東西宗教芸術の伝統と今日的な宗教的霊性

共通 - 全学共通

GSC30060

コース情報

担当教員: 長町 裕司

単位数: 2

年度: 2024

学期: 春学期

曜限: 金3

形式: 対面授業

レベル: 300

アクティブラーニング: あり

他学部履修:

評価方法

出席状況

15%

授業参加

10%

リアクションペーパー

15%

レポート

60%

その他

評価基準については,初回の授業で詳しく説明します。リアクションペーパーの提出は,受講生各自の回と(授業時間の終わりの15分程度の)グループディスカッションの場合の回があるが,出席と併せて評価に加える。

0%

詳細情報

概要

若い世代の心性に宗教芸術(美術,音楽,造形芸術,詩,その他多くのジャンル)との触れ合いを通じて開かれてゆく宗教的霊性について受講者の学生たちが真正な理解と自覚を得るとともに,東西の宗教芸術(キリスト教芸術,仏教芸術)の伝統が今日の人間の精神性にも脈々と伝達してくるものに学ぶことができるよう,この授業科目を開設する。カトリック大学の学び舎で4年間を過ごし,社会人へと育ちゆく若い世代にとって,このような宗教的感性と霊性への学びの機会は,われわれの時代に枯渇している「教養」の根本的次元を開拓する機会となるであろう。 本年度春学期授業内容は,以下のように三部構成をとる ― 第一の部分では,西洋キリスト教美術と教会建築の伝統および宗教芸術に今日に生きるわたしたちはどのように接するのかを講義していただく。第二部では,キリスト教宗教音楽を主題とする。その歴史的伝統は,グレゴリオ聖歌からラテン中世・ルネッサンスを経て近代ヨーロッパ文化においても展開を遂げるが,今学期はロココ時代からウイーン古典派を代表する天才的音楽家であったモーツアルトの宗教音楽とオベラとの連関に光を当てて,いわゆる世俗的音楽と考えられてしまう作品を通して奥深い宗教性が開かれることをも学べるであろう。最後の第三部では,宗教芸術の伝統から息吹きを受けて学ぶことのできる,今日の歴史的脈絡においての宗教的霊性のあり方について受講学生たちとともに考察する。「芸術と社会的生」についての省察も含むことになろう。授業中終わりの ディスカションの時間をうまく活用して理解を深めるように計らいたい。このディスカッションはほぼ毎回の授業内で行われる。リアクションペーパーは,グループディスカッション(授業内のトピックとなるテーマについて,15 ~ 20分)での話し合いのまとめを出席確認と共に提出する

目標

上智大学で学ぶ新しい時代の若い世代が,大学教育を終える前の根幹となる教養科目として,以下の三点を授業のねらいとする。 (1)東西の二大宗教(仏教とキリスト教)の伝統において培われた宗教芸術の奥深 い精神性と人類にとっての意義に覚醒し,自らの人生行路にとっての「根源的 ないのち」に理解が開かれること (2)精神史的な視点から宗教芸術を鑑賞し味わう〈教養〉の価値を体得すること (3)東西の宗教芸術に脈打つ霊性の問題に目覚め,各受講者の学生が世界史的な時 代のエポックに臨んで精神的姿勢を生涯教育してゆく土壌を自覚すること 授業時に重要なトピックスに関してグループディスカションの時間を設けて,受講学生たちの理解が深まり,互いに問題を共有できる出発点を築くことも取り入れる。美術 ・音楽鑑賞のための長い射程を有する教養の構築に益するように配慮する。

授業外の学習

この授業内容を十分自分のものとし,更に自得されたものを将来の自己の歩みに生かしてゆけるように,以下の二点を予習および復習として勧めたい。 1) 毎回の授業で重要ポイントとなる問題連関を,授業外の時間(例えば,週末や日曜日 に少し落ち着ける時間)にレジュメの項目やノートを振り返って内省し直す習慣を身 につける。 2) 授業時に配布した参考資料や指摘された参考書籍を少し時間をかけて熟読する。

所要時間: 復習には60分程度,予習には130分程度を目安とする。内容については授業時に伝達する

スケジュール

  1. 導入篇 ― 今日新たに,東西の宗教芸術に学ぶ とは(コーディネーター / 文学部哲学科 長町 裕司) + 授業計画とその進め方,評価について,等
  2. 西洋キリスト教美術の真髄 (1) (東京藝術大学・立教大学 兼任講師 大野松彦)
  3. 西洋キリスト教美術の真髄 (2)(東京藝術大学・立教大学 兼任講師 大野松彦)
  4. 西洋キリスト教美術の真髄 (3) (東京藝術大学・立教大学 兼任講師 大野松彦)
  5. 建築とは何か ― キリスト教建築の形成 (東京藝術大学・立教大学 兼任講師 大野松彦)
  6. ロマネスクとゴシック ― 中世建築の展開 (東京藝術大学・立教大学 兼任講師 大野松彦)
  7. 光の芸術 ― ゴシック建築 (東京藝術大学・立教大学 兼任講師 大野松彦)
  8. ゴシックの世界像 (東京藝術大学・立教大学 兼任講師 大野松彦)
  9. 音楽と宗教の関係ー音楽の特性からの考察ー (上智大学 神学部神学科 森 裕子)
  10. 伝統的キリスト教礼拝音楽と芸術音楽の宗教体験ー4曲の《アヴェ・ヴェルム・コルプス》聴き比べー (神学部神学科 森 裕子)
  11. 宗教礼拝の枠から出た芸術音楽の宗教体験ーモーツァルト作曲オペラ《ドン・ジョヴァンニ》を聴く,その1ー (神学部神学科 森 裕子)
  12. 宗教礼拝の枠から出た芸術音楽の宗教体験ーモーツァルト作曲オペラ《ドン・ジョヴァンニ》を聴く,その2ー (神学部神学科 森 裕子)
  13. 宗教芸術と霊性(1): 「伝統」からの脈動 ― 宗教合唱曲におけるオラトリオ(oratorio)とい う楽曲形式について (文学部哲学科 長町裕司)
  14. 宗教芸術と霊性(2): 新たな時代からの希求 ― 20世紀以降の宗教合唱曲 (文学部哲学 科 長町裕司)

教科書

東西宗教芸術の諸分野に亘り,複数の教員による輪講科目であるので,特定の教科書となるテキストは指定しない。本年度は,具体的に以下の授業スケジュールによる内容を提供するので,各講師が配布または提示する資料やレジュメの研究を重要視するようにして下さい。

    参考書

    各講師が授業時に提示/示唆する参考文献やお勧めの書籍を中心に学ぶ幅を増強することが期待される。

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