応用言語研究入門1

外国語学部

FLG61400

コース情報

担当教員: 渡部 良典

単位数: 2

年度: 2024

学期: 春学期

曜限: 水3

形式: オンデマンド授業

レベル: 200

アクティブラーニング: あり

他学部履修:

評価方法

出席状況

10%

授業参加

10%

リアクションペーパー

15%

授業内期末試験

授業期間中

25%

中間試験

授業期間中

25%

その他

授業中の課題

15%

詳細情報

概要

私たちの日常生活は,挨拶,メールのやり取り,友人との会話,授業への参加,討論,テレビの視聴,読書,レポートの作成等どれをとっても言葉なしには成り立たない。しかしあまりにも当たり前あたりまえのこととして捉えているがために,言語がいかに重要かに気付く機会は少ないのではないだろうか。そのために不必要な誤解を招いて不必要な人間関係について悩んだり,人を傷つけたりしていることもあるだろう。また外国語の習得についてもある一定の原則を知ることによって効果的にできるはずなのに無知によって無駄な苦労をしていることもあるのではないだろうか。本コースでは,言語学の研究成果を紹介しながら1)言葉について振り返り,私たちの言語生活を豊かにするための考察を深めながら,さらに2)言葉の面白さや不思議さに思いを致して言語というものの本質を理解し,翻って3)その成果を言語生活に役立てることを目的とする。 春学期開講の「応用言語研究入門1」では言語研究の基本の理解に重点を置き,秋学期開講の「応用言語研究入門2」では心理言語学や社会言語学等のいわゆる隣接科学としての言語学の研究成果を紹介する。 テーマや順序は受講者の希望やリアクションペーパーの内容により,適宜変更しながら進める。また,受講生自身にデータを集めて分析した結果の発表を要請することもある。

目標

言語学の基礎知識の習得を主要な目標とするが,さらに大学生および社会人に必要とされる以下の基本的な技能の習得もあわせて目標とする。 a) 適切な例を探す演繹能力 b) 言語学における「立証」を批判的に考察する能力 c) データを読みとる能力 d) 個々のデータから一般化し仮説・理論を立てる帰納的能力 e) 理論を実際の問題解決に応用する能力

授業外の学習

「講義,課題,討論,まとめ」を毎回の授業の構成とする。学期末には受講者数が多い場合には最終試験とする予定であるが,人数次第では講義のなかから最も興 味のあったテーマについて研究レポートを作成して提出することを課すこともある。授業で扱う対象言語は主に日本語と英語だが,自分の知っている言語あるいは学びつつある外国語などに関する知識と理解を深める機会となることを期待する。

所要時間: 190分

スケジュール

  1. 授業の目的を紹介。内容や授業の進め方,成績,提出物などについて質疑応答。普段無意識に使っている言語を意識化することの意味と面白さを知る。
  2. 音声学(phonetics)入門 と応用[1] 1) 人間の言語の特徴 2) 音象徴と詩の言語について 3) 言語の音には意味があるのか
  3. 音声学(phonetics)入門 と応用[2] 1) 音声と意味の恣意性について,哲学者が考察してきたことの初歩的理解 2) 音声知覚のメカニズム 3) 音声の習得
  4. 音韻論入門(phonology) 1) 人間の発話する言語には規則性がある 2) 音声(sound)と音韻(phoneme)の違いについて 3) 音声と文字の関係について
  5. 形態論(morphology)入門・応用 [1] 1) 単語の構成について 2) 単語とは何か 3) 複合語の構成には規則性があるのか 4) イディオムと複合語の違いは何か 5) 未知の言語分析
  6. 形態論入門・応用[2] 5) 単語や複雑語の成り立ち(word formation)に焦点を当て,原理を理解した後,具体例を検証 外国語学部->外国語学部露西亜語学科->外国語学 部露西亜語学科2014年度秋学期第I期合否照会,等々というように語は無限に重ね合わせられるように見受けられるが,複合語の形成は無秩序に行われているわけではない 実例を見ながら言語学で発見された規則を検討する
  7. 統語論(syntax)入門と応用研究 [1] 1) 人間の言語のもっとも基本的な特質の一つ,統合的関係(syntagmatic relationship)と系列的関係(paradigmatic relationship),および二重文節について 2) 語順と意味の関係について。ばらばらに並べられた単語の連鎖はなぜ理解できるのか
  8. 統語論入門と応用研究[2] 3) 多義文(ambiguous sentences) 多義性と曖昧性(vagueness)のメカニズムを探る。
  9. 意味論(semantics)初歩とその応用 [1] 1) 語彙の意味,多義語,反意語等を扱いながら意味研究の基本を紹介 [中間考査課題予定/ 授業の進度によって変更の可能性あり]
  10. 意味論初歩とその応用[2] 2) 語彙の意味を考察 たとえば,「アガル」 と「ノボル」は似た意味を表す言語であるが,使い分けに微妙な違いがある。青,blue, azul,blau,синий,bleuは完全に一致しているわけではない さまざまな語彙の意味を考察しながら言語と世界観の関係を考察する
  11. 語用論(pragmatics)と応用研究 [1] 1) 会話の文法:会話には文と同じような文法(規則性)があるのだろうか。あるとすればそれはどのようなものなのだろうか 2) 話した内容,書いた内容が誤解されるのはなぜか
  12. 語用論と応用研究[2] 3) 言語表現と言語使用者,文脈との関係を探 る言語の機能を考察し,言語使用のメカニズムを理解し,実際の言語使用を観察しながら,言語学の知識を生きた実践知とする
  13. 談話の構造と言語の機能(discourse and language function) 研究(1)入門 話し言葉の文法,文章(テクスト)の文法について考察する 文に文法があるように,言語の使い方にも文法(規則)がある これまでの研究成果を概観しながら,日頃の言語使用について振り返る
  14. 談話の構造と言語の機能(discourse and language function) 研究(2) 話し言葉の文法,文章(テクスト)の文法について考察する。文に文法があるように,言語の使い方にも文法(規則)がある これまでの研究成果を概観しながら,日頃の言語使用について振り返る [期末考査課題予定。詳細は授業中に紹介」

教科書

授業中に随時紹介する。

    参考書

    授業中に紹介する。

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