日本史
共通 - 全学共通
GSP20040
コース情報
担当教員: 北條 勝貴
単位数: 2
年度: 2024
学期: 秋学期
曜限: 水1
形式: オンデマンド授業
レベル: 200
アクティブラーニング: あり
他学部履修: 可
評価方法
リアクションペーパー
小テスト等
詳細情報
概要
本講義では,日本史研究/日本史教育の乖離の実態を把握したうえで,両者を架橋すべく,一般社会の日本史認識を更新してゆくことを目指す。まず,授業日程の前半では,中学・高校の教科書に代表される〈日本史〉の枠組みがどのように成立し,時代とともに変化していったかを跡づけ,〈歴史〉が社会的な構築物であり,自明の真理ではありえないことを追究する。後半では,古代から近現代に至る具体例(環境やジェンダー,マイノリティに関する事項を扱う予定)をとりあげ,日本史教育の現状を,日本史研究の最前線の知識で補完してゆく。以上の過程を通じ,受講生とともに,両者を有機的に結びつける方策について考えたい(受講生の関心や理解度,あるいは時事などに応じて毎回のトピックや重点の置き方,講義順序などを変更することがある)。 なお各回は,個々のテーマに関する授業動画(60分程度)と,前回のリアクションのまとめ+フィードバック動画(30分程度)で構成する。受講者は,予習を踏まえてこれを視聴,復習の形でリアクション・ペーパー(300字程度)を提出してもらう。成績は,毎回のリアクション・ペーパーを重視して評価する。1月初回には,冬休みまでに何らかの史跡もしくは博物館等の見学を課しておき,そのレポートを小テストとして書いてもらう(1000字程度)。最終回には,学期を通じた問いを投げかけ,同じく小テストとして解答してもらう(1500字程度)。
目標
1)高校までの教科書で学んだ歴史が,唯一普遍ではなく仮説に過ぎないことを自覚できるようにする。 2)一国史・人間の歴史という固定的な枠組み(あるいは記憶型の歴史認識)を相対化し,より柔軟で多角的な歴史への眼差し(思考型の歴史認識)を持てるようにする。 3)過去が現在とどのように繋がっているのか,過去を学ぶことが現在を生きるうえでどのような意味を持つのか,主体的に考えられるようにする。
授業外の学習
1)予習(90分程度):歴史学や日本史を考える基礎を作るため,教科書に設定した『療法としての歴史〈知〉』の関連箇所を読み進め,要点をまとめておく。 2)復習(100分程度):毎回設定される問いついて,講義の内容と予習の成果,前回のフィードバックを踏まえ,自分なりの見解をリアクション・ペーパーにまとめ,Moodle に提出する。
所要時間: 190分
スケジュール
- ガイダンス)日本史教育の現状と世界の動向 ・日本の歴史教育は現状はどうか,世界と比較すると何が問題か
- 日本史の枠組みの形成1)近代学問としての日本史の成立 ・日本史教育/日本史研究の起源はどこにあるか
- 日本史の枠組みの形成2)実証主義歴史学と皇国史観の葛藤 ・日本史教育/日本史研究の基礎はどのように作られたか
- 日本史の枠組みの形成3)マルクス主義歴史学の展開 ・戦後歴史学を席捲した唯物史観とはいかなるものの見方か
- 日本史の枠組みの形成4)社会史の隆盛から現代歴史学へ ・現代歴史学の到達点と課題はどのようなものか
- 日本史の〈常識〉と日本史教育の乖離1)古代1 ・日本史の教科書と日本史研究とはどこまで距離があるか
- 日本史の〈常識〉と日本史教育の乖離1)古代2
- 日本史の〈常識〉と日本史教育の乖離2)中世1
- 日本史の〈常識〉と日本史教育の乖離2)中世2
- 日本史の〈常識〉と日本史教育の乖離3)近世1
- 日本史の〈常識〉と日本史教育の乖離3)近世2
- 日本史の〈常識〉と日本史教育の乖離4)近現代1
- 日本史の〈常識〉と日本史教育の乖離4)近現代2
- まとめ)日本史教育と日本史研究の距離を考える ・両分野の間にある溝は埋められるか
教科書
下記のテキスト1の該当部分の読解を,授業の進行の前提としてゆく。
『療法としての歴史〈知〉─いまを診る─』
著者: 方法論懇話会 編
出版社: 森話社,2020年
参考書
授業の進行に即して適宜指示・紹介する。
『深化する歴史学─史資料からよみとく新たな歴史像─』
著者: 歴史科学協議会 編
出版社: 大月書店,2024年
『歴史を社会に活かす─楽しむ・学ぶ・伝える・観る─』
著者: 歴史学研究会 編
出版社: 東京大学出版会,2017年
『「歴史総合」をつむぐ─新しい歴史実践へのいざない─』
著者: 歴史学研究会 編
出版社: 東京大学出版会,2022年