イスパニア語圏の歴史と今
共通 - 全学共通
GSP20430
コース情報
担当教員: 松原 典子
単位数: 2
年度: 2024
学期: 秋学期
曜限: 金3
形式: 対面授業
レベル: 200
アクティブラーニング: あり
他学部履修: 可
評価方法
出席状況
小テスト等
その他
各回に小テストかリアクションペーパーを課す(成績評価の70%)
詳細情報
概要
イスパニア語圏とは,ヨーロッパに位置するスペインに加えて,メキシコやアルゼンチンやキューバなどのアメリカ大陸およびカリブ海に広がる18カ国とアメリカ合衆国の自治連邦区プエルトリコ(イスパノアメリカ),さらにアフリカの赤道ギニアを含む広大な地域を指す。近年ではアメリカ合衆国でもイスパノアメリカにルーツを持ちイスパニア語を母語とする人々,いわゆるヒスパニックの人口が増加しており,日本にも南米からの労働者が多く居住している。イスパニア語を母語とする話者は全世界で5億人近くに上り,国連の公用語の一つにもなっている。 日本人には比較的なじみの薄いイスパニア語圏であるが,こうして見ると,将来何らかの形でイスパニア語母語話者やイスパニア語圏との接点をもつ可能性は,イスパニア語やイスパニア語圏を専門に学ぶ学生に限られない。本講義は,イスパニア語学習経験の有無にかかわらず,多様な専攻の学生が,イスパニア語圏の歴史や文化,その現代の諸問題に対する知識と理解を深めるための基盤を提供するものである。スペインを除いていわゆる「グローバル・サウス」を構成するイスパニア語圏について知ることは,欧米型のグローバル・スタンダードを相対化して考える契機ともなるだろう。 講義はイスパニア語圏を研究対象とする複数の教員による輪講形式で行われる。 【アクティブ・ラーニングの方法】 リアクションペーパー
目標
・イスパニア語圏形成の歴史を理解する。 ・建築や言語という観点から,スペインとイスパノアメリカの関係性やイスパノアメリカの多様性を知る。 ・現代のイスパニア語圏が抱える諸問題を認識し,その解決策について考察する。 ・イスパノアメリカと日本の関係についての理解を深める。 ・イスパノアメリカ(あるいはラテンアメリカ)を知ることを通じて,欧米型のグローバル・スタンダードを相対化する視点を獲得する。
授業外の学習
予習(40分程度):Moodleに掲出された,次回授業で使用する予定のパワーポイント他の資料に目を通し,授業内容の概略を頭に入れるとともに,各回のテーマに関する自らの知識(あるいは知識の不足)を整理しておくこと。 復習(90分程度):配付資料や授業ノートに基づいて授業内容を復習し,リアクションペーパー他の課題を仕上げること。 その他(60分程度):各教員から提示される参考文献を積極的に活用し,さらなる知識の獲得と理解の深化に努めること。
所要時間: 190分
スケジュール
- イントロダクション(松原典子)
- スペインの歴史(1)レコンキスタから大航海時代へ(内村俊太)
- スペインの歴史(2)イスパノアメリカ植民地時代(内村俊太)
- バロックからウルトラ・バロックへ―西欧の建築・美術のイスパノアメリカ的展開(松原典子)
- 多言語社会としてのイスパニア語圏(アインゲル・アロツ)
- スペインの歴史(3)イスパのアメリカ諸国の独立(幡谷則子)
- イスパノアメリカにおける紛争の歴史と現状―コロンビアを中心に(幡谷則子)
- ラテンアメリカ世界から見た西欧基準の再検討(長谷川ニナ)
- 移民を通して見るイスパノアメリカ諸国(松本アルベルト)
- ケーススタディ ベネズエラ①:民主主義の溶解(坂口安紀)
- ケーススタディ ベネズエラ②:国家経済の破綻(坂口安紀)
- エル・サルバドルを中心とした中米の今(アラス・モレノ)
- EU加盟後の現代スペイン(内村俊太)
- 総括:イスパニア語圏の喫緊の課題と展望(幡谷則子,松原典子)
教科書
共通テキストは定めず,各担当教員が授業内に参考文献を提示する。
参考書
『ラテンアメリカン・ディアスポラ』
著者: 駒井 洋(監修)
出版社: 明石書店,2010年
『世界の歴史18 ラテンアメリカ文明の興亡』
著者: 高橋 均・網野徹哉
出版社: 中央公論社,1997年
『世界歴史体系 スペイン史1 古代~近世』 『世界歴史体系 スペイン史2 近現代・地域からの視座』
著者: 関哲行,立石博高,中塚次郎編
出版社: 山川出版社,2008年