キリスト教人間学(古代中世の哲学)【Eブロック】/ANCIENT
共通 - 全学共通
GSCH0310
コース情報
担当教員: 荻野 弘之
単位数: 2
年度: 2024
学期: 秋学期
曜限: 火4
形式: 対面授業
レベル: 200
アクティブラーニング: あり
他学部履修: 可
評価方法
出席状況
授業参加
リアクションペーパー
レポート
その他
出席を毎回確認する。無断欠席が3回を超えた場合には,原則として成績評価の対象としない。
詳細情報
概要
本科目は,「他者のために,他者とともに生きる人間Men and Women for Others, with Others」の理念に基づき,上智大学のユニバーシティ・アイデンティティをになうコア科目である,「キリスト教人間学」科目群に属する選択必修科目です。この科目群全体の理念および成績評価の基準については,『履修要覧』の「キリスト教人間学」科目群の共通講義概要,「キリスト教人間学」科目群の共通評価基準,およびSophia Orientation Dayの際に配布される授業案内『キリスト教人間学』をかならず参照してください。 ・一般に「禁欲主義」(Stoic)の代名詞として知られるストア派の哲学・倫理学・自然観を考察する。特にローマ時代の解放奴隷出身の哲学者エピクテトスと,皇帝マルクス・アウレリウスに焦点をあてる。自己の内面を注視した魂の日記ともいうべき『自省録』は時代を超えて読み継がれてきた人生論の古典。 ・自然の合理性,他者への義務,情念と理性,孤独と運命愛,自殺といった主題をめぐる骨太な思索は,後のモラリスト文学やキリスト教修道思想にも影響を与え,仏教的修養論や武士道にも通ずる硬質な無常感に貫かれている。虚飾の繁栄に酔い,漠然たる閉塞感に苛まれる現代日本の思想風土で,奴隷と皇帝とが共有した主知主義の極北は,いかに活きるか。 ・西洋哲学や古代ローマ史の予備知識は不要。 ・哲学を専門としない学部学生を主な対象とする,西洋古代思想の入門的授業。 ・この問題に関心のある上級生や哲学科生の受講も歓迎する。 ・なお,感染状況によって,また準備の状況や受講者の条件によっては変更もありうる。状況によって「柔軟に対処する」ことをあらかじめ了解されたい。 ・詳細は,ロヨラの授業掲示板に告知する。初回までにテキスト3冊(『自省録』『精神の城塞』『奴隷の哲学者エピクテトス』を手元に準備しておくように。できれば,これらに目を通しておくとよい。)
目標
・哲学とはどんな学問なのか,おおよそのイメージを掴む。 ・いくつかの哲学上の基本概念を理解する。 ・自分自身の毎日の生き方を自覚的に問い直してみる。 ・自然の合理性,他者への義務,感情の陶冶,運命と自由,自殺などの諸問題を考える。 ・宗教とは何か,科学や倫理や思想とどう関係するか,そしてキリスト教はどういう特徴があるかを,考えてみる。
授業外の学習
毎週,文庫本で20-30頁を読んでおくこと。予習なしの出席は意味がない。
所要時間: 190分
スケジュール
- 授業の進め方に関する説明。テキストと参考文献の指示。
- エピクテトスとマルクス・アウレリウス 時代背景と思想(講義)
- 映画「ローマ帝国の滅亡」に見るマルクス帝 (ビデオ視聴)
- 映画「グラディエーター」に見るマルクス帝 (ビデオ視聴)
- 映画「ノスタルジア」に見るマルクス像 (ビデオ視聴)
- エピクテトス『提要』に見るストア哲学
- エピクテトス『提要』をどう読むか(各人の意見発表)
- エピクテトス『提要』は誰に読まれてきたか(影響史の追跡)
- 『自省録』講読(受講者の報告+先生の解説)第2巻 補足講義:自然について
- 『自省録』講読(受講者の報告+先生の解説)第3巻 補足講義:感情について
- 『自省録』講読(受講者の報告+先生の解説)第4巻 補足講義:幸福について
- 『自省録』講読(受講者の報告+先生の解説)第5巻 補足講義:自殺の許容について
- 『自省録』は誰に読まれてきたか(影響史の追跡)
- まとめの回
- 正規の授業時間外に,『自省録』後半の第8-12巻は自分で読んで,学期末レポート提出の際に反映させる
教科書
以下のうちテキスト(1)(2)(3)の3冊は各自必携。
自省録(神谷美恵子訳)
著者: マルクス・アウレリウス
出版社: 岩波文庫
マルクス・アウレリウス『自省録』精神の城塞――書物誕生
著者: 荻野弘之
出版社: 岩波書店,2009
奴隷の哲学者エピクテトス 人生の授業
著者: 荻野弘之
出版社: ダイヤモンド社, 2019
参考書
図書館1階リザーブコーナーに常備
註解マルクス・アウレリウス『自省録』
著者: 水地宗明
出版社: 法律文化社
人生談義(上下)
著者: エピクテトス(國方栄二訳)
出版社: 岩波文庫,2020
新しく学ぶ西洋哲学史
著者: 荻野・山本・大橋・本郷・乗立
出版社: ミネルヴァ書房,2022