言語と認知1
外国語学部
FLG60710
コース情報
担当教員: 成田 広樹
単位数: 2
年度: 2024
学期: 春学期
曜限: 木2
形式: 対面授業
レベル: 300
アクティブラーニング: なし
他学部履修: 可
評価方法
授業参加
リアクションペーパー
レポート
詳細情報
概要
人間言語は人間(ヒト,ホモ・サピエンス)のみが獲得でき,他の生物には一切学習し得ないという事実があります。これは言語が人間という生物種に固有の能力であることを端的に示しています。よって言語研究は生物学(より具体的にはヒトの脳やその発達・進化の研究)の一部と見ることも出来ると言えます。一方,言語の獲得や使用には,必ず他者との関わりや記憶・思考・記号演算など他の認知能力との相互作用を要求することになります。これは言語が社会科学,哲学,および心理学や数学を含む認知科学の研究対象であることも意味しています。言語の研究はこのように,言語学内部のみならず生物学,認知科学,哲学など多岐にわたる広範な知見や研究課題を提出していることになります。 本科目は,現代言語研究がもつこのような学際的視点,およびそれがもたらす様々な知見や現代的課題を概観することを目的とします。様々な関心をもつ学生が学部・学科の垣根を超えて参加出来るよう配慮したいと思います。 履修上の注意点(追加事項): 出席は成績評価の前提となります。Aの評価を得るには欠席が3回以下であることが必要。欠席回数が5回を上回った場合は自動的に不可とします
目標
生成文法理論の基本的な考え方や問題設定を学び,様々な言語現象について多角的に考察する力を養う。
授業外の学習
毎週講義を行った範囲の内容について簡単な理解度確認課題を課す予定である。
所要時間: 授業 1 回あたり 190 分以上
スケジュール
- イントロダクション:授業の概要
- GrammarXivについて
- 生成文法について
- 照応表現「自分」をめぐる諸問題: GrammarXivを用いた論点整理と将来的展望
- プラトンの問題(刺激の欠乏),および言語使用の創造的側面について
- 言語の離散無限性について
- 言語と数を数える能力について
- 言語・機能・コミュニケーション――言語と言語使用について
- 言語と音声
- 言語を巡る三つ巴の問題設定について
- 言語の再帰的結合操作(併合,Merge)について
- 言語研究の極小主義について
- まとめ1
- まとめ2
教科書
特に指定しない。
参考書
The Science of Language
著者: Noam Chomsky
出版社: Cambridge University Press
チョムスキー 言語の科学:ことば・心・人間本性
著者: ノーム・チョムスキー(著)・成田広樹(訳)
出版社: 岩波書店・2016