地域研究の最前線

共通 - 全学共通

GSP20370

コース情報

担当教員: 幡谷 則子

単位数: 2

年度: 2024

学期: 春学期

曜限: 木5

形式: 対面授業+オンライン授業(オンデマンド授業,同時双方向型授業(Zoomなど)) /Alternating face-to-face & A

レベル: 200

アクティブラーニング: あり

他学部履修:

評価方法

出席状況

20%

授業内期末試験

授業期間中

80%

詳細情報

概要

・主に初年次生を対象として,輪講形式により,外国語学部各学科の専任教員がそれぞれの専門領域の研究の面白さをわかりやすく概説し,学生が地域に関する学習を研究に発展させることができるような橋渡しの授業を提供する。 ・具体的には,まず,マスメディアが十分に伝えない世界の国や地域あるいは都市のユニークな特色や事情,国民性などを紹介しながら,個別地域の研究はグローバリズムの視点とはまた異なる興味深い研究対象の宝庫であることを示す。次に,地域研究方法論はどの分野にも発展しうる可能性をそなえており,人間・思想・生活・環境といった普遍的なテーマに迫ることができるという点にも目を向けさせる。 ・掲げるテーマは,言語・文化・芸術・歴史・社会・政治・経済・国際関係・環境問題あるいはそれらの横断領域。 ・多くの回で授業内で受講者にクイズやリアクションペーパーの課題を出す予定である。

目標

授業のねらいや学習効果のポイントは,以下のとおり: ・世界は多様であり,さまざまな言語が存在し,言語により文化背景や発想法,習慣などが全く異なることをしっかり認識させる。 ・以上の認識に基づいて,言語・文化・芸術・歴史・社会・政治・経済・国際関係・環境問題,その横断領域などの研究アプローチの基礎を学ぶ。 ・学習から研究へのステップとしての位置づけとなる授業とする。具体的には,資料収集のしかたを含め,地域研究の斬新な方法論の概略に触れながら,問題関心をどのように具体的な研究成果に結びつけていくか,自分の研究をどう掘り下げるかを,研究のプロセスを追体験することによりつかみ取る。 ・本講義シリーズで身につけた知識やものの考え方をやがて普遍的なテーマやそれぞれの専門に活かせるような,学部横断的な授業をめざす。

授業外の学習

各講義で示された予習・復習などの学習

所要時間: 190分以上:事前にMoodleなどに提示された参考資料をもとに予習復習を行う。

スケジュール

  1. イントロダクション:岐路にある地域研究の挑戦(幡谷則子):授業の主旨,地域研究の今日置かれた状況,各担当者の講義内容の簡単な紹介,成績評価の方法について説明します(4月18日)。
  2. 物語/ナラティブで世界情勢を読み解く―ケアの視点から(小川公代):今,ウクライナやガザで悲惨な戦争が起きている。日本も防衛費を大幅に引き上げ,戦後の安全保障政策を大きく転換しつつある。これまでも様々なナラティヴが語られ,戦争の暴力によって人の命が奪われることが正当化されてきた。今必要とされるナラティヴとは何か。ケアをめぐる文学や思想の観点から,このような世界情勢について再考する。(4月25日)
  3. アメリカと人種問題:ブラック・ライブス・マター運動と交差性(出口真紀子):ブラック・ライブス・マター(Black Lives Matter)の運動がアメリカを超えて世界中に広まった背景には,草の根の活動家(コミュニティ・オーガナイザー)の存在が大きい。アメリカの人種問題の歴史を踏まえながら,今日の運動の担い手となった人物を通して社会変革と交差性(intersectionality)の関係について考察する。(5月2日)
  4. 環境問題とキリスト教:ドイツの場合(木村護郎クリストフ):環境問題に関して,ドイツのキリスト教界は世俗的な議論を吸収するとともに独自の検討を加え,脱原発への政策転換においても一定の役割を演じた。世俗的に見える環境問題への宗教の関与の仕方を分析し,宗教が公共の場にも関わるドイツ社会における世俗と宗教の関係を考察する(5月9日)。
  5. 地域研究とドイツの政治(河﨑 健)地域研究としてのドイツ政治研究はいかにして可能なのか。ドイツの政治の概観を説明した後,日本や他の西欧諸国との比較を通してその特性の一端を紹介する。(5月16日)
  6. フランスの「移民」問題(牧 陽子)外国からの人の流入増加はフランスに限った問題ではないが,フランスでは「移民」の統合は,憲法が掲げる普遍的な共和主義の下,差別解消のための取り組みのあり方が常に模索されてきた。フランス社会における「移民」の現状と包摂/排除の動き,その研究について取り上げる。(5月23日)
  7. フランスにおけるパリテ法(SERVERIN Simon) :フランスにおけるパリテ法の歴史と実 践を紹介した上で,その結果と問題点を分析する。日本における女性の政治活動という問題 意識を照らす機会も与える(5月30日)。
  8. 辺境から社会を見直して見えてくるもの:コロンビアを例に(幡谷則子):今日貧困や暴力に苦しむ辺境地は,同時に天然資源や自然の側面で豊かな地域でもあることが多い。なぜ経済発展のポテンシャルが高い地域で生活する人々が国家や市場から見捨てられているのだろうか。辺境の生活から国民国家の発展を見直す(6月6日)
  9. A brief introduction to Latin American Law (英語で授業を行う)((ALAS MORENO Nancy)This class session aims to briefly introduce the roots of Latin American law (indigenous law) and its deep connection to Spanish law. It will also cover the evolution of Latin American law from its origins to its actual status.(6月13日)
  10. 地域主義・地域統合の現在(湯浅剛):20世紀後半,欧州統合を代表的事例として地域主義や地域統合の議論が発展した。その後,イギリスのEU離脱,ロシアとの分断という現実を目の当たりにして,欧州でも地域統合だけを賛美する時代は終わったように見える。ユーラシアやアフリカで独自の経済・安全保障分野の多国間協⼒が進むなか,国家と地域のあり方を改めて考えてみる(6月20日)。
  11. ロシア人のコミュニケーションの取り方(ラティシェヴァ・スヴェトラーナ):国によって,コミュニケーションの形や取り方は異なります。私たちは,ロシア人がさまざまな設定でどのようにコミュニケーションを取っているかを見ていきます。例えば,家族の中で,職場で,友人と。そして,ロシア人がどのようにジェスチャーをし,どのような贈り物を,どのような際にどのようにプレゼントするかをお話しし,また,日本人のコミュニケーション方法や,おそらくあなたがよく知っている他の国でのコミュニケーション方法と一緒に比較しましょう(6月27日)。
  12. 言語によって”圏”をつくる(市之瀬 敦)「〇〇語圏」「△△語圏」という言葉がある。それは如何なるものなのか,いかにして形成されるのか?「ポルトガル語圏」を例にとって考察してみる。(6月27日)(この回はZoomでの授業となります)
  13. Pop Culture and Area Studies(英語で授業を行う)(NEVES Mauro)After introducing some definitions of pop culture and some information on the historical evolution of what has been seen as pop culture, I present ways of analyzing pop culture and how to connect this analysis to area studies. (7月11日)
  14. 期末テスト(幡谷則子)対面での授業内試験として実施予定。詳細は授業時間中,ないしmoodleでお知らせします(7月18日)。

教科書

テキストは各講義担当者が示す

    参考書

    書籍情報はありません。

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