立場の心理学2:特権の自覚と行動をつなぐ

共通 - 全学共通

GSP20880

コース情報

担当教員: 出口 真紀子

単位数: 2

年度: 2024

学期: 2Q集中

曜限: その他

形式: 対面授業

レベル: 200

アクティブラーニング: あり

他学部履修:

評価方法

出席状況

25%

リアクションペーパー

25%

レポート

25%

その他

グループプロジェクトが成績の25%に値します。 3コマ休むのは認めるが,4コマ休むと「F」。1限の多い授業なのと,1日休むと3コマ分休むことになるので,この点は十分気をつけてください。ゲストスピーカーの日は特に遅刻には気をつけてください。

25%

詳細情報

概要

本科目は,本学の「他者のために,他者と共に」の理念を実現できるよう,学生に特権(privilege)を持つ立場であることへの自覚を促し,構造的差別を理解し,その特権をどう使い,構造的な差別構造を改革するのかを考える。「立場の心理1:マジョリティの特権を考える」を履修済みの学生を対象としたアドバンスト(上級)コースと位置付ける。 「立場の心理学1」では,マジョリティ集団に属する人々(社会的強者)がある社会集団に属することで「労なく得ることのできる優位性と恩恵」という特権を持っていることの自覚を促し,日本人(人種的)特権,社会階級特権,男性特権,異性愛者・シスジェンダー特権について学んだ。また,LGBTQ+,性被害者,在日コリアン,部落出身者などのマイノリティの人たちをゲストスピーカーとして招き,彼らの体験や考え方を直接聞くことで,より自身の特権や立場性の自覚が促された。 本講義「立場の心理学2」では,履修生を上限40名に絞り,よりディスカッション形式の授業を取り入れた「1」では学べなかった他の特権について学び,アイデンティティの交差性(インターセクショナリティ)についても考える。健常者特権,言語特権,単一人種特権(ダブルやハーフと呼ばれるミックス・ルーツの人たちと比較して),本土特権(沖縄に対して),和人特権(アイヌに対して)などの内容を扱う。また,この授業では,フィールドワーク(朝鮮人大虐殺の現場を訪れ,歴史を学ぶ)をオプション(任意)として提供している。また,知識を学ぶだけにとどまらず,社会的公正(social justice)を実現するためにどう行動すればよいかについて,コミュニティ・オーガナイジングの手法を学び,グループワークを通して,行動に結び付けるためのヒントや訓練の場を提供する。 【2024年度開講日程】(確定ではない) 8月4日(日) 1限・2限・3限 8月5日(月) 1限 午後から在日朝鮮人虐殺の歴史フィールドワーク 8月6日(火) 1限・2限・3限 8月7日(水) 1限・2限・3限 8月8日(木) 2限・3限 8月9日(金) 3限・4限

目標

特権の自覚教育では,人種的アイデンティティ発達理論の段階を軸とした,自分自身の社会的アイデンティティとどれほど向き合っていけるかを手助けするのが目的である。また,多様な価値観,態度,目標を持ち合わせた,社会的公正を目指す学生同士が安心・安全な場所で,様々な議論をすることで,社会的変革への動機づけや社会的公正を実現するための行動を持続するために必要なネットワークを形成することが目的である。この授業では,自分の持つ特権や立場性を自覚し,その特権を活かしてマイノリティのアライになりたいと考える将来のリーダーを育てることも狙いである。 上智生が世界に通じる国際性豊かな人間になる上でも,海外だけでなく,国内の不公平にも目を向け,「自分の特権に自覚的である」ことと,構造的・制度的な差別構造をより公正に変えていくこそが,本当の意味で社会的に周縁化された人々からも信頼され,「他者とともに」連携を実現できると考える。 本授業では,小グループディスカッション,学生が主体的に小グループで自分たちが見つけた課題に対して解決する方法を模索するなど,アクティブ・ラーニングを用いている。

授業外の学習

教科書購入必須(立場の心理学1と同じテキスト)。 毎回課題あり。課題は,論文やエッセイなどのリーディング,ビデオ鑑賞に関するリアクションペーパー。 朝鮮人大虐殺の歴史をめぐるフィールドワーク(土曜日,参加は任意)に参加する人は一人1000円を徴収する。

所要時間: 授業 1 回あたり 190 分

スケジュール

  1. 月4日(日)1限 自己紹介&アイスブレーカーアクティビティ 授業の安全性とルールの確認
  2. 月4日(日)2限 特権の自覚と自分の歩みを振り返る。立場の心理学1の基礎概念の復習 健常者特権について考える
  3. 月4日(日)3限 差別とトラウマ心理学 ゲスト・スピーカー(1):水木理恵(臨床心理士)
  4. 月5日(月)1限 (午後フィールドワーク) ゲスト・スピーカー(2): 梁大隆 日本人特権を考える:在日朝鮮人,ヘイトスピーチ裁判と判決 (午後から在日朝鮮人虐殺フィールドワーク,フィールドワーク代 1000円)
  5. 月6日(火)1限 和人特権:アイヌ差別と交差性 ゲスト・スピーカー(3):石原真衣(アイヌ・先住民研究センター)
  6. 月6日(火)2限 健常者特権:障害者差別を考える
  7. 月6日(火)3限 本土特権:沖縄差別を考える
  8. 月7日(水) 1限 コミュニティ・オーガナイジングとは?:手法と実践 ゲスト・スピーカー(4):小田川華子(NPOユニバーサル志縁センター代表)
  9. 月7日(水) 2限 コミュニティ・オーガナイジング:グループワーク1
  10. 月7日(水) 3限 コミュニティ・オーガナイジング:グループワーク2
  11. 月8日(木) 2限 コミュニティ・オーガナイジング:労働組合と社会運動,海外の成功事例
  12. 月9日(木)3限 コミュニティ・オーガナイジング:発表と評価
  13. 月9日(金)3限 全体の振り返り:マジョリティ特権と発達段階
  14. 月9日(金)4限 アライ(味方)として連帯するために アライになるための心構え 特権への無自覚から,今の私:行動にうつした先輩たちの声 バーンアウトしないために

教科書

「コミュニティ・オーガナイジング ほしい未来をみんなで創る5つのステップ」(鎌田,2020)は必ず購入ください。後半はこの本を読み込んで,応用します。

  • 「真のダイバーシティをめざして:特権に無自覚なマジョリティのための社会的公正教育」

    著者: グッドマン著,出口真紀子監訳

    出版社: 上智大学出版 2017

  • コミュニティ・オーガナイジング ほしい未来をみんなで創る5つのステップ

    著者: 鎌田 華乃子

    出版社: 英治出版 2020

  • 「おれは無関心なあなたを傷つけたい:見て見ぬふりをするすべての日本人へ」

    著者: 村本大輔

    出版社: ダイアモンド社 2020年

参考書

書籍情報はありません。

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