道徳教育の理論と実践
共通 - 課程
GQT13012
コース情報
担当教員: 伊東 毅
単位数: 2
年度: 2024
学期: 秋学期
曜限: 金2
形式: 対面授業
レベル: 200
アクティブラーニング: あり
他学部履修: 可
評価方法
授業参加
レポート
その他
出席は前提であり,3分の2以上の出席がなければ単位は取得できない。 出欠確認時の代返・代筆や出欠確認後の無断退出などの不正行為が1度でもあった場合には単位の取得ができない。
詳細情報
概要
青少年の行為に関する問題は深刻である。しかし,道徳的危機に直面しているにもかかわらず,多くの学校では積極的な道徳教育を展開できないでいる。理由のひとつは,道徳は価値にかかわらざるをえないが,ある価値を提示した瞬間,その価値は党派性を指摘され批判の対象に転じてしまうからである。特設「道徳」や「特別の教科である道徳」をめぐる問題もこの延長線上にある。こうしたナイーブな問題を内包する道徳教育について,本質・歴史・課題といった側面から整理・検討してみたい。 また,今日,道徳教育を論じるとき,枕詞ででもあるかのように「いじめ」「不登校」「援助交際」「学級崩壊」という表現が繰り返される。しかし,はたしてこのような枕詞とともに語られる道徳教育論がこうした諸問題の分析と整合的に結びついているのであろうか。本講義では,徹底してこれらの諸問題にこだわり,そこから現代の道徳教育のあり方を問い直すとともに,学校における教育活動全体を通じた道徳教育,そして道徳科の具体的な授業へとつなげていきたい。
目標
本科目の到達目標は,(1)道徳の本質・歴史・現代社会における課題や道徳性の発達について理解するとともに,学習指導要領上の道徳教育および道徳科の目標と主な内容を確認することと,(2)学校における教育活動全体を通じた道徳教育の指導計画・道徳科の指導方法・教材の特徴を踏まえての授業設計,そして道徳についての評価を理解するとともに,これらを反映させた学習指導案を作成し,模擬授業を行い,そしてこれらを反省的に振り返ることができること,である。
授業外の学習
「講義スケジュール」欄に事前に読んでおくべき学習指導要領等の該当箇所やテキストの章などを*マークで指示しておいた。確認してほしい。
所要時間: 2時間程度
スケジュール
- ※以下は予定であり,授業の進捗状況により各テーマの回数は変更することがありうる。 オリエンテーション(講師の自己紹介・講義概要の紹介・評価基準の説明・自己紹介ビンゴゲーム(内容項目[相互理解,寛容]に対応するアクティブ・ラーニングの具体例)他)
- 学習指導要領における「道徳」―新・旧学習指導要領の比較― *①文部科学省「中学校学習指導要領」(平成20年3月告示)の「第3章 道徳」,②「中学校学習指導要領」(平成20年3月告示 平成27年3月一部改正)の「第3章 特別の教科 道徳」および③「中学校学習指導要領」(平成29年3月告示)の「第3章 特別の教科 道徳」をあらかじめ読んでおくこと。冊子や文部科学省のホームページで確認できる。 【この回にレポート課題の提示と書き方についての説明を行う(予定)】
- 子どもたちの問題行動①―いじめ・不登校―
- 子どもたちの問題行動②―援助交際・学級崩壊―
- 道徳教育の歴史①―「教育勅語」にみる道徳教育― *テキスト第3章・第4章をあらかじめ読んでおくこと。
- 道徳教育の歴史②―特設「道徳」および道徳の教科化をめぐる問題― *テキスト第1章をあらかじめ読んでおくこと。
- 個人の尊厳と公共の精神 *テキスト第7章・第8章をあらかじめ読んでおくこと。
- 道徳性の発達―ピアジェ・コールバーグ・フロイトおよび脳科学の知見― *テキスト第12章をあらかじめ読んでおくこと。
- 「道徳」の授業をどうするか①―生活綴方に学ぶ―
- 「道徳」の授業をどうするか②―資料「手品師」「フィンガーボール」を使って― *テキスト第14章をあらかじめ読んでおくこと。
- 「道徳」の授業をどうするか③―学習指導案の作成(その1)形式を中心に―
- 「道徳」の授業をどうするか④―学習指導案の作成(その2)内容を中心に―
- 「道徳」の授業をどうするか⑤―学習指導案に基づく模擬授業(その1)形式を中心に―
- 「道徳」の授業をどうするか⑥―学習指導案に基づく模擬授業(その2)内容を中心に― 道徳の年間指導計画と評価 *テキスト第6章・第13章をあらかじめ読んでおくこと。
教科書
必ずテキストを各自で持参し受講すること。持参しない場合は授業参加点が減点となる。
道徳科教育講義
著者: 高橋陽一・伊東毅
出版社: 武蔵野美術大学出版局,2017年
参考書
文部科学省「中学校学習指導要領」(平成29年3月告示) 文部科学省「中学校学習指導要領解説 特別の教科 道徳編」(平成29年7月) 上記は文部科学省のホームページで確認できる。
道徳教育の批判と創造―社会転換期を拓く―
著者: 藤田昌士・奥平康照監修,教育科学研究会「道徳と教育」部会編
出版社: エイデル研究所,2019年