中東イスラーム研究入門 I
共通 - 全学共通
GSP20770
コース情報
担当教員: 山口 昭彦
単位数: 2
年度: 2024
学期: 春学期
曜限: 木4
形式: 対面授業
レベル: 200
アクティブラーニング: なし
他学部履修: 可
評価方法
リアクションペーパー
授業内期末試験
授業期間中
小テスト等
詳細情報
概要
この授業は,近代以降の中東地域の歴史の流れを大まかにつかむためのひとつの手がかりとしてパレスチナ問題を取り上げる。この問題がどのような経緯で生まれてきたのかを,そして今どのような状況にあるのかを,できるかぎりわかりやすく説明する。 中東と言えば,一般に宗教や民族をめぐる対立が絶えない危険な世界というイメージがある。たしかに,中東地域には,さまざまな言語や文化,宗教が存在しており,民族紛争や宗教紛争と言うべき紛争をいくつか抱えている。しかしながら,このことは,この地域が歴史を通じて常に紛争や対立に終始したということを意味するものではない。言いかえれば,異なる宗教や民族が社会や国家のなかに存在する場合に必ず紛争が生じるわけではなく,紛争が起こるのは,そのときどきの具体的な事情によっている。 パレスチナ問題についても,同様である。古くからのユダヤ人とアラブ人との宿命的な対立とみなす風潮は依然として強いが,実際には,中東地域が近代以降におかれた特殊な国際環境やそれに連動した現地の政治権力や在地社会の変化など,さまざまな要因が絡み合いながら生まれてきた問題である。 この授業では,パレスチナを含む中東地域が近代以降に経験した政治変動をたどりながら,現在のパレスチナ問題を理解するのに必要な基本的な情報を提供する。この問題の構図がわかれば,現在の中東で生じている様々な動きをより深く理解できるだろう。
目標
1.中東地域の近現代史の大まかな流れをつかみ,現代中東への理解を深めるための基本的知識を身につける。 2.中東社会における宗教的・民族的多様性を単に「紛争」の原因としてみるのではなく,「共存」の実態にも注目する。
授業外の学習
講義では中東地域の近代から現代にかけての歴史的変遷を概観するので,受講にあたっては,歴史の流れを常に頭に浮かべながら臨んでほしい。それには,以下のような授業時間外の学習が推奨される。 毎回の授業の前日あるいは当日に,前の回(あるいは,それまで受けたすべての回)の授業で配付した資料や自分で取ったノートの見直し:80分 授業後にノートや資料を再度確認し,疑問点など理解でなかった点がないかどうか,確認する:40分 理解できなかった点やさらに興味をもった問題などについて自分で自主的に文献などにあたり,理解を深める:70分
所要時間: 190分
スケジュール
- (以下の計画は,授業の進行状況に応じて変更されることもある。その場合には授業でその旨伝える。) 導入:中東地域の近現代史を学ぶために
- 中東イスラーム世界における異教徒(非ムスリム)
- ヨーロッパにおけるユダヤ人差別とシオニズム運動の登場
- オスマン朝への西洋列強の進出とパレスチナ
- 第1次世界大戦後のオスマン朝解体と「中東諸国体制」の成立
- イギリスによるパレスチナ委任統治とその破綻
- アラブ=イスラエル紛争からパレスチナ=イスラエル紛争へ
- 映像資料
- 第3次中東戦争後のパレスチナ問題の展開
- インティファーダと中東和平への道
- ハマースの台頭
- 映像資料
- 入植地の拡大とガザ封鎖
- 授業内試験
教科書
特に教科書は使わず,毎回,資料を配付する。
参考書
以下の文献以外にも,授業内で紹介します。
世界史の中のパレスチナ問題
著者: 臼杵陽
出版社: 講談社・2013年
パレスチナ問題の展開(放送大学叢書)
著者: 高橋和夫
出版社: 左右社・2021年
パレスチナを知るための60章 (エリア・スタディーズ144)
著者: 臼杵陽・鈴木啓之
出版社: 明石書店・2016年