スポーツと身体の社会学

共通 - 全学共通

GSB20510

コース情報

担当教員: 清水 諭

単位数: 2

年度: 2024

学期: 春学期

曜限: 金5

形式: 対面授業

レベル: 200

アクティブラーニング: なし

他学部履修:

評価方法

出席状況

5%

授業参加

5%

リアクションペーパー

10%

授業内期末試験

授業期間中

80%

詳細情報

概要

(1) 箱根駅伝,甲子園野球,オリンピック・パラリンピック,FIFAワールドカップなどのスポーツイベントが成立する構造とその意味作用をメディア言説と映像を通して考える。 (2) 東京がオリンピック・パラリンピック競技大会を1964年と2021年に開催したその経緯と意味について,都市東京の歴史とその課題を通して考える。 (3) スポーツやアスリートの身体が人種,ジェンダー,セクシュアリティ,ナショナリティ,階級に関する社会的認識とどのような関係にあるのかについて歴史を踏まえて考える。 (4) 以上のことから,現代社会におけるスポーツにおいて,メディア,消費社会,グローバル資本企業の戦略,政策,テクノロジー,都市構築,環境運動,地域づくり運動,人権運動等と関係しながら,人種,民族,ジェンダー,セクシュアリティ,ナショナリティ,ローカリティ,階級,障がいに関する境界線の政治(権力作用)=文化政治(cultural politics)が展開されていることを認識する。 (5) 私たちの身体が文化的,社会的,そして歴史的にどのように構築されてきているのか,スポーツや身体の文化と権力作用を踏まえて思考する。

目標

(1) スポーツや身体に関係するカルチャーが現実の社会を構成し,映し出していることを理解できるようになる。文化とは,様々な事象・事物に対する解釈の網の目であり,人々によって解釈は多様性をもっている。だからこそ,様々な軋轢,衝突が起こる。本科目によって,自分たちの身体がスポーツというカルチャーや体育という制度を通して,文化的,社会的,そして歴史的に構築されていることを理解できるようになる。 (2) スポーツは,複雑かつ多様なカルチャーだ。スポーツが,メディア,消費社会,グローバル資本企業の戦略,政策,テクノロジー,都市構築,環境運動,地域づくり運動,人権運動などと関係しながら,人種,民族,ジェンダー,セクシュアリティ,ナショナリティ,ローカリティ,階級,障がいに関する境界線の政治(権力作用)=文化政治(cultural politics)を展開していることを様々な事例を通して理解できるようになる。 (3) 身体を基盤とする日常生活は,文化,社会,テクノロジー,資本主義経済などの力の作用により構築されている。私たちが生きる社会において,スポーツやスポーツイベントに何を期待し,どのように位置づけ,どんな力を発揮することが可能なのか。そのための条件とは何か。以上の課題について,具体的な事象と体験を踏まえて考え,議論できるようになる。 (4) 私たちの日常生活において,身体をめぐる権力作用のメカニズムを批判的に検討し,その知を活かすことができるようになる。

授業外の学習

【復習】(1) 授業で取り上げたテーマと事象について,配付された資料やインターネット上の情報を確認しながら,興味・関心のあるスポーツおよび身体文化の現象を具体的に取り上げ,考察する。(各回60分程度) (2) 授業で取り上げたテーマと事象について,参考文献のほか関連する著作を読み,社会学,カルチュラルスタディーズ,歴史学,文化人類学などの視点からスポーツおよび身体文化の現象を読み解く。(各回70分程度) 【予習】それまでの授業内容や自分で学修してきた内容を踏まえ,次回の授業で取り上げるテーマや事象について,インターネット上の情報のほか,参考文献や関連する著作を読んで,自分の考えをまとめる。(各回60分程度)

所要時間: 授業の復習・予習など190分

スケジュール

  1. スポーツとメディア (1) :箱根駅伝をどのように読み解くか
  2. スポーツとメディア (2) :甲子園野球のアルケオロジー
  3. 現代社会におけるメガイベント
  4. 人種問題とスポーツ:メキシコシティ1968
  5. 社会運動としてのスポーツ (1) :60年代アメリカにおける民衆運動とBLM,そしてアスリート
  6. 社会運動としてのスポーツ (2) :80年代のフットボールと現在
  7. 日本におけるアスリートの位置:ハーフ,そして民族問題
  8. 東京とオリンピック (1) :東京1940から東京1964
  9. 東京とオリンピック (2) :東京1964から東京2020
  10. 東京とオリンピック (3) :東京1964と2020とは何だったのか
  11. スポーツ立国政策の展開と諸問題
  12. 女性アスリートの表象と自己主張:スポーツを通した国際貢献の可能性
  13. 構築される身体:スポーツと身体からの思考
  14. 身体文化の視角とその可能性:デンマークの事例とこれからの社会

教科書

特にありません。予習・復習の際には,参考書のほか授業内容に関連した著作を探し,学修してください。

    参考書

    • 甲子園野球のアルケオロジー:スポーツの「物語」・メディア・身体文化

      著者: 清水 諭

      出版社: 新評論, 1998

    • オリンピック・スタディーズ:複数の経験・複数の政治

      著者: 清水 諭(編)

      出版社: せりか書房, 2004

    • 身体文化のイマジネーション:デンマークにおける「身体の知」

      著者: へニング・アイヒベルク著,清水諭(訳)

      出版社: 新評論, 1997

    © 2025 上智非公式シラバス. All rights reserved.