キリスト教人間学(倫理学入門)【Aブロック】
共通 - 全学共通
GSCH0030
コース情報
担当教員: 白井 雅人
単位数: 2
年度: 2024
学期: 春学期
曜限: 月5
形式: 対面授業
レベル: 200
アクティブラーニング: あり
他学部履修: 可
評価方法
出席状況
授業参加
リアクションペーパー
レポート
その他
本科目は,毎回の出席および積極的な授業参加を前提とし,総合評価を基本とする。出席を毎回確認し,欠席が4回を超えた場合には,原則として成績評価の対象としない。
詳細情報
概要
本科目は,上智大学の教育の精神「他者のために,他者とともに」For Others, With Othersに基づくユニバーシティ・アイデンティティをになうコア科目「キリスト教人間学」科目群に属する選択必修科目です。 この講義では,倫理学について入門的に学んでいきます。「倫理学」とは,人と人との関係について,道徳的な観点で考えていく学問です。特にこの講義では,「他者のために,他者とともに生きる人間」になるためには,自分が「生かされている」ということに気付く必要があるのではないか,という問題意識を中心に考えていきます。 多くの人は,自分の行動は自分で決めることができると考えているでしょう。しかし,私たちが思っている以上に,私たちの行動や感じ方は周りの影響を受けているということが,多くの研究で明らかになってきています。 まず,言語哲学と言われる分野の知見を手がかりに,私たちの行動や感じ方が言語の影響によって決まってしまうということを見ていきます。それと同時に,悪い影響を受けないように,より良い選択がどのように可能になるのかについても考えていきます。 言語の問題,言語による対話の困難さを具体的に見ていくため,ジェンダーの問題を見ていきます。ジェンダーの問題に植民地主義が絡み合う際,「善意」の働きかけが拒絶されることがあります。そしてこの「植民地主義」的視点は,平均的な「日本人」が「辺境」を見る際の眼差しにも確認されることを見ていきます。 次に,薬物依存の人の「回復」という問題をみていきます。薬物依存から回復するために必要なステップについて考えることによって,「自分で何とかする」ということと,「生かされている」ということの意味を考えていきます。 これまで考えてきたことをもとに,滝沢克己と西田幾多郎という哲学者の考察をもとに「人間の尊厳」や「人間らしい生き方」を最後に考えます。 リアクションペーパーをMoodleを通じて提出してもらいます。 ①「上智大学情報システム室」のホームページから ②「Moodle」にアクセスし,教員名の頭文字 ③「S」を通って,本科目の担当者 ➃【白井雅人】へ入ると,幾つか科目が出てきますので, ➄「2024_ キリスト教人間学(倫理学入門)」を選んで, ➅「自己登録」をしておいてください。 ⑦リアクションペーパーの情報や,資料などが掲示されます。
目標
1. 「他者のために,他者とともに生きる人間」に必要な倫理的な考え方を,自分の言葉で説明できるようになる。 2. 講義を通じて得た新しい考え方を通じて,これまでの考え方について批判的な視座を獲得し,論じることができるようになる。 3. キリスト教ヒューマニズムに基づく倫理的な考え方を,説明できるようになる。
授業外の学習
予習:配布プリントや参考図書を読み込み,自分なりの意見をもてるようになる。 復習:授業で扱った箇所を振り返り,レポート作成のためのノートを作る。
所要時間: 授業1 回あたり190 分(予習90分,復習100分)以上を目安とする。
スケジュール
- はじめに:キリスト教人間学と倫理学入門について
- コミュニケーションの前提
- 討議倫理
- ジェンダーと言葉
- ジェンダートラブル
- 「後進国」の「ジェンダー問題」とはなにか
- 「辺境」をめぐる視点
- 「障害」を「克服する」のは誰か?
- 薬物依存からの「回復」(1):薬物依存と共助組織
- 薬物依存からの「回復」(2):回復のステップ
- 薬物依存からの「回復」(3):回復を支える社会へ
- 人間の尊厳はどこから来るのか?:尊厳の由来
- 人間の尊厳はどこから来るのか?:定めと自由
- 西田幾多郎の預言者的実存
教科書
テキストとしてプリントを配布する。
『叡智を生きる(An Unending Quest)』
著者: 上智学院イエズス会教育推進センター
出版社: 上智大学出版,2019
参考書
薬物依存からの「回復」: ダルクにおけるフィールドワークを通じた社会学的研究
著者: 相良翔
出版社: ちとせプレス,2019年
彼女の「正しい」名前とは何か―第三世界フェミニズムの思想
著者: 岡真理
出版社: 岩波書店,1987~89年
滝沢克己著作集
著者: 滝沢克己
出版社: 法蔵館,1972–1974年