという点について深く理解することを求める。 到達目標としては,受講生が①様々な国際機構の目的,機能,成り立ち,限界を知り国際社会に対する理解を深めること,②それぞれの国際機構に対する主権国家の関心や利益を考察できるようになることとする。

授業外の学習

最低でも,各週の講義内容の復習およびリアクションペーパーの作成に60分程度,事前講読資料の内容把握と次回講義の予習に70分程度,ディスカッションに向けて各自の考えをまとめ,追加的な調査の実施に60分程度を行うことが求められる。

所要時間: 190分以上

スケジュール

  1. イントロダクション:なぜ国際機構について学ぶのか
  2. 国際機構の歴史(1):主権国家体系と国境を超える諸活動
  3. 国際機構の歴史(2):国際機構の萌芽
  4. 国際機構の歴史(3):国際連盟の成立と問題
  5. 国際機構の歴史(4):国際連盟から国際連合へ
  6. 国際連合(1):集団安全保障は機能するか
  7. 国際連合(2):安保理改革問題
  8. 国際連合(3):国連ファミリーの機能
  9. 機能面から見る国際機構(1):安全保障〜集団防衛機構から協調的安全保障機構まで
  10. 機能面から見る国際機構(2):人権〜人権の拡大,安全保障における人権
  11. 機能面から見る国際機構(3):開発援助〜ドナーの影響力とオーナーシップ問題
  12. 機能面から見る国際機構(4):金融〜ブレトン・ウッズ機構と金融危機への対応
  13. 機能面から見る国際機構(5):難民・移民〜国境を超える人の動きと国際機構
  14. まとめ

教科書

追加の文献について授業時に指示する。

  • 『国際機構論入門(第二版)』

    著者: 山田哲也

    出版社: 東京大学出版会,2023年

  • 『国際関係論入門』

    著者: 草野大希,小川裕子,藤田泰昌編著

    出版社: ミネルヴァ書房,2023年

  • 『国際機構論講義』

    著者: 最上敏樹

    出版社: 岩波書店,2016年

参考書

  • International Organizations: Perspectives on Global Governance (6th Edition)

    著者: Kelly-Kate S. Pease

    出版社: Routledge, 2018

  • 『国際関係学—地球社会を理解するために(第3版)』

    著者: 滝田賢治,大芝亮,都留康子(編)

    出版社: 有信堂,2021年

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