ソマティック(身心)教育入門
共通 - 全学共通
GSB20360
コース情報
担当教員: 吉田 美和子
単位数: 2
年度: 2024
学期: 秋学期
曜限: 月4
形式: 対面授業
レベル: 200
アクティブラーニング: あり
他学部履修: 可
評価方法
出席状況
リアクションペーパー
レポート
その他
4回以上欠席した場合は評価の対象としない。授業内のリアクションペーパーやMoodle提出課題などを総合評価する。
詳細情報
概要
「身体」はわたしたちの存在の基盤であり生の基盤である。そのため身体をどのように捉えるかは,そのまま世界をどのように捉えるかという問いでもある。身体観には常に2つの歴史が存在し,一つは物質として客観的に捉える「身体(body)」であり,もう一つは身体や心,スピリチュアリティからなる主観的に捉える「からだ(soma)」の歴史がある。 本講義では,後者の身体観として1970年代トマス・ハナにより提唱された,生きて動く身体,内側から経験される身体としての「からだ(soma)」を対象とするソマティクス理論と実践技法を,その歴史的,文化的,社会的コンテクストとともに学んでいく。「身体」について考えるのではなく「身体」で考える授業である。そのため,毎回の授業は,身体で動き,感じる実習と,その経験と結びついた言葉(somatic language)によるディスカッションを対面,およびMoodle上で実施する。 多様なソマティック教育の体験と経験の共有,関連文献の購読を通して,今ここに在る身体を内側から捉える試みから「身体=自分」とは何かを探っていく。
目標
1.自他を含めた多様な「からだ(soma)」に出会うこと。 2.なぜいま身体を問うのか,身体観の歴史的変遷のなかで生まれたソマティック理論の現代的意味を,自らの身体に実践を通して問うこと。 3.一人ひとりが個の経験としての身体から考える,クリエイティブな視点をもつこと。
授業外の学習
毎回の授業後は以下の学習(合計190 分)を行うことが求められる。 ・ノート・メモ等と授業資料を利用して内容を復習する(30分) ・授業内で言及された文献や参考資料を読む(120分) ・講義や実習に関わる事前資料を読み,関連する情報について調べる(40分)
所要時間: 授業1回あたり190分以上
スケジュール
- オリエンテーションと授業概要 ソマティック教育とは何かーソマティクス概論と文献紹介
- ソマティクス概論①ヒューマンポテンシャル運動(HPM)とエサレン研究所 ソマティクスとソマティック心理学の萌芽期:work for whole personの試み
- ソマティクス概論②一人称の科学としてのソマティクス 【ゲストスピーカー】村川治彦(関西大学)
- 西洋のソマティクス① ボディマインド・センタリングと体験的解剖学(筋骨格)
- 西洋のソマティクス② ボディマインド・センタリングと体験的解剖学(内臓,体液,神経系)
- 西洋のソマティクス③ アレクサンダー・テクニーク, フェルデンクライス・メソッドほか 【ゲストスピーカー】
- 西洋のソマティクス④ ソマティック心理学概論:ソマティック・エクスペリエンス トラウマ体験と身体のかかわり
- 東洋のソマティクス① 修験道と身心変容 【ゲストスピーカー】長谷川智(山伏,羽黒派古修験道)
- ソマティクスと言語的課題:身体経験を語る「ことば」の探求 ソマティック言語(somatic language),スポーツ,そして詩
- 東洋のソマティクス① ソマティック禅入門:身心を学ぶ道 【ゲストスピーカー】藤田一照(曹洞宗国際センター前所長)
- 多様な身体の在り方を考える① Diversity in Bodies:動きの原点から身心を考える-生後一年の運動発達
- 身体表現と身体文化:ソマティクスにおけるダンス 【ゲストスピーカー】Marila Velloso ブラジルの身体と政治性(パラナ州立大学)
- 多様な身体の在り方を考える② Diversity in Bodies: 障がい,ジェンダー,エイジング,そして死を含む生について
- 現代社会における「からだSoma」の行方ーわたしたちの身体は何処に向かうのか
教科書
授業内で適宜配布する
参考書
授業内でも適宜指示する
ボディワークと身心統合
著者: 清水諭・吉田美和子・遠藤卓郎編
出版社: 創文企画, 2014
ソマティック心理学
著者: 久保隆司
出版社: 春秋社, 2011
Ground Works: Narratives of Embodiment
著者: Don Hanlon Johnson (ed.)
出版社: North Atlantic Books, 1997