キリスト教人間学(キリスト教人間学とイエズス会教育)【Gブロック】

概要

本科目は,上智大学の教育の精神「他者のために,他者とともに」For Others, With Othersに基づくユニバーシティ・アイデンティティをになうコア科目「キリスト教人間学」科目群に属する選択必修科目です。 イエズス会教育は上智大学のスピリットを基礎づけるものであると同時にキリスト教人間学の具体的展開であるといえます。現在,世界各地において実際に展開しているイエズス会の教育活動は,近代という特定の時代のコンテクストの中で,イエズス会という修道会のもつ性格や諸活動から生じてきたものでした。しかし,それは同時に,それまでの人間社会が歴史の中で培ってきた普遍的な諸々の知恵が必然的に結びついた結晶であり,またキリスト教人間学のエッセンスが豊かに含まれている特徴的な具体的事例でもあります。 この授業では,そのイエズス会教育がどのようなプロセスを経て生じたのか,またそこで大切にされてきたことは何かといった具体的問いに焦点を当てながら,その内容や背景を学び,考察することを通して,その基盤にあるキリスト教人間学の本質とその具体的課題を捉え,理解し,現代社会へと向ける考察のまなざしを養うことを目的としています。 そのために授業の中では,①キリスト教人間学とイエズス会教育との関係を探ること,②古代から中世,近代へと続く,イエズス会の教育活動に背景にある教育思想の流れを概観し,その輪郭を捉えること,③イエズス会教育において育まれることが期待される人間の諸側面と諸価値とを検討すること,そして④イエズス会の教育活動の歴史の中で様々な仕方で試みられてきた実際の事例を検討します。

目標

本授業のねらいは,イエズス会教育という具体的実践を哲学,社会学,歴史学,教育学といった多様な観点から考察することを通して,キリスト教人間学の本質を理解することにあります。そのために,主に以下の三点を学ぶことが期待されます。 ①イエズス会の教育活動の歴史的背景を学ぶことによって上智大学において学ぶことのルーツを探求すること。 ②西洋社会における古代から現代へと至る教育思想を概観することによって,イエズス会教育の位置づけと特徴を理解し,また現代社会において大学で学ぶことの意義について考察すること。 ③教育の歴史的・理論的側面から実際の諸実践までを包括的に概観し,理論と実践とのつながりについて考察することによって,受講者自身の現代社会における問題意識を深めること。

授業外の学習

予習:前回の授業を振り返り,次回授業のための課題資料・テキスト等に目を通すこと。 復習:授業内容を振り返り,考察を深めること。

所要時間: 予習・復習190分以上