ペルシア語初級１

概要

ペルシア語は,中東の大国であり,2023年のイスラエルによるガザ攻撃ニュースでは「ハマス」や「フーシ派」というキーワードとともに名前が挙がる国,イラン・イスラム共和国の公用語である。 現在は暗いニュースばかりが先行しているが,実際にイランに行ったペルシア語履修者たちの感想としては,「親日家が多い」「ユーモアがある」「旅行者に親切」「遺跡が素晴らしい」「自然がすごい」「意外に都会」など,好意的なものがほとんどだ。 ちなみにペルシア語話者はイラン国内に留まらず,アフガニスタン,タジキスタンではそれぞれ「ダリ―語」「タジク語」と呼ばれる公用語として使用されている。(ちなみに「～スタン」とはペルシア語で「～の居る場所」「～が暮らす場所」を表し,アフガニスタンはペルシア語で「アフガン人の国」,タジキスタンは「タジク人の国」を意味する。)当授業ではイランで話されているペルシア語に限定しての講義となるが,ペルシア語を学ぶことは,イランばかりでなく,アフガニスタンやタジキスタン・ウズベキスタンなどの中央アジア諸国にもリンクするカギとなる。 宗教的観点から,イランは,「非アラブ」のイスラーム国家の一つであり,イスラームの中では少数派とされるシーア派を国教とし,イスラーム共和制という独特の政体を有する国家である。また日本とは外交上友好関係にあり,経済制裁が強化されるまでは石油や天然ガス,その他鉄鋼などの天然資源の重要な輸入国であった。 ペルシア語は一見するとアラビア語と混合されがちであるが,アラビア語とペルシア語とは,例えて言うならば,中国語と日本語ほどの違いがある。概して,ペルシア語の初級文法はアラビア語に比べれば非常に簡単で,最初に文字さえ覚えてしまえば,文法規則も発音も初学者には習得しやすい。また,ペルシア語は「東洋のフランス語」または「愛を語る言葉」とも言われるほど,美しい音の流れを持ち,ペルシア語による伝統的古典詩は世界的に高い評価を受けている。ドイツの文豪ゲーテの詩作にも大きく影響を与えているほどである。 本講義はペルシア語文法を学ぶことが主たる目的であるが,単なる言語獲得に留まらず,アメリカとの対立関係の歴史やイスラエルによるガザ攻撃などの中東情勢から,シーア派イスラーム,イスラーム神秘主義,ゾロアスター教,またイラン映画,イラン文学などにも折に触れて紹介していく。本授業を受講する学生には,単なるペルシア語という語学学習にとどまらず,アラブでも欧米でもない,イランという第三の視点から中東世界を眺めてもらいたい。 なお,アクティブラーニングに関してはＰＢＬ(課題解決型学習)として実施。

目標

BE動詞・一般動詞の過去形を用いた短文の読み書きが出来,挨拶や簡単な自己紹介といった初級レベルの会話力を習得する。 本授業は,文字も文法も全く馴染みのない学生を対象にするため,最初はローマ字を使用しつつ簡単な会話(挨拶や自己紹介)を練習し,それと平行して文字の習得を図る。(文字は一見奇怪で習得不可能に見えるかもしれないが,32文字のアルファベットから構成されているので,１ヶ月もすれば自分の名前をアルファベットで書けるようになるだろう。) また単なる語学習得に留まらず,イランやイスラームに関する基礎知識も身に付け,ペルシア語やイラン世界を通しての新しい視点を持ってもらいたい。

授業外の学習

予習・復習時間を確保する。授業開始時に,前回の復習テスト(ごく簡単な)を実施。

所要時間: 45分以上