ケアと依存――自助グループの世界観

共通 - 全学共通

GSP30150

コース情報

担当教員: 葛西 賢太

単位数: 2

年度: 2024

学期: 春学期

曜限: 木1

形式: 対面授業

レベル: 300

アクティブラーニング: あり

他学部履修:

評価方法

出席状況

25%

授業参加

25%

リアクションペーパー

25%

レポート

25%

その他

毎回,提出されたノートを評価対象とする。 全回出席が前提。三回以上欠席した者には単位を与えない。

0%

詳細情報

概要

人は生きるうえで必ず悩みや苦しみに直面する。それらに対処する現代的な方法として,遺族会,難病の患者会,家族会,薬物依存症者の自助グループなどが広く存在する。この自助グループの原型は,米国生まれのアルコール依存症者の自助グループ,アルコホーリクス・アノニマス(以下AA)である。 この授業では,AAをはじめとするさまざまな自助グループについての文献を事前に読み,授業で報告し,討議することにより,自助グループのケアのしくみについて知的に理解する。いっぽう,授業の中にグループワークを取り入れ,自助グループのピアケアのしくみについて,体験的にも理解することを目指す。 事前に資料を読んで教室で解説・討議する「反転授業」方式をとる。

目標

1.さまざまな自助グループの成立について知り,その運営と,持続可能にする工夫について説明し,自身の仲間作りに生かすことができるようになる。 2.弱さを共有する仲間(ピア)の存在によって,問題解決に及ばなくても,問題と共存するすべがあることを知り,他に説明できるようになる。 3.自助グループの当事者の経験を自らに置き換えて,人生の困難に対処すること,また,対処する人を支援する方法をまなび,自身および他者のケアの資源とすることができる。 4.グループワークを通して,グループアプローチの持つ力を体験的にまなび,自身及び他者のケアの資源に加えることができるようになる。

授業外の学習

毎回,指定された文献を事前に読み,授業中に紹介できるように整理し,自身の感想を付してA4一枚程度にまとめ,当日全員(教員含む)に共有する。そのまとめをもとに教室でプレゼンテーションと討議をおこなう。 テキスト読み込み:120分 ノート作成:70分

所要時間: 190分

スケジュール

  1. イントロダクション(受講案内,問題意識と講義のねらい,自助グループとは何か,テキストの紹介,毎回の授業の流れ,反転授業の考え方,授業計画),「もう一つの知」配布
  2. 「もう一つの知」を読み,諸概念の解説(アルコホーリクス・アノニマス,自助グループ,ケア,依存,弱さ,当事者性)
  3. 『対話のことば』の紹介とワーク
  4. 『アルコホーリクス・アノニマス』という本から,自助グループについて考える
  5. 映画『アノニマス・ピープル』から,匿名であることの必要性とデメリットを学ぶ
  6. 『ピア・サポートの社会学』1章「ピア・サポートの社会学に向けて」を読む 物語に着目する意義
  7. 『ピア・サポートの社会学』2章「〈聴く〉場としてのセルフヘルプ・グループ」を読む 認知症患者の家族がゆるく語れるように
  8. 『ピア・サポートの社会学』3章「複数のセルフヘルプ・グループをたどり歩くことの意味」を読む ギャンブルだけでなく感情の重荷
  9. 『ピア・サポートの社会学』4章「葛藤を承認すること,沈黙を共有すること」を読む あしなが育英会
  10. 『ピア・サポートの社会学』5章「「聴く」ことと「つなぐ」こと」を読む 犯罪被害者の語りの場
  11. 『ピア・サポートの社会学』6章「本書のまとめと考察」を読む 自己物語を自由に語る場をもつ意味
  12. 『セルフヘルプ・グループとサポート・グループ実施ガイド』第1部を読む
  13. 『セルフヘルプ・グループとサポート・グループ実施ガイド』第2部を読む
  14. 『セルフヘルプ・グループとサポート・グループ実施ガイド』第3部を読む まとめ

教科書

以下,二つのテキストを購入すること。また,受講前に,「持続可能な善意」pdfをLoyolaよりダウンロードして読んでおくこと。

  • ピア・サポートの社会学

    著者: 伊藤智樹編著

    出版社: 晃洋書房・2013年

  • セルフヘルプ・グループとサポート・グループ実施ガイド--始め方・続け方・終わり方(改訂増補版)

    著者: 高松里

    出版社: 金剛出版・2021年

参考書

参考書の『アルコホーリクス・アノニマス』は簡易版があるが,購入するなら「個人の物語」の含まれたハードカバーA5判(アマゾンで3666円)を奨める。ポケット版,文庫版,B5大型判には「個人の物語」が含まれていないので推奨しない。

  • アルコホーリクス・アノニマス

    著者: AA日本出版局

    出版社: AA日本ゼネラルサービスオフィス・2002年

  • 対話のことば

    著者: 井庭崇・長井雅史

    出版社: 丸善出版・2018年

  • アルコホーリクス・アノニマスの歴史--酒をてばなした人びとをむすぶ

    著者: アーネスト・カーツ

    出版社: 明石書店・2020年

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