キリスト教人間学(祈りの人間学)【Eブロック】
共通 - 全学共通
GSCH0220
コース情報
担当教員: 原 敬子
単位数: 2
年度: 2024
学期: 秋学期
曜限: 火4
形式: 対面授業
レベル: 200
アクティブラーニング: あり
他学部履修: 可
評価方法
出席状況
リアクションペーパー
レポート
その他
出席を毎回確認する。欠席が4回を超えた場合には,原則として成績評価の対象としない。成績は期末レポート,リアクションペーパー,授業態度などによって総合的に評価する。 本科目の到達目標は,人間存在と祈りについて理解し,授業内容や関連する先行研究に基づいて宗教や宗教性に関する議論を自身の力で組み立てることができるようになることである。本科目の課題については,一人一人の人間経験に訴える問いであるため,生成 AI を利用して作成した場合その目標は達成できない。したがって,リアクションペーパー,最終レポ ートのいずれにおいても利用は一切禁止する。 自らの経験から生み出される「言葉」を大切にしてほしい。
詳細情報
概要
本科目は,上智大学の教育の精神「他者のために,他者とともに」For Others, With Othersに基づくユニバーシティ・アイデンティティをになうコア科目「キリスト教人間学」科目群に属する選択必修科目です。 様々な宗教や宗派の違いを超えて人はそれぞれの方法で共に祈ることができる。宗教は文明に衝突をもたらすと言われるが,その反面,祈りは人間の生,人間存在に直接関わっておりいのちの希望を創造し様々な問題の関係修復の突破口にもなり得るだろう。祈りのない宗教はない。では,宗教と祈りはどのような関係にあるのだろうか。 この科目では,様々な宗教的事例を分析しつつ,祈りの経験がもたらすもの,祈る人間の態度,思想,世界観などを提示しながら,祈りの潜在的な可能性を探る。たとえば,困難や危機的状況にある人間は,どのように,祈りによって自己の統合を図ろうとするのだろうか―。実際に様々な祈りの手法も紹介しながら,日常生活に活かせる実存的な祈りの習得も目指したい。実践神学を身につけたい人にとっては祈りの入門編でもある。神学的営為(その思考作業)の前提として「祈る」という認識を経験することは基礎的助けとなるだろう。
目標
単に音のないことを沈黙,静寂というのではない。沈黙,静寂の経験を通して,「祈り」において,心の動き,焦り,ざわつきなどに気づき,自分自身の「いま,ここ」という存在の深みに触れる。日常生活の中で「祈ること」が,いかに,様々な物事,出来事への「洞察」と関わっているかをみていく。授業で配布するプリント資料をゆっくり熟読することによって,宗教経験に関する知識を得,また,上智大学の創立にも関わる聖イグナチオ・デ・ロヨラの祈りの方法論である『霊操』の精神を学ぶ。祈りのエクササイズを通して「洞察力」の感得を目指し,生活を整えていく。グループでの話し合い,毎回,リアクション・ペーパーにおいて「経験を言葉化する」練習を行う。
授業外の学習
授業内容全体に関係する「文献表」を配布するので,補助的読書をすること。また,授業内で行う「祈りのエクササイズ」を日常生活の中で実践すること。期末試験のためのレポート作成に必要な課題図書は学期の中盤で提示する。早めにテーマを決めレポートの準備すること。
所要時間: 予習・復習190分以上
スケジュール
- 導入―祈りとは
- 祈りの諸相①日常性
- 祈りの諸相②通過儀礼と人間成長
- 祈りの諸相③儀式
- 祈りの諸相④身体性
- 祈りの諸相⑤非暴力
- 祈りの方法論:ロヨラの聖イグナチオ『霊操』を参考に①キリスト教と祈り
- 祈りの方法論:ロヨラの聖イグナチオ『霊操』を参考に②わたしの歴史/物語/内省
- 祈りの方法論:ロヨラの聖イグナチオ『霊操』を参考に③活動における祈り
- 祈りの方法論:ロヨラの聖イグナチオ『霊操』を参考に④愛,いかに生きるか
- 不条理と祈り①死の前に立つ人間
- 不条理と祈り②惨禍の中でー祈りのナガサキ,怒りのヒロシマ
- 不条理と祈り③死者とともに生きる
- まとめ:カトリック・ミサにおける祈り,課題提出
教科書
講義内でプリント資料を配布する。オリエンテーション・キャンプの際に配布されるパンフレット『キリスト教人間学』を,初回講義時に持参してください。
参考書
講義内で文献表を配布する。
『ある巡礼者の物語ーイグナチオ・デ・ロヨラ自叙伝』
著者: イグナチオ・デ・ロヨラ著,門脇佳吉訳・注解
出版社: 岩波書店,2000年
『霊操』
著者: イグナチオ・デ・ロヨラ著,門脇佳吉訳・注解
出版社: 岩波書店,1995年
『実践する神秘主義』
著者: イヴリン・アンダーヒル
出版社: 新教出版社,2015年