宗教思想の伝統と現代
共通 - 全学共通
GSP30010
コース情報
担当教員: 長町 裕司
単位数: 2
年度: 2024
学期: 秋学期
曜限: 金3
形式: 対面授業
レベル: 300
アクティブラーニング: あり
他学部履修: 可
評価方法
出席状況
授業参加
リアクションペーパー
レポート
その他
評価基準については,初回の授業で詳しく説明します。学期末のレポート提出については,Moodle上の本コースの最終回の箇所に課題レポート提出欄を設定することにする。各講師の授業内容から受講生各自が選択したテーマについて学期末レポートを作成してゆく。 リアクションペーパーおよびグループディスカッション(毎回ではないが,トピックとなるテーマについて,15 ~ 20分)での話し合いのまとめを提出するやり方については, TAの業務とも関連するので,これも授業中に詳しく説明します(提出されるリアクションペーパも出欠と併せて評価に加える)。
詳細情報
概要
この授業科目は,今日の世界史的状況の変動における宗教の真正な理解,及び正に21世紀という人類の歴史的状況の精神的趨勢の中で生きる人間存在にとっての宗教の根源的意味に光を当てることを目的とする。宗教の実体は,その生ける伝承を通して培われ具体的な(人格的な個としても共同体的な結合においても)人間存在の内に開かれ貫徹される生の根本指針と自己の覚醒からの実践の基層に存すると言えるが,同時に一定の宗教伝承が諸時代を架橋して形成されるに伴う独自の宗教思想の厚みと更なる展開,そして宗教的霊性の刷新的ダイナミズムこそは,当の宗教的実体の真正性を証しし時代に相応しい世界解釈の地平のための普遍的理解を築くと言える。本授業では,宗教思想の伝統に接近する上で根幹となる基礎理解を仲介すると共に,現代の宗教的思索の動向の探知を受講者の積極的な授業参加を通じて開拓することを目ざし,今日の日本社会へと羽ばたいてゆく上智大学生に即応した(上智大学生にふさわしい)「高学年向け科目」の課題を推進したい。 授業内容は,以下の三部構成をとる。初回の本授業の枠テーマについての導入講義に続いて,西洋精神史におけるキリスト教の進展からキリスト教の伝統的思想の形成についての基礎理解をテーマとする第一部,東アジアへの仏教伝播から日本の古代及び中世を通じて展開する仏教の実践と思想的発展の路線を明らかにする第二部,そして現代(20世紀後半から21世紀へ)における東西の宗教思想の動向を扱う第三部という形式となる。イスラムの宗教思想圏は現段階では割愛するが,今後考慮してゆくことにしたい。本授業を通じて西洋と東洋の宗教的伝統と今日的な発露について基礎教養としての知が根づくための授業内容を心掛ける。 授業中終わりの ディスカションの時間をうまく活用して理解を深めるように計らいたい。リアクションペーパーは,グループディスカッション(授業内のトピックとなるテーマについて,15 ~ 20分)での話し合いのまとめを出席確認と共に提出する。
目標
上智大学で学ぶ新しい時代の若い世代が,大学教育を終える前の根幹となる教養科目として,以下の三点を授業のねらいとする。 (1)東西の二大宗教(仏教とキリスト教)の歴史的展開における思想的伝統につい ての基礎理解 (2)現代の歴史的世界状況に生きる日本人に相応しい宗教の真正な根本理解 (3)東西の宗教的思想の今日における「出会い・邂逅」から開示される普遍的宗教 性へ向かう視座 授業時に重要なトピックスに関してグループディスカションの時間を設けて,受講学生たちの理解が深まり,互いに問題を共有できる出発点を築くようにする。基礎教養を改めて深めるとともに,各学生の受講者が自らの人生において経験と読書を通じて理解を徹底化してゆくための根本となる理解の仲介をめざす。
授業外の学習
この授業内容を十分自分のものとし,更に自得されたものを将来の自己の歩みに生かしてゆけるように,以下の二点を予習および復習として勧めたい。 1) 毎回の授業で重要ポイントとなる問題連関を授業外の時間(例えば週末や日曜日に少 し落ち着ける時間)にレジュメの項目やノートを振り返って内省し直す習慣を身につ ける。 2) 授業時に配布した参考資料や指摘された参考書籍を少し時間をかけて熟読する。
所要時間: 復習として95分,予習として95分を目安とする。
スケジュール
- 導入篇 ― 宗教思想の伝統に脈打つもの (コーディネーター/文学部哲学科 長町 裕司)
- 西洋思想の二つの源泉 ― ギリシャ思想とヘブライ・キリスト教信仰 ― (上智大学 文学部 哲学科 PD 石田 寛子)
- ユダヤ教からキリスト教への連続と訣別 (上智大学 文学部 哲学科 PD 石田 寛子)
- キリスト教の思想的展開(1) (上智大学 文学部 哲学科 PD 石田 寛子 )
- キリスト教の思想的展開(2) (上智大学 文学部 哲学科 PD 石田 寛子 )
- 〈わたし〉という存在へのまなざし:仏教的思惟への導入として ( 曹洞宗総合文化センター/駒澤大学 仏教学部 禅学科 永井 賢隆)
- 仏教の濫觴とその思想的背景 ( 曹洞宗総合文化センター/駒澤大学 仏教学部 禅学科 永井 賢隆)
- 原始仏教の思想と仏教の分派:部派仏教・大乗仏教の成立と東アジアへの伝播 (曹洞宗総合文化センター/駒澤大学 仏教学部 禅学科 永井 賢隆)
- 中国仏教の思想的展開:大乗仏教の中国的変容・禅思想の成立 ( 曹洞宗総合文化センター/駒澤大学 仏教学部 禅学科 永井 賢隆)
- 日本仏教の思想的展開:道元著『正法眼蔵』の思想を中心として (曹洞宗総合文化センター/駒澤大学 仏教学部 禅学科 永井 賢隆)
- キリスト教と仏教の出会いという問題 :京都学派の宗教哲学の全体的意義 (文学部哲学科 長町 裕司)
- 世紀後半から21世紀へと進展するキリスト教的な宗教思想 (文学部哲学科 長町 裕司)
- 西田哲学から開かれる宗教思想(1):西田幾多郎と西谷啓治 (文学部哲学科 長町 裕司)
- 西田哲学から開かれる宗教思想(2):上田閑照 (文学部哲学科 長町 裕司)
教科書
東西宗教思想の広汎な諸層に亘り,複数の教員による輪講科目であるので,特定の教科書となるテキストは指定しない。本年度は,具体的に下記の授業スケジュールによる内容を提供するので,各講師が配布または提示する資料やレジュメの研究を重要視するようにして下さい。
参考書
各講師が授業時に提示/示唆する参考文献やお勧めの書籍を中心に学ぶ幅を増強することが期待される。